2017年05月24日

千本松原、枯死の危機 カワウの営巣急増、銃は使えず【朝日新聞デジタル2017年5月24日】

【動画】マツに集まるカワウとみられる鳥たち=山岸玲撮影、岐阜県提供

カワウの巣が集まる松では葉が少なくなっている=岐阜県海津市海津町油島

 約260年前の「宝暦治水」の歴史を伝える岐阜県海津市の「千本松原」。国史跡でもある松林でカワウの営巣が急増し、松が枯れる心配が出てきた。松林を管理する国は対策の必要性を認めているが、銃が使いにくい場所なうえ、追い払えば営巣地の拡散を招きかねない。国も県も頭を抱えている。

 千本松原の正式な名称は「油島千本松締切堤(あぶらじませんぼんまつしめきりづつみ)」。長良川と揖斐川を分ける堤防上に、約1千本の松が南北1キロ近く続く。松は江戸時代、多くの犠牲者を出して薩摩藩が実施した治水工事「宝暦治水」を記念して植えられたと伝えられる。

 5月中旬、松林の下の歩道を歩くと、松林のほぼ半分で鳥の巣を確認した。頭上から「ピーピー」「ガーガー」という鳴き声が間断なく響いてきて、足元に視線を落とせば白いふんが多く落ちている。ふんの独特のにおいが鼻につく。

■数年前から増加、原因は不明

 千本松原を管理する国土交通省木曽川下流河川事務所海津出張所によると、カワウが増え始めたのは数年前。原因は不明だという。急増を受けて県が昨年、初めて生息数を調べたところ約200羽を確認した。

 環境省がカワウの保護管理ガイドラインで挙げる具体的な被害が、樹木の枯死だ。千本松原でも巣が集まる周囲では葉の減少は確認できる。愛知県・知多半島にある国指定天然記念物「鵜の山ウ繁殖地」では、ふんによる松林の枯死が起きている。

 河川事務所の担当者は「対策の必要性を感じている」と話す。専門家に聞くなどして具体的な対策方法を検討しているという。

 ただ、すぐ効く対策はない。松林に沿うように県道がのびており、カワウ対策を担う岐阜県農村振興課の担当者は「銃を使うには安全が確保できない」。

■アユ被害も

 岐阜県内ではここ10年ほど、カワウによる漁業被害額が年間2千万〜5千万円程度ある。被害の9割近くはカワウに食べられたアユだ。カワウは巣から20キロ以上飛んでエサをとりにいくため、同課の担当者は「追い払っても繁殖地を拡散させたら漁業被害対策の意味がない」ともらす。

 県は昨年、2023年度までにカワウを半減させる目標を設定。昨年度から別の繁殖地で高性能の空気銃を使った個体数調整に乗り出し、今年度は卵が孵化しなくなる作用がある液剤をドローンで巣に散布する研究も始めた。

 カワウは在来種で、環境省はガイドラインで「平和的共存」を目指すと定めている。ただ、岐阜県を含む各地の自治体でカワウ対策の支援をする「イーグレット・オフィス」(滋賀県)の須藤明子専務は「国史跡の千本松原は共存を許容できる場所ではないだろう」と話す。拡散を覚悟して追い出すか、県道を通行止めにして捕獲する選択肢が考えられ、「放っておけば松は枯れる。対策をとるべきでは」と指摘する。(山岸玲)

     ◇

 〈カワウ〉 全長80センチほど。岐阜市の伝統行事「長良川鵜飼(うかい)」などで使われる鵜は別種類の「ウミウ」で、見た目はほとんど変わらない。1970年代に絶滅が危惧されるほど生息数が減ったが、80年代以降、急速に数を増やし、全国各地で漁業などへの被害が問題化している。
http://www.asahi.com/articles/ASK5K4FCGK5KOIPE011.html

http://archive.is/ozrfi

posted by BNJ at 20:39 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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