2017年01月11日

沖縄、壊された希少種の宝庫 3万本伐採、大量の砂利搬入 国が建設、米軍ヘリパッド【朝日新聞デジタル2017年1月11日】(ノグチゲラ)

ノグチゲラ(国特別天然記念物、国内希少野生動植物種、絶滅危惧1A類)

 沖縄県東(ひがし)、国頭(くにがみ)両村に横たわる米軍北部訓練場で国が建設したヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の周辺には、世界中で「やんばるの森」にしかいない動植物が数多く生きている。防衛省の事前調査でも動物97種、植物109種もの「貴重な動植物」が確認された。いずれも法律で保護される絶滅の縁にいログイン前の続きる種。その生息地を守るすべはなかったのか。

 「貴重な動植物」のリストは、那覇防衛施設局(当時)が環境影響評価に準じて2007年に公表した環境影響評価図書にある。施設局がヘリパッド建設地を選ぶため、1999年から調査を始め、数回の追加調査をしてまとめた。

 ヘリパッドは11地区の候補地から最終的に4地区6カ所に決まり、14年に2カ所が完成。オスプレイなどが利用を始めた。

 残り4カ所も昨年7月から工事を再開して12月には完成した。この工事で約3万本の樹木が伐採されたほか、工事を監視する市民グループの集計によると、10トンダンプ3千台以上の砂利が運ばれ、ヘリパッド造成や道路建設に使われた。

 だが、6カ所の周辺には、ヤンバルクイナやホントウアカヒゲ、リュウキュウヤマガメといった国の天然記念物、種の保存法で国内希少野生動植物種に指定されたオキナワイシカワガエルやイボイモリなどが確認されていた。

 評価図書によると、最も手厚く保護される国の特別天然記念物ノグチゲラは、6カ所すべての予定地周辺に生息。調査中の出現回数は年間95回、巣も35カ所で見つかっていた。中でもG地区と呼ばれる最も東のヘリパッド周辺では、出現回数52回、巣も15カ所と予定地の中で最多だった。

 それでもG地区での建設が決まったのは、近くの宇嘉川(うかがわ)河口陸水域が98年、米軍安波(あは)訓練場の返還と引き換えに米軍へ提供されたからだ。評価図書には「必要との強い要望があった」と、米軍の要求を最優先させた事情も記されている。

 ■県の反対、耳傾けず

 防衛省は昨年7月に再開した3地区4カ所の工事について、計画当初、「動物への影響をより少なくするため」として1地区ずつ工事を進める予定だった。ところが急きょ、「より早期に完成させるため」として同時期に着工。県の反対にも耳を傾けなかった。

 貴重な動植物の宝庫なのに、なぜ、生息地を守れないのか。

 例えばノグチゲラ。文化財保護法では、特別天然記念物の現状変更や保存に影響する行為をするには、文化庁長官の許可が必要だ。だが、文化庁の担当者は「個体の殺傷などがない限り、文化財保護法には抵触しない」と話す。今回のヘリパッド建設では「許可は必要ない」という見解だ。

 種の保存法でも、生息地を守るには地域指定などが必要だが、米軍施設内だけに指定は困難。この法律も基本的に指定された種の個体を故意に捕獲、殺傷した場合にだけ罰則が適用される。昨年9月に誕生した「やんばる国立公園」も、訓練場をすっぽり外した。

 文化庁、環境省いずれの担当者も「ノグチゲラはヘリパッド作業区域の外に逃げるから、個体殺傷ではない」と話した。

 だが、日本森林生態系保護ネットワーク代表の金井塚務さん(65)は「個体と生息地は不可分。生息地が破壊されれば、そこにいる個体も影響を受けるのは当然だ」と反論する。北部訓練場内でノグチゲラの調査経験がある沖縄環境ネットワーク世話人、花輪伸一さん(67)は「繁殖時期にもオスプレイが飛び回って、すでに影響が出ているおそれがある。鳥獣への影響はじわじわと迫ってきて、いつの間にかいなくなった、というケースが多い」と警告した。

 (編集委員・野上隆生)
http://www.asahi.com/articles/DA3S12742334.html

http://archive.is/8uJ7L
希少種の宝庫、米軍の要求優先で危機 ヘリパッド建設地【朝日新聞デジタル2016年12月6日】(ノグチゲラ)
北部訓練場の訓練道整備、希少種繁殖に影響 回避策は形骸化【琉球新報2016年12月1日】
やんばるの森、世界遺産登録への壁 すぐ隣に米軍訓練場【朝日新聞デジタル2016年11月28日】

タグ:ノグチゲラ
posted by BNJ at 22:33 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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