2017年01月03日

トリをとる レアに挑戦/2 チュウヒ「見たこと無い!」 獲物探し、低く舞う /滋賀【毎日新聞2017年1月3日】

獲物を探しながら飛ぶチュウヒ=滋賀県東近江市栗見新田町で、金子裕次郎撮影
飛ぶ物全て、撮る覚悟
 与えられたミッションは絶滅危惧種に指定されるタカの仲間チュウヒの撮影だ。トンビとタカの見分けも付かない私には無謀にも思えた。見たことも無い相手を写真に収めるのだから。「無事に年を越せるかしら」。心に暗雲が垂れこめた。

 カメラを構える前に、まずはチュウヒに関する勉強だ。毎年、野鳥観察会を開いている東近江市能登川博物館を訪ね、日本野鳥の会滋賀の石井秀憲前代表と、野鳥撮影のベテラン古坂伸行さんを紹介して頂いた。子供に教えるような丁寧な授業で唯一見付けた糸口は、ヨシ原を見渡せる場所をポイントにすること。チュウヒはヨシ原の中に巣作りするカヤネズミが好物で、獲物を探しながら低空で飛ぶらしい。

 しかし、最大の課題、他の猛禽類とチュウヒの区別が出来ない点は未解決のままだ。腹を据え、空を飛ぶ物は全て撮るという覚悟で臨むしかない。

 撮影地点の選定には手元にあるレンズの焦点距離も考慮した。300ミリまでの望遠レンズを持っているが、広い範囲で野鳥を追うには短かすぎる。ならば、細長いヨシ原の真ん中で待ち構えれば、通過するチュウヒを近くで見ることができるのではないかと想像。12月初旬の晴天を狙い、20メートルほどの幅で約700メートルのヨシ原が続く東近江市の大同川河口付近でカメラを構えた。

 午前9時。カラスとスズメ以外、鳥と見たら撮りまくる作戦をいよいよ開始した。撮影枚数は3000枚を超えた。途中、古坂さんが様子を見に来られ、「高い高度を舞うのはトンビ。上を見ずにヨシ原の上を目線の高さで注意しろ」と助言をいただいた。

 撮影を始めてから3時間ほどたった時、それは突然現れた。明らかに他の鳥と飛び方が違う。ヨシ原の上を、何かを探すように下を向きながら、シャープな体勢で飛んでいる。多少距離はあるものの、ピントさえ合っていれば何とかなる。姿が山陰に見えなくなるまで、夢中でシャッターボタンを押し続けた。

 「これだけ鳥の生きる姿を見つめた日が今までにあっただろうか」。振り返ってそう思う。例えば、死骸をあさる印象のトンビが、生きた小動物を狙って急降下し、カラスの群れに追われる。さまざまな場面を目の当たりにした。どんな鳥も強く、そしてか弱く自然と向き合い、時には孤高に、また仲間と共に生命を維持することに懸けている。身近にドラマが繰り広げられていることに気付いた1日だった。【金子裕次郎】
http://mainichi.jp/articles/20170103/ddl/k25/040/193000c

http://archive.is/cZ6UH
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posted by BNJ at 21:13 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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