2016年12月16日

【みちのく会社訪問】小野精工(宮城県岩沼市) レーザーで害獣撃退、農家守る【産経ニュース2016年12月16日】(鳥害対策)

 増え続ける害獣による農作物被害を食い止めようと、レーザー照射による撃退装置を開発した。イノシシなどの動物が嫌う光によって作物を守るもので、東北だけでなく全国の農業関係者らから注目が集まっている。

 宮城県岩沼市に本拠を置き、本業は部品加工。メーカーからの受注で精密部品などの製造を長年手がけてきた。だが、国内製造業の空洞化でこれまでのような売り上げの伸びが期待できなくなる中、同社の小野宏明会長は「新たな取り組みが必要ではないかと考えた」と振り返る。「どうせやるなら役に立つことに取り組みたい」との思いを強くした。

 ■設置・管理の手間軽減

 県農産園芸環境課によると、平成27年度の野生鳥獣による農作物の被害額は約1億3870万円。このうち、イノシシが7430万円と半分以上を占めた。被害は山間部だけでなく沿岸部にも広がり、増加傾向にある。

 東日本大震災後、小野会長は岩沼市内でも「イノシシ被害でタケノコやイモが全滅した」というような話を聞くことが多くなった。「被災した農家も多い。農業を守るために何かできないだろうか」。そんな頃、動物が嫌う光の害獣被害への実用化を考えていた白石市の発明家と出会い、レーザーの開発が始まった。

 約2年間試行錯誤を重ね、太陽光発電パネルとレーザー発生装置とをつなげた「逃げまるくん」が完成した。昼は緑色、夜間は赤色のレーザー光を数秒おきに照射することで害獣を追い払う。

 太陽光発電のため、果樹園などでも使用でき、電気を蓄電器にためて夜間も使える。用途に応じて選べるよう、家庭用電源を使用する機種も開発した。また、害獣から農作物を守る手段として主流となっている電気柵と違い、設置と管理の手間が大幅に軽減されるのも特徴だ。

 ■「侵入、大幅に減った」

 6月以降はモニター機を宮城県内10カ所をはじめ、青森や山形など東北各地の農地や果樹園、養豚場、ゴルフ場などに設置。いずれもイノシシやハクビシンなどの被害を受けていた場所で、設置後は「被害がなくなった」「動物の侵入が例年に比べ大幅に減った」などと効果を実感する声が寄せられた。同社は集まったデータを分析し、さらなる改良を加えていく予定だ。

 「逃げまるくん」には動物を遠ざけることで、農作物だけでなく建物や人を守ることにつながるとの期待も高まる。県内では今年、熊の出没も相次ぎ、出没件数は12月1日時点で1584件(県自然保護課調べ)。統計開始以降で過去最多。けが人の数も6件と過去最多に並んだ。

 小野会長は「データが集まり、熊にも有用と判明すれば、熊が人間の生活圏に近づかないよう活用できるはず」と力を込める。

 現在、注文を受け付けており、今年度内にも発売に踏み切る。価格は太陽光パネル型が約45万円、家庭用電源型が約26万円という。 (上田直輝)

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 【取材後記】被災地の農業では人手不足も相まって、害獣被害が深刻な問題となっている。設置や維持も簡単な「逃げまるくん」の普及が、被災地の農業を守ることにつながれば、と願うばかりだ。同社では現在、イノシシ、ハクビシン、サルなどの害獣だけでなく、鳥類への効果を確認するために実験を重ねている。「いずれは鳥類被害や、鳥インフルエンザへの抑止効果に結びつけられれば」と小野和宏社長は先を見据える。

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 ■企業データ 昭和21年に「小野酸素溶接所」として創業し、36年に有限会社として設立。金属プレス加工や金型設計製作などでものづくりの技術を培ってきた。従業員数は34人。本社所在地は、宮城県岩沼市相の原3の4の9。(電)0223・22・3104。FAX0223・22・4030。
http://www.sankei.com/region/news/161216/rgn1612160039-n1.html

http://archive.is/waBzG

タグ:鳥害
posted by BNJ at 21:37 | Comment(0) | 鳥獣狩猟ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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