2017年05月10日

カラスに人工愛の巣 中電、駆逐作戦から一転【中日新聞2017年5月9日】

鉄塔の中央に備え付けた人工巣に住み着いたカラス=浜松市東区で(中部電力提供)

カラスの営巣活動を監視する中部電力の社員=浜松市東区で

 送電の鉄塔に巣を作って停電を引き起こすカラスの被害に対応しようと、中部電力(名古屋市)が電線から離れた場所に人工の巣を置く風変わりな対策を進めている。なかなか効果が出なかった旧来の駆逐作戦から一転、カラスのつがいに効率的に「愛の巣」を提供することで電気の安定供給に効果をもたらしている。

 「ひなは無事に巣立ったみたい」。浜松電力センター(浜松市東区)の送電担当杉浦丘都(たかひろ)さん(23)が鉄塔に目を凝らす。双眼鏡でとらえたのは電線から離れた鉄塔中央部の樹脂製かご(直径約四十センチ)だ。センター管内にある約千百二十基の鉄塔のうち、巣が作られやすい平地の三百二十七基に取り付けられている。

 カラスの巣作りが多いのは二〜五月。巣の材料になるハンガーや木の枝は風や雨で落下し、電線に引っ掛かってショートを起こす。中電管内の送電設備の故障のうち、カラスによるものは年約百件に上り、数百件規模の落雷の次に多い。営巣シーズンには鉄塔に登って巣を取り除く作業にてんてこ舞いだ。

 電力各社は営巣を防ごうと、鉄塔に針山を置いたり、金属線を張り巡らしたり。それでもカラスは賢く、妨害物を巧妙に避けて巣を作る。巣の被害が特に多い浜松電力センターは「いっそ電線から離れた所に営巣するよう誘導してみよう」と考え、二〇〇四年に人工巣の設置を開始した。

 すると多くのカラスのつがいが住み着き、子育てを始めた。人工巣の利用が増える分だけ自然巣の除去の回数が減り、停電防止と作業の負担軽減につながった。こうした効果から、中電管内の愛知、岐阜、三重、静岡、長野県では現在二千個以上が設置されている。

 センターは一六年、人工巣の利用率を上げる新たな工夫も始めた。利用の少ない人工巣九十二個を取り外し、最近、自然巣を取り除いたばかりの鉄塔の問題のない場所に移した。「カラスが好む場所」と判断したためだ。

電柱に作られた、ハンガーなどを利用したカラスの巣。電線に引っ掛かりショートする恐れがある

 その結果、センターが管理する人工巣の利用率は前年と比べて4ポイント増の67%に上昇。自然巣が減り、除去作業も五十五件から二十七件へ半減した。人工巣の新設費用は購入費も含め一個当たり一万五千円だが、移設費なら五千円で済む。

 センターの分析によるとカラスは地上三十〜五十メートルに営巣するケースが九割で、鉄塔の上部を好む傾向がある。送電課副長の斎藤博さん(52)は「人工巣の効率的な運用はホテル経営と同様、稼働率の向上に懸かっている。どこに営巣するか『カラスの勝手でしょ』と思い込まず、最適な巣の位置を検討して停電防止に努めたい」と話している。

 (小柳悠志)

 ◇ 

 中部電力は「カラスによる送配電設備の被害を防ぐには市民の協力が不可欠」として、電柱などにカラスの巣があるのを見かけたときは、最寄りの営業所に通報するよう呼び掛けている。
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2017050902000248.html

電柱のカラスの巣、あえて放置 中部電力のねらいは?【朝日新聞デジタル2017年6月19日】
「カラスの巣 残置中」を知らせる電柱の標識=名古屋市守山区

 カラスの巣を残しています――。中部電力が、そんな標識を電柱にはっている。巣は停電の原因となり、2月から7月にかけては社員が対策に追われる日々だ。その巣を、わざわざ残すわけは?

 名古屋市守山区の交差点付近にある高さ約14メートルの電柱。「カラスの巣 残置中」と知らせる緑色の標識が巻かれていた。見上げると、カラスの巣。今年3月に見つかり、中電が標識を設置したという。

 カラスは、雨にぬれた木の枝や針金など電気を通すものを巣作りに使う。電線に触れることで漏電やショートを引き起こし、停電につながる恐れがある。

 名古屋市と近隣35市町村を管轄する名古屋支店は、昨年約100件の停電があり、そのうち約10件がカラスの営巣によるものだった。今年もすでに8件(6月5日現在)あり、4月上旬には名古屋市北区と西区で計約1400戸の停電があった。

 名古屋支店では、素材に針金が使われるなど停電リスクの高い約2100カ所(6月5日現在)の巣を撤去した。1日約100カ所撤去したこともある。

 ただ、停電につながりそうにない巣は標識を設置した上で残しておく。巣を撤去されたカラスが別の電柱に営巣する可能性があるためで、5日時点で約1千カ所にのぼる。広報担当者は「撤去すれば良いということではない」と語る。

 中電では、遅くても1999年ごろから標識を設置してきた。営巣の季節が過ぎると、「引っ越し」のリスクがなくなったとして、巣をすべて撤去するという。担当者は「標識のない電柱で巣を見つけたら、停電の恐れがあるので最寄りの営業所に連絡を」と呼びかけている。(後藤隆之)
http://www.asahi.com/articles/ASK666QRYK66OIPE01V.html

http://megalodon.jp/2017-0510-1137-55/www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2017050902000248.html
http://archive.is/Cu8m8
電線トラブル防止へ…カラスの巣を撤去(長野県)【NNNニュース2017年4月24日】
カラス 「巣」撤去めぐり電力会社と攻防 石川【毎日新聞2017年4月14日】
カラスの巣で1050戸停電【読売新聞2017年4月12日】(会津若松市)
北海道)厄介者のカラスとどう共存【朝日新聞デジタル2017年4月12日】
電柱に鳥の巣、機器に接触して停電 名古屋の1400戸【朝日新聞デジタル2017年4月9日】
唐津など2万2000戸、1分間停電 鳥の巣原因か【佐賀新聞LiVE2017年3月26日】
停電の原因 カラスの巣  九電「見たら連絡を」【大分合同新聞2017年3月26日】
停電被害防げ、電柱のカラスの巣撤去【読売新聞2017年3月25日】(岐阜県)
カラスの巣原因、山形で一時停電【山形新聞2017年3月16日】

posted by BNJ at 11:39 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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