2017年04月21日

(古都)ぶら ダム 川の姿を変えた【朝日新聞デジタル2017年4月21日】

【動画】人工孵化(ふか)で生まれたウミウの「ふるさと」塔の島と、その上流の天ケ瀬ダム=小山琢撮影

桜が散り始めた4月半ば、橘島のわきを屋形船が静かに進んでいった=宇治市の宇治川左岸

■ウッティーのふるさと(宇治市)

特集「京都 よむ・みる・あるく」
京都非公開文化財特別公開(4/28〜5/7)
 卵を産むことはないと思われていた鵜(う)飼いのウミウが、宇治川の中州・塔の島(宇治市)の鵜小屋で産卵してから3年。人工孵化(ふか)で生まれたウミウは5羽になり、「ウッティー」と呼ばれて親しまれている。ウッティーの「ふるさと」を歩いてみた。

 世界遺産・平等院の表門前から向かって左側の道を進むと、宇治川左岸に沿った石畳の「あじろぎの道」に出る。少し上流に行くと、ウッティーたちが産声をあげた市観光センターがある。今年も4月初めからウミウの産卵が始まり、2階に置かれた孵卵器(ふらんき)(非公開)では、15個(21日時点)の卵が温められている。

 ログイン前の続きセンターでは、市観光協会の職員が観光案内や宣伝に携わる。北本直子さん(44)は「中国や台湾からの観光客が増え、外国語対応の必要性をひしひしと感じます」。最近は、茶葉の種類の違いや茶畑を見ることができる場所といった突っ込んだ質問が多いという。ウッティーについて説明する時は、興味をもってもらえるよう、iPadを使って成長の様子を写真で見せるそうだ。

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 さらに上流側へ歩くと、宇治川中州の「塔の島」へ渡る喜撰橋(きせんばし)がある。橋のたもとに宇治川観光通船の事務所があり、11隻の屋形船がつながれている。通船の創業は、119年前の1898(明治31)年だ。

 通船の社員で、鵜匠(うしょう)でもある松坂善勝さん(78)は、中学生のころからアルバイトに来ていた。「お客さんが50人ほど乗って、川をなかなか上らない船は、川に入ってロープで引っ張った」と言う。鵜飼いの合間、次の出番まで、綱をつけたウミウを舟べりで泳がせておく役も任された。「綱をからませたらあかん。鵜の操り方は自然に覚えたな」

 1964(昭和39)年、約2キロ上流に天ケ瀬ダムができた。1950年から約10年間は、現在ダムがある辺りから上流3キロほどの区間に「おとぎ電車」(トロッコ電車)が走り、大勢の観光客でにぎわった。

 当時は、橘島と宇治上神社などがある宇治川右岸を結ぶ橋はなく、渡船があった。おとぎ電車の駅と塔の島付近を結ぶ船も運航されていた。遊覧船やボートを含め、多くの船が川面を行き交っていたという。

 72年には朝霧橋が開通し、橘島と右岸を歩いて行き来できるようになった。一方、ダム建設とともに下流の河川改修が進み、川の流れが速くなった。鵜飼いや遊覧船の運航は、塔の島、橘島と左岸との間の狭い水域だけで実施するようになった。「ダムが完成して、川の姿が変わった」。宇治川観光通船の社長、民秋和之さん(60)は振り返る。

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 喜撰橋を渡って塔の島に入る。そびえ立つ高さ約15メートルの巨大な石塔は、国重要文化財の「浮島十三重塔」だ。増水でたびたび流された宇治橋の再建を願って、鎌倉時代に建てられた。江戸時代に増水で川の中に埋もれたが、発掘され、1908(明治41)年に復元された。塔の島という名は、この塔にちなむ。

 鵜飼いのウミウたちが暮らす鵜小屋は、塔の島の北端にある。増改築されて広さが2倍になり、3月末にウッティーを含めた16羽が引っ越してきた。正面の金網は黒くなり、ウミウたちがよく見えるようになった。だが、産卵するペアを刺激しないように、下部にある巣は見えないようにしてある。

 3年前に1羽だけ生まれた初代ウッティーは、ほかのウミウと少し離れて、いつも小屋の隅にいる。「小屋の掃除をしていると、すぐに背中に飛び乗ってくる。鵜より、人といるのが好きなんです」と、鵜匠の澤木万理子さん(43)。泳ぎの練習中、綱がはずれて「脱走」したこともあったが、しばらくして澤木さんの呼びかけに応じて戻ってきた。

 ウッティーの誕生によって、ウミウに綱をつけない「放ち鵜飼い」の構想がもちあがった。6月中ごろから本格的なトレーニングが始まる予定だ。何年かすると、鵜飼いの光景も変わるかもしれない。(小山琢)

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 市観光センターの隣にある市営茶室対鳳庵(たいほうあん)は、平等院鳳凰堂(ほうおうどう)に相対して立つことから名付けられた。煎茶、玉露、抹茶のほか、お点前体験(3日前までに要予約)もある。

 「宇治川の鵜飼(うかい)」は7月1日〜9月30日。観覧船(乗り合い、貸し切り)が運航される。増水などで中止となる場合もある。市営茶室、鵜飼いともに、問い合わせは市観光協会(0774・23・3334)へ。遊覧船の問い合わせは宇治川観光通船(0774・21・2328)。

 平等院境内にある藤は、今年は大型連休後半ごろが見頃となる見込み。平等院ホームページで開花状況を確認できる。
http://www.asahi.com/articles/ASK4M2GTSK4MPLZB004.html

http://archive.is/DYQId
ウミウ 卵、今年10個目 宇治川の鵜飼い /京都【毎日新聞2017年4月18日】

posted by BNJ at 21:56 | Comment(0) | 鳥獣狩猟ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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