2017年05月25日

(天声人語)コウノトリ舞い戻れ【朝日新聞デジタル2017年5月25日】

 翼を広げると2メートル。目の周囲が赤く、首をまっすぐ伸ばして飛ぶ――。パンフレット「あなたのまちにコウノトリが飛来したら」はサギとの見分け方を図解する。兵庫県立コウノトリの郷(さと)公園が2年前から各地の自治体に配ってきた。放鳥を始めて10年の節目に作った▼懸念された事故が先週、園から西へ約170キロの島根県雲南市で起きた。サギの駆除を頼まれたハンターが、誤ってコウノトリを撃ってしまう。足環(あしわ)から、園を巣立った5歳のメスとわかった。何とも気の毒な事故である▼「心のあかりが消えたみたい。お年寄りも子どももがっかりしています」と雲南市大東町の石川幸男さん(71)は話す。住宅地の電柱に巣を作ったのが3月初旬。以来、巣に異変がないか皆で見守るのが日課になった▼車での通行をなるべく避ける。あぜ道の草刈りを先に延ばす。こいのぼりをやめた家もある。子育ての邪魔をすまいという地域の心配りに頭が下がる▼かつては各地で見られる身近な鳥だった。戦時中、巣に適した松林が切られ、戦後は農薬でエサの魚やカエルが減る。1971年、野生下では絶滅した。最後の生息地となった兵庫県が飼育の努力を続け、89年春にヒナが初めてかえった▼放鳥も軌道に乗り、園の田中隆之総務課長(49)によると、いま約90羽が野山を舞う。足環をつけて飛ぶ姿は、秋田をのぞく46都道府県と韓国で目撃されている。かの瑞鳥(ずいちょう)が筆者の頭上を舞った日もあったかと思うとそれだけで胸が温かくなる。
http://www.asahi.com/articles/DA3S12954513.html

http://archive.is/INXP9

タグ:コウノトリ
posted by BNJ at 11:26 | Comment(0) | 鳥類コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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