2017年01月03日

流れて つながる営み【朝日新聞デジタル2017年1月3日】

利根川流域 みどころマップ(イラストは、ことなさん)

連載「利根川 水系をたどる」

流域の『見どころマップ』

 全長322キロ、流域面積1万6840平方キロメートル。関東を北から東に貫いて流れ下る利根川とその支流には、見どころが満載だ。歴史、レジャー、四季折々の自然――。「坂東太郎」とも称される大河の魅力を、記者が歩いて探した。 (イラストはことなさん)

◇上流部 ラフティングで満喫

 群馬県と新潟県の県境の大水上山(標高1831メートル)山頂付近。群馬側の斜面に、利根川の水源という逆三角形の「三角雪渓」がある。奥利根山岳会長の中島仁三郎さん(69)によると、水源に行くには、群馬の矢木沢ダムから2〜3日かけて川をさかのぼるか、新潟側から丹後山などを登っていく行き方がある。群馬からは初心者だけでは厳しいが、新潟側からなら日帰りでも可能という。「水源で飲む、利根川の一滴目は格別」と中島さん。

 夏場の利根川上流部はレジャーが盛んだ。代表的なものがラフティング。みなかみ町ラフティング組合長の狩野淳さん(44)によると、季節は4月下旬〜11月上旬。雪解け水が多い6月までは8〜12キロ、それ以降は3キロ程度を、インストラクターも同乗するゴムボートに乗って川を下る。沢を身一つで下るキャニオニング、ダム湖でのカヌーも人気という。(角詠之)

◇会の川「締切址」 「東遷」で誕生した大河

 東京湾(江戸湾)へ向かう流路を変え、太平洋へ導いた利根川の「東遷(とう・せん)」。江戸に近い川を制御して城下を水害から守るという、徳川家康が手がけた大治水事業の始まりとされる場所が、埼玉県羽生市に残る。

 1594(文禄3)年に支流「会(あい)の川」への流れを止めた「締切址(あと)」。利根川と交差する国道122号の昭和橋わきに石碑が立つ。いわば利根の大河の誕生の地だ。文化財保護を30年近く担当してきた同市教委の矢口孝悦さん(58)は「地域の歴史を体感できる場所の一つでしょう」と話す。

 日光への脇街道がここで利根川を渡り、関所が置かれた。3代将軍家光が東照宮に参拝する日光社参に合わせて植えたのが始まりとされる松並木も残り、江戸の世にタイムスリップしたかのような一角。今や利根川両岸の堤防にはサイクリングロードが整備され、休日には色鮮やかな服装のサイクリストでにぎわう。

◇「平地の3県境」 河川改修で地面に『出現』

 全国的にも珍しい「平地の3県境」が、栃木県栃木市と群馬県板倉町、埼玉県加須市の境にある。三つの県を一またぎにできる観光ポイントが、なぜ出現したのか。それには利根川の歴史とも関わりがある。

 利根川をまたいで南北に市域を広げる加須市。北側は旧北川辺町で、加須市との合併前は埼玉県で唯一、対岸にある自治体だった。利根川が今より北側を流れ、その流路を「武蔵国」の境とした名残という。

 旧国境をもとにした県境が、明治以降の河川改修で流れの中から地面に出現し、歩いて行ける場所になった。3市町が2016年2月、合同で測量しポイントを確定。位置を示す杭が打ち込まれた。

 約500メートル離れた所にある道の駅きたかわべ「スポーツ遊学館」によると、昨年は多い月で200人近くが足を運んだという。(高橋町彰)

◇渡良瀬遊水地 レジャー 一年中よし

 冬のこの時期。渡良瀬遊水地でひときわ目を引くのが、大きな帆を立てて水上を駆け抜けるウィンドサーフィンだ。

 遮るものなく吹き付ける冬のからっ風は、サーファーにとって何よりの自然の恵み。各地の波乗りたちが集まってくる谷中湖は、風に乗ると時速40〜50キロにもなるため、乗っているサーファーたちの顔つきは真剣そのものだ。「天気図を見て西高東低だと、すぐに湖に出かけます」。遊水地近くでマリンスポーツショップ「Mstyle」(群馬県板倉町)を営む星野政美さん(49)は声を弾ませる。最近は専用のたこを操るカイトサーフィンにもはまっているという。

 平らで広大な遊水地は、実はレジャーの名所。年間を通じてスカイダイビングやカヌーなどが楽しめ、4月は熱気球、9月には自転車レースの大会があるなど、季節ごとに様々な顔を見せる。(吉田貴司)

◇霞keケ浦 野鳥の楽園 観察は通年で

 琵琶湖に次ぐ大きさの霞ケ浦の水は決してきれいとはいえないが、四季折々の表情は人々をひき付ける。

 霞ケ浦を知り尽くす遊覧船の船長、黒田孝治さん(76)がまず挙げた季節は春。河口から全国花火競技大会の会場付近まで約4キロ続く桜川の土手の桜並木は「素晴らしい、の一言」。

 夏は大きな白い帆が印象的な帆引き船。明治時代に考案された漁船で、現在は観光客の目を楽しませる。写真愛好家に人気で、遊覧船からシャッターを切る人も。秋が深まると紅葉の筑波山。山裾までのグラデーションは必見だ。

 野鳥観察は通年楽しめるが、冬は渡り鳥が中心。マガモは3月ぐらいまで。白い額が特徴のオオバンは2月ごろ、1カ所に集まってパートナーを見つけるそうだ。ユリカモメはエサ目当てに遊覧船を追いかけてくる。ヒチコック監督の映画「鳥」を思わせる光景だ。(猪瀬明博)

イラスト:ことな

 埼玉県熊谷市在住のイラストレーター。1979年生まれ。作品に同市のキャラクター「ニャオざね」など。ペンネームは子どもと大人を合わせたもので、「大人になっても子どものように純粋に」との思いを込めている。
http://www.asahi.com/articles/CMTW1701031100001.html

http://archive.is/22Lc3

posted by BNJ at 11:26 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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