2017年01月05日

科学の森 鳥のさえずり 個性や「進化」 コミュニケーション、多彩に【毎日新聞2017年1月5日】

 多様なさえずりで、なわばりをアピールしたり、求愛したりする小鳥たち。歌うだけでなく、拍子を取る種もいることが最近明らかになってきた。酉(とり)年にちなみ、鳥類のコミュニケーションの謎に迫る研究成果を紹介する。【大場あい】

 ●環境で歌い方変化

 「ホーホケキョ」。春先から野山などでひときわ響き渡るのはウグイスのさえずりだ。1羽ずつ識別できるほど歌に個性があるうえ、環境によっては“進化”することが分かってきた。

 国立科学博物館の濱尾章二・脊椎(せきつい)動物研究グループ長によると、こういったさえずりをするのは雄だ。繁殖のため雌をひきつけ、そこが自分の縄張りとアピールして他の雄を侵入させないための手段だ。3月ごろ、性ホルモン「テストステロン」の血中濃度上昇に伴ってさえずり始める。

 ウグイスは一夫多妻制で、雄はヒナの世話をせず、次々と雌を獲得しようと夏まで鳴き続ける。雌が巣を守るが、他の動物に襲われることが多く、そうなれば雌は新たなパートナーと交尾するからだ。歌い方は前年までに身近な成鳥から学んでいるが、春先は十分に声が出ず、音の数が少なかったり、声量が乏しかったりして下手に聞こえるケースもある。

 一方、濱尾さんの研究で、日本から1920〜30年代にハワイに持ち込まれて野生化したウグイスは、歌が単純化したことが分かった。複雑なほど雌とペアになったりするのに有利だとされるのに、なぜ変わってしまったのか。

 日本の多くのウグイスは、冬季は暖かい地域ですごし、春に山間部などの繁殖地に戻って縄張り争いをするが、一年中暖かいハワイのウグイスは島内の一定地域に定住。濱尾さんは「顔ぶれが同じで、競争が緩やかだからではないか。(何世代もかけて変化する)遺伝子レベルではなく、学習でさえずりが進化した可能性がある」と指摘する。小笠原諸島などのウグイスでも、本州などより単純な傾向があるが、わずか約80年で歌が顕著に変わった例は初めての確認だという。

 ●拍子を取り求愛

 さえずりに別の動作を組み合わせて求愛する小鳥もいる。文鳥は、雄が鳴きながらくちばしをこすって「ギリッ」という音を出すことが知られていた。北海道大の相馬雅代准教授(行動生態学)らのチームが音声解析したところ、決まった声の前後にくちばし音を挟むことが分かった。まるで拍子を取るみたいだ。親から隔離して育てても音を出すので、成鳥から歌と一緒に学ぶのではなく、独自に身につけるようだという。

 ●タップダンスも

 アフリカ原産のセイキチョウはさらに複雑だ。雌雄とも歌とダンスをするが、植物や羽根など巣の材料をくわえたまま鳴き、ジャンプを繰り返して「バチンバチン」と音を出す。北大大学院生の太田菜央さんらは、この音の正体をハイスピードカメラで撮影して突き止めた。ぴょんぴょんと跳ねているだけに見えていたが、その間に100分の1秒に1回ほどの高速で、タップダンスのように足を止まり木にたたきつけていたことが分かった。

 雌雄ともパートナーがそばにいると、ジャンプも、ジャンプ1回当たりのタップ数も増加していた。激しい動きや音、振動を、自分の魅力のアピールに利用している可能性があるという。さえずりだけでも魅力的なのに、他の動きを組み合わせる理由に定説はまだない。相馬さんは「鳥の求愛は古くから研究されてきたが、今も発見が続くことに興奮を覚える。雌雄のコミュニケーションの方法や意味を掘り下げたい」と話す。
http://mainichi.jp/articles/20170105/ddm/016/040/004000c

http://archive.is/nWnP6
ウグイスさえずり 短期で変化【NHK首都圏NEWSWEB2015年5月7日】

posted by BNJ at 11:54 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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