2016年12月27日

にいがた記者日記 年末ワイド版/6 生息状況観測、人手足りず 野生トキ、好奇心が支えに=南茂芽育 /新潟【毎日新聞2016年12月27日】

モニタリング中に薄い桃色の羽を広げて飛び立ったトキ=佐渡市で
 佐渡市で4月、いずれも野生下で生まれ育った国の特別天然記念物・トキのつがいから40年ぶりに「純野生」のひなが誕生した。野生下に生息するトキは現在約210羽。「野生復帰」に向けて着実に進んでおり、関係者の表情は明るい。ただ、数が増えたことで、トキの生息状況を日々観測する「モニタリング」は人手不足となっている。今月18日、2008年の放鳥開始以来、佐渡でトキを見守り続けている土屋正起さん(66)のモニタリングに同行した。

 朝5時半過ぎ、トキが目覚める夜明け前からモニタリングチームは行動を開始する。トキがねぐらにしている林から約100メートル離れた場所に車を止め、待つこと約30分。だが、普段は聞こえるというトキの「コココ……」という鳴き声は聞こえない。小高い丘の上から見渡す環境省職員の無線指示を受け、別の田んぼを探すことになった。

 車で移動していると、かすかに鳴き声を聞いたような気がした。ほぼ同時に車が止まる。「いた」。車からは降りずに窓を開け、望遠鏡を構える。田んぼで餌をついばむトキの足元を素早く確認し、足輪の色の組み合わせから4歳の雌と判断。近くには雄の姿もあり、土屋さんは「このままペアになりそうだな」とほほ笑んだ。そのままじっくり観察するのかと思いきや、「時間がない」とすぐさま次のトキを探すため、移動を始めた。

 モニタリングチームのメンバーは約10人。全員ボランティアで、年齢も50〜80代と高齢化が進む。以前は一羽一羽を追っていたというが、個体数の増加に伴い、生息状況の確認が優先となっている。それでも1日10羽の識別が限界で、野生下で生息する全羽を確認するのには約1カ月かかるという。

 土屋さんは「少しでも人手がいればうれしいが、早朝なので仕事を持つ若者などには難しい」と苦笑しつつ、大変さは感じさせない。その最大の要因は「トキの行動はまだまだ謎が多くて面白い」という尽きない好奇心だ。

 数が増えたことで、群れでの行動が見られるようになった。中には1羽でずっと過ごしていたのに、急に群れに合流するトキもいるという。時折本州への飛来が確認されるが、実際にどこまで飛ぶ力を持っているのかも分かっていない。「数が増えれば観察の質も変わる。今後は一つのテーマに絞って調査する時代になるだろう」と土屋さんは語る。

 淡い桃色の羽を広げて大空を舞うトキの姿は、佐渡の日常の光景に戻りつつある。その陰には、トキに魅了され、追い続けた人たちの存在があったことを改めて実感した。=つづく

http://mainichi.jp/articles/20161227/ddl/k15/070/057000c

http://archive.is/5ol7Q

タグ:トキ 佐渡島
posted by BNJ at 23:00 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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