2017年04月12日

野鳥とともに/1 藤前干潟(名古屋市) 都市近郊に貴重な中継地【毎日新聞2017年4月12日】

藤前干潟
 藤前干潟は、愛知県と三重県に挟まれた伊勢湾の最奥部に広がる干潟です。その最奥部には、かつて広大な面積の干潟がありましたが、1950年代以降、港湾開発などで埋め立てられ、名古屋市南西部の沿岸に残るのみになりました。そこには、春と秋に南半球と北半球を行き来するシギ・チドリ類や、日本で越冬するカモ類やカモメ類など、多くの野鳥が訪れ、国内有数の渡り鳥の渡来地となっていました。

 この場所に、ゴミ最終処分場の建設計画が持ち上がったのは84年のことです。計画に対し、市民グループや自然保護団体による粘り強い保全活動が行われました。10万人を超える請願署名が集まり、環境影響評価準備書に対する意見書の提出や名古屋市民によるゴミ減量への取り組みなども相まって、99年に計画中止となりました。2002年には国際的に重要なラムサール条約登録湿地にも指定され、保全とワイズユース(賢明な利用)をする場所として、人口230万人を超える名古屋市近郊にありながらも、人々が自然に触れあえ、その恵みを享受できる場となっています。

 藤前干潟では、これまでに170種を超える野鳥が観察され、中でもシギ・チドリ類は41種が記録されています。春に、繁殖地のシベリアに向かって北上し、秋に、越冬地のオセアニアに南下するシギ・チドリ類にとって、この干潟は羽を休める場所です。かつ、干潟にすむヤマトオサガニなどのカニ類やゴカイ、貝類などの底生生物は渡り鳥の餌となり、渡りに必要なエネルギーを得るための貴重な中継地となっています。

 春の干潟は、冬を過ごしていたハマシギやスズガモなどに代わり、繁殖地に向かう途中に立ち寄る、美しい夏羽のオオソリハシシギやメダイチドリなどが飛来し、1年で最もたくさんの種類の野鳥が観察できる時期を迎えています。多くの市民の賛同で守られた、貴重な干潟を一度訪ねてみてはいかがでしょうか。(日本野鳥の会・山本裕)=次回は5月10日

 ※国際的な基準で選定された「重要野鳥生息地(IBA)」を紹介します。国内に167カ所あります。

主な飛来鳥
ハマシギ

トウネン

ダイゼン

オオソリハシシギ

スズガモ
https://mainichi.jp/articles/20170412/ddm/013/040/010000c

http://archive.is/DPnEW
BirdListening 消えゆく鳥たち シマアオジ【毎日新聞2017年3月15日】

posted by BNJ at 11:10 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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