2017年01月01日

トリをとる レアに挑戦 スクープよりも湖国の鳥を追え 記者たちの撮影奮闘記(その1) オオワシ /滋賀【毎日新聞2017年1月1日】

 今年は酉(とり)年。琵琶湖を中心に豊かな自然に恵まれた滋賀県は国内でも有数の“野鳥の楽園”だ。2017年は国連が「地球環境概況」を初めて報告してから20年目で、年内に第6次報告書が発表される予定もあり、改めて環境を考える1年になるだろう。山々や琵琶湖、周辺に広がる湿地……。各地に出向いて、優雅に浮かぶ水鳥、颯爽(さっそう)と飛ぶ山鳥たちに出会いたい。普段は政局や事件を追う記者たちが、鳥を追いかけてファインダーをのぞいた。

「おばあちゃん」颯爽

翼を広げて飛び立つオオワシの「おばあちゃん」=滋賀県長浜市湖北町の山本山で、大原一城撮影
 黒と白の羽毛に黄色いクチバシが目立つオオワシ。全長2メートルを超える。県北部の琵琶湖岸近くで毎冬を越し、「おばあちゃん」と親しまれる個体がいる。今冬も12月上旬に飛来した。彼女をカメラでとらえるべく現場に向かった。

 ◆1日目 雄姿ブレブレ

 真っ暗な午前5時ごろ大津市を出た。12月中旬の平日。野鳥観察の拠点となる湖北野鳥センターの植田潤主査に、撮影に挑戦すると伝えたのは前日のことだ。「本気で言ってるんですよね? とりあえず午前7時より前に山本山です」。琵琶湖岸からセンターを挟み、1キロほど東にある標高325メートルの山だ。彼女はここに毎冬、ねぐらを作る。「時折、餌を探しに飛びます。頑張ってください」

 山本山の西側に着くと、既に愛好家が数人いた。事情通そうな男性に「初めて来ました」と伝える。三重県の野鳥写真家だった。「あそこに松があるでしょ。脇に見える白い点です」。肉眼では全く分からない。

 空が明るくなるにつれ人数が増える。誰もが手に超望遠レンズ。記者の300ミリレンズとはレベルが違う。


飛び回るオオワシの「おばあちゃん」=滋賀県長浜市湖北町の山本山で、大原一城撮影
 周囲が指さす方向を見たり、超望遠レンズをのぞかせてもらったりしているうちに目がさえてきた。頂上付近の松の枝、葉の陰からおぼろげに白いお腹が見える。彼女だ。

 だが、葉陰から動かず、ほとんど顔も見えない。準備した三つのおにぎりを平らげた3時間後、ようやく顔が見えた。オオワシの視力はすごいといい、琵琶湖を見つめて餌の魚を探しているのだろうか。

 周囲がどよめいたのは午前11時ごろだった。「飛ぶぞ」「飛んだ」。向かって左側の山沿いだ。慌ててシャッターを切るが、瞬く間に見失った。写真を見るとブレている。

 琵琶湖に向かったのなら餌を捕って戻ってくる。期待して待つこと数十分。緊張が途切れたころ、姿が見えた。なんとかカメラに収めたが、それらしき形が写っている程度だ。

 琵琶湖まで行かず、途中の木で休憩しただけと聞いた。作戦を変え、餌を捕る姿を狙って琵琶湖岸へ。だが、3時間が過ぎても気配はない。曇り空は大雨に変わり、周りは撤退し始めた。「お兄ちゃんも今日はあきらめな」。悔しいが、仕方ない。

 ◆2日目「ツンデレ」?

 3日後の朝、再訪した。今度は400ミリの望遠レンズで挑む。天気が良く、10人以上が集まっていた。私も少し要領を得たのか、中腹の松の木から顔を出す姿を見つけた。

 前回は多くの人が陣取る場所、山から100メートルほど離れた農道に並んだ。だが、私の機材では飛ぶ方向によっては撮影が難しい。今回は山のふもとにへばり付く作戦だ。見上げるような角度になるが、飛び出した時に撮影できる可能性は高い。

 またしても約3時間、カメラを構えて待つ。一度体験したからか苦痛や不安はない。いずれ飛ぶ。その時を逃したくはない。胸は高鳴る。

 その時は突然やって来た。松の枝の上で体をモゾモゾし始め、翼を広げた。「飛ぶぞ」と思った瞬間からシャッターを切り続ける。彼女は体を90度転回し、ほんの1秒くらい、こちらに正面を向けた。我々の頭上を左回りにぐるりと一周し、元いた木から少し右よりの木に止まった。

 わずか10秒ほどだったが、なんという高揚感か。私と目が合った気がする。撮影した写真を見ると、鋭い目がかろうじて写っていた。翼を広げる姿や、滑空する姿も。まるで我々のためのデモンストレーション飛行といわんばかりだ。まさかの「ツンデレ」? 人間の視線などに動じない余裕? ともあれ、彼女が頂点に立つ自然の素晴らしさを体感した。【大原一城】

 県内で「レア」な鳥の撮影に5人の記者が挑んだ。互いに何種類の鳥を撮影できるかを競った記者たちもいる。その成否はいかに? それぞれの体験記を順次掲載する。

鳥インフルに注意
 全国で鶏やアヒルなどの家禽類や野鳥のH5N6型高病原性鳥インフルエンザウイルス感染が次々と報告されています。もし野鳥の死骸を見つけたら、決して手で触れず、市町や近くの県森林整備事務所に連絡して下さい。
http://mainichi.jp/articles/20170101/ddl/k25/040/243000c

http://archive.is/jwR9b
トリをとる レアに挑戦 スクープよりも湖国の鳥を追え 記者たちの撮影奮闘記(その2止) 県内の主な観測スポット /滋賀【毎日新聞2017年1月1日】
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posted by BNJ at 21:39 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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