2017年03月14日

その咳、もしかして鳥アレルギー肺炎!? 羽毛布団、ダウンも原因に【dot.ドット朝日新聞出版2017年3月14日】(鳥関連過敏性肺炎)

ハトが集まる公園では、ふんや羽に要注意

 年齢を重ねると寝具やコートの重みが負担になる。軽くて暖かな羽毛布団やダウンジャケットを手放せない読者も多いだろう。だが、鳥由来の抗原が悪さをする鳥アレルギー性の肺炎をご存じだろうか。

 関東地方に住む伊藤幹さん(仮名・37歳)は、大学卒業後、地元の仏壇店に勤めていた。

 多忙だが充実した毎日。だが、いつのころからか疲労感が抜けなくなった。風邪も頻繁に引く。伊藤さんは、健康によさそうだと考え羽毛布団を購入した。

 だが、改善がないどころか、冬には高熱を伴う風邪をこじらせるようになった。

 3年後の冬、激しい頭痛を訴え、救急車で搬送された。CTスキャンで肺炎と診断。年末にふたたび肺炎で倒れた。会社の健康診断で、炎症を起こした肺胞の壁が硬く線維化する「肺線維症」だと指摘された。

「仕事は続けたが、息苦しくてたまらない。精密検査でも原因がわからず、春に東京医科歯科大学病院に入院しました」(伊藤さん)

 内視鏡手術も検討されたが、検査で鳥によるアレルギー性の肺炎が疑われた。

 伊藤さんを診察した同大呼吸器内科の宮崎泰成教授がこう話す。

「鳥が原因で起こる肺炎です。ハトやインコといった鳥の羽やふんに含まれる、タンパク質(抗原)を吸い込むことで、アレルギー反応を起こす肺炎です。正確な診断名を『鳥関連過敏性肺炎』と言います」

 一般的な肺炎は、細菌やウイルスが肺で増殖して炎症が起こる感染症だが、それとは異なり、アレルギー性であることが特徴だ。咳(せき)が2週間以上続けば、過敏性肺炎の可能性がある。

 宮崎教授によれば、鳥の主な抗原は2種類。ひとつは、タンパク質を含む「ブルーム」と呼ばれるフケのようなもので、鳥の羽の表面についている。ふたつめは、ふんに混じる「免疫グロブリン」という血清タンパク質だ。

 鳥の抗原を吸入する検査で、伊藤さんは40度の高熱を出した。診断がついた。

「すぐに、羽毛布団を含む布団一式と自宅の羽毛製品、抗原がついた可能性のあるカーテンまで処分しました。掃除機を徹底的にかけて、空気清浄機も購入しました」(伊藤さん)

 2015年の春、1年ぶりに職場復帰を果たす。

 だが、勤務2日目。体が熱っぽく、咳が出た。

「風邪かなと思いながら仏壇の掃除を続けました。ふと、右手に握る毛ばたきを目にして驚きました。『天然羽』と印字されているのです」(伊藤さん)

 外回りの仕事に異動したが、客の案内などで会社に戻ると具合が悪くなる。

 専用のノズルとフィルターをつけた掃除機で自宅と仏壇店のホコリを集め、大学の研究室で抗原量を測定。職場は基準値の5倍。羽毛製品を処分した自宅も、職場復帰前より増えていた。

「自宅玄関に入る前に、服のホコリをはらうなど気をつけていました。それでも防ぎ切れないのですね」

 両親の介護が重なったこともあり、その年の秋に伊藤さんは仕事を辞めた。いまも療養を続けている。

 東京都港区に住む鈴木幸子さん(仮名・68歳)は突然、咳と息切れに苦しむようになった。糖尿病のかかりつけ医から、咳止めを処方されたが効果はない。

 東京医科歯科大での検査で、鳥によるアレルギー性の肺炎と判明。10年前から使い始めた羽毛布団や羽毛素材のひざかけ、夫が愛用するダウンベストも処分した。

 鈴木さんが言う。

「年をとると、重量のある綿布団やコートはしんどい。夫も肩こりがひどいからと、羽毛製品を愛用していたの。まさか病気の原因になるなんて……」

 鈴木さんは咳ぜん息も併発しており、症状はなかなか緩和されないという。

「どこで抗原を体にためてしまったのでしょう。確かに、自宅周辺はハトが多く、ふんだらけの場所もあります。昔は、ハトがたくさんいる公園で子どもと一緒に遊んでいましたから、そのときなのか」(鈴木さん)

 冬は風邪を引いて当たり前。鈴木さんはそう信じていた。だから、風邪と咳が続いても疑問に思わなかった。鳥アレルギーによる肺炎の症状が出るたびに、処方された風邪薬を服用し、なんとなくやり過ごしてきたことが悔やまれる。そう、鈴木さんはつぶやいた。

 宮崎教授によれば、鳥やカビなどの抗原によるアレルギーによる「過敏性肺炎」の潜在患者数は、国内で数千人と推定される。

 正確なデータはない。実は、鳥によるアレルギー性肺炎について、専門知識と臨床経験を持つ医療機関は全国でも少ない。通り一遍の問診と画像診断では、原因を見逃すこともある。

「呼吸器科の医者でも、患者さんに、『鳥を飼っていますか』『羽毛布団は?』とは確認しませんからね。他院から紹介された慢性の過敏性肺炎の患者さんは、4割が前の医師から原因不明の肺炎と診断されていたのが実情です」(宮崎教授)

※週刊朝日 2017年3月17日号より抜粋
https://dot.asahi.com/wa/2017031000016.html
https://dot.asahi.com/wa/2017031000016.html?page=2

http://archive.is/XElCr
http://archive.is/as0O7
【気になるこの症状】鳥関連過敏性肺炎 ジャケットや布団も原因に【ZAKZAK2017年1月5日】(既報関連ソースあり)
羽毛布団出したらコホッ 鳥アレルギーの肺炎かも【NIKKEI STYLE2016年12月13日】
羽毛布団も“引き金”に…鳥が危ない肺炎を招く【日刊ゲンダイDIGITAL2016年11月16日】

posted by BNJ at 11:37 | Comment(0) | 鳥類一般ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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