2014年12月19日

鳥インフルエンザ 衝撃再び【下】韓国でウイルスまん延 渡り鳥倍増、高いリスク【宮崎日日新聞2014年12月19日】

 「野鳥は空からどんな場所にも降りてくる。どこで発生してもおかしくはない」。ブロイラーの飼育羽数が本県に次いで全国2位の鹿児島県。同県畜産課は延岡市北川町川内名の種鶏場で高病原性鳥インフルエンザの感染が確認された現実を冷静に受け止める。

 国内では今シーズン、例年より感染リスクが高まる予兆はあった。11月に島根県でウイルスが渡り鳥のふんから発見されて以降、4県で渡り鳥の感染が相次いで発覚。うち鹿児島県では11月下旬から、野生のマナヅルやナベヅルから検出され、半径3キロ内の養鶏場40カ所を立ち入り検査するなど、防疫レベルをほぼ最高水準まで引き上げてきた。

 ウイルスは野鳥や野生生物によって養鶏場に持ち込まれるとされ、県外の自治体でも養鶏場への立ち入り指導や防鳥ネット整備など対策を進めている。しかし過去の感染で防疫意識が高いはずの本県でみたび発生。島根県食料安全推進課は「これをやれば侵入を防げるという絶対的な対策はない」。

 本県での発生は約4年ぶりだが農林水産省によると、中国や香港、台湾など海外では継続的に発生している。韓国では2014年1月、2年8カ月ぶりに発生。鶏やアヒルなど246農場に爆発的に広がっている(14日現在)。

 「韓国は症状が出にくいアヒルを飼う農場が多く、気付かないうちにウイルスがまん延してしまう」。宮崎大産業動物防疫リサーチセンターの末吉益雄教授(家畜衛生学)は終息の見通しが立たない隣国の現状をそう解説する。

 4月に熊本県の養鶏場で検出されたウイルスは、韓国で広がり続けるウイルスと遺伝子の型がほぼ同じだった。末吉教授は「越冬のため、今後も韓国から本県に多くの渡り鳥が飛来する。韓国での感染が収まらない限り、危険な状況は収まらない」と見通す。

 渡り鳥の本県飛来数は今季、増加傾向にある。県の委託を受け宮崎市大淀川や一ツ瀬川など4カ所で、その数を調べている日本野鳥の会県支部(前田幹雄支部長)によると、今年は11月中旬から昨年を上回るペースで推移、12月中旬には昨年同期の2倍近い8千羽超を数えた。前田支部長は「日本列島で寒波が続いたことで、より暖かい本県に南下している。県内で感染が拡大した前回11年と状況が酷似している」。北川町の感染農場周辺でも環境省による野鳥の調査が18日始まった。

 渡り鳥の飛来は例年3月下旬まで。リスクが高い状況は当分の間続く。京都産業大の大槻公一・鳥インフルエンザ研究センター長は「第三者の目で発生した養鶏場の人の出入りや消毒の在り方などを詳細に検証し、今後の対策に生かすしかない」と求める。

【写真】発生地周辺にいる野鳥の種類や数をチェックする野鳥緊急調査チーム=18日午後、延岡市北川町川内名(県提供)
http://www.the-miyanichi.co.jp/tokushu/category_207/

鳥インフルエンザ 衝撃再び 一覧【上】どこまで防疫すれば… 養鶏関係者不安募る【宮崎日日新聞2014年12月18日】
 「まさかあの農場で…」。高病原性鳥インフルエンザへの感染が確認された延岡市北川町川内名の養鶏場。経営する60代の夫婦を知る人々は一様に首をかしげる。感染経路を調べる国の疫学調査は始まったばかりだが、真面目で丁寧な防疫を続けてきたことで知られる夫婦だけに、関係者に大きなショックを与えた。

 県は県内養鶏業者に、外から養鶏場の敷地に入る際と、さらに鶏舎に入る際の最低2回、長靴を履き替えるよう指導するが、夫婦は農場内の住居から鶏舎まで4回履き替えていた。野生動物が近づかないよう、小まめに農場周辺の草を刈り、知り合いが尋ねてきても農場の外まで出て対応してきた。

 8月にこの農場を巡回指導した延岡家畜保健衛生所の担当者は「出入り口の石灰散布もむらがなく丁寧。鶏舎内だけでなく農場周辺や事務所にも神経が行き届いていた」と振り返る。殺処分作業で農場に入った市職員も「しっかりと手入れされた鶏舎という印象を受けた」と話した。

 それでもウイルスは侵入した。27年間、夫婦二人三脚で農場を営んできた夫は「感染させてしまったということは、どこか落ち度があったということ。ただ、何が足りなかったのか…」と落胆し、「行政や養鶏関係者、近所の方々に迷惑と心配をお掛けしてしまった。本当に申し訳ない気持ちでいっぱい」と声を絞りだした。

 「どこまでやれば報われるのか」。児湯郡内で養鶏を営む男性は2011年の前回発生を教訓に、費用や手間を倍にして防疫に取り組んできた。だが「結局は運次第ではないのか」と徒労感に襲われることもある。県内発生が確認されてからは、気持ちを奮い立たせながら夜間の見回りを新たに始めた。

 発生農場と同じ延岡市で50年間、養鶏業を営む男性(79)も「なぜ宮崎ばかり」とショックを隠さない。行政の指導を仰ぎ、万全の消毒態勢でこの冬を迎えたが「どの農場も防疫は徹底していたはず。どこに隙間があるのか」と不安を募らせる。市担当者は「行政としても考えられる限りの防疫を講じてきた。それでも発生を防げなかったことが歯がゆい」とため息をついた。

 県は前回発生後の2011年11月、防疫マニュアルを作成。海外や国内で野鳥の発生情報があるたびに、県内養鶏業者に注意を呼び掛けるとともに年に一度、千を超える県内養鶏場すべてが対象の巡回指導を行ってきた。

 「県内発生を許した以上、われわれに何が足りなかったのか見つけなければならない」。県家畜防疫対策課の久保田和弘課長はそう語り、県内関係者に無力感が広がることを懸念。「確かに感染リスクをゼロにすることはできない。だが、小さな努力の積み重ね以外にゼロに近づける方法はない」

【写真】延岡市独自の消毒ポイントでの消毒作業。養鶏関係者からは「どこまでやれば報われるのか」との声も聞かれる=17日午後、延岡市北浦町古江の国道388号http://www.the-miyanichi.co.jp/tokushu/category_207/_23312.html
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http://archive.is/mo5ix
http://archive.is/pw4kC

posted by BNJ at 23:00 | Comment(0) | 養鶏畜産ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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