2017年04月06日

鳥インフル、世界で猛威 欧州27カ国で発生 日本は野鳥感染最多【朝日新聞デジタル2017年4月6日】

鳥インフルエンザへの感染予防で隔離するため、つかまえられたコブハクチョウ(左)とコクチョウ=1月、滋賀県

 今冬、高病原性鳥インフルエンザが世界的に流行した。欧州では27カ国で発生、日本でも野鳥での感染例が過去最多を記録した。これまでの教訓を生かし、ニワトリなど家禽(かきん)への感染をなんとか抑え込んだが、専門家はウイルスの広がりが新たな段階に入った可能性があるとして、注意を呼びかけている。

 (小川裕介、香取啓介)

 ■2系統のウイルス、同時に流行

 名古屋市の東山動植物園にある胡蝶(こちょう)池は昨年末から水が抜かれたままだ。飼育されていたコクチョウ3羽が相次いで死に、H5N6亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出された。その後、別の池のシジュウカラガンやマガモでも感染が確認され、消毒や防疫措置のため約1カ月間の休園となった。

 担当者は警戒を早めて、飼育していた鳥を渡り鳥が飛来する池から隔離していたが「今後は展示の方法を考えないといけない」と話す。

 今冬、国内の野鳥で検出された高病原性鳥インフルエンザは22都道府県218件に上る。全国的な野鳥感染は2010〜11年シーズンの60件以来で過去最多だ。

 感染は昨年11月以降、渡り鳥の飛来直後から東北地方を中心に始まり、中部や近畿に飛び火した。京都産業大の大槻公一・鳥インフルエンザ研究センター長は「多くの渡り鳥が飛来前から高い確率でウイルスに感染していたのではないか」とみる。ハヤブサやフクロウなどの猛禽類からも検出されており、「猛禽類に捕食される多くの野鳥がウイルスに感染していることを示すものだ」と言う。

 一方、国内の養鶏場など家禽への感染は9道県12農場であった。約166万7千羽が殺処分されたが、10〜11年シーズンとほぼ同数に抑えた。農林水産省は「各農家が鶏舎への小動物の侵入防止策をしっかり取った結果」と話す。

 韓国でもH5N6を中心に高病原性鳥インフルが猛威を振るい、家禽で380件以上の発生が確認され、3700万羽以上が殺処分された。

 感染が広がっているのはアジアだけではない。フランスで443件の家禽への感染が見つかるなど、欧州や中近東、インドでは今冬、H5N8ウイルスが広がった。東アジアで流行しているH5N6とは違う系統で14〜15年に東アジアで流行したものだ。

 二つの異なる系統のウイルスが地域を分けて同時に流行するのはこれまで例がない。大槻さんは「世界的に感染の広がりが新しい段階に入ったのではないか。複数のウイルスが混じり合うのか、しばらく住み分けが続くのか、注視する必要がある」と話す。

 ■「蔓延、元から手を打つ必要」

 日本での流行は、渡り鳥が中国などで蔓延(まんえん)するウイルスをリレーのようにして運んでくるためとみられる。多くの渡り鳥は夏を営巣地であるシベリアで過ごし、秋になると南下を始める。今年2月に発表された米ロの研究ではシベリアで見つかった死んだ野鳥からH5N8ウイルスが見つかり、中国などで流行するウイルスと近いと確認された。

 鳥インフルは1996年に中国南部でH5N1ウイルスが確認され、注目された。中国や東南アジアでは04年ごろから毎年のように流行が続き、H5N6やH5N8など別系統のウイルスも出てきた。

 鳥インフルエンザウイルスは変異しやすく、巧みに姿を変えながら感染するが、農研機構動物衛生研究部門の西藤岳彦・領域長は「かなりの数の野鳥がウイルスに感染しないと別系統のウイルスは生まれてこない。野鳥の中で増えやすいウイルスが選択されて生き残ったのではないか」と話す。

 国内の農場で高病原性鳥インフルエンザが見つかると、家畜伝染病予防法に基づき場内の家禽がすべて殺処分される。感染をほかの農場に広げないためだ。一方、中国やベトナムなどでは事前のワクチン接種で予防を図る。北海道大の喜田宏・人獣共通感染症リサーチセンター統括は「ワクチンはインフルエンザの発症を抑えられても他の鳥への感染を防ぎきれず、ウイルスが蔓延してしまう」と言う。

 日本国内での鳥インフルの発生は04年に79年ぶりに確認されて以降、ほぼ数年おきに繰り返されている。同大の迫田義博教授(ウイルス学)は「ガスの元栓を断たないと火が収まらないように、中国などで蔓延するウイルスに手を打たないと、いずれ国内に再び飛び火する」と指摘する。

 ■水際対策「旅行者の荷物検査、厳格に」 エロワ・国際獣疫事務局長

 動物の感染症対策をする「国際獣疫事務局」(OIE、本部・パリ)のモニーク・エロワ事務局長が朝日新聞の取材に応じ、日本の空港で中国からの渡航者が持ち込もうとした生肉から高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出されたことについて、「旅行者の携行品を厳格に検査する必要がある」と水際対策の重要性を強調した。

 エロワ氏は「旅行者のスーツケースから見つかるものは想像を超えている。様々な食肉が出てくることがあり、(病気を広げる)とても高いリスクがある」との認識を示し、「旅行者の携行品を含むすべての家禽の輸入を管理することが重要だ。検疫所が税関と協力し、水際対策を強化する必要がある」と指摘した。

 対策として、「空港にポスターを貼るなど、食品を(外国に)持ち込むのは危険だという意識を高めることが重要だ」と話した。一方で「すべての旅行者をコントロールできない。国境での管理を厳格にする必要があるが、すべてのリスクを避けることはできない」とも語った。

 国境を越えて広がる感染症については、「残念ながら、すべての感染症発生を報告しない国がある。加盟国は正しい情報を発信し、透明性を高めてもらいたい。透明性がなくては、自国の食品の信頼性を失うことになる」と述べた。
http://www.asahi.com/articles/DA3S12878647.html

http://archive.is/Mq5fh

posted by BNJ at 21:36 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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