2017年06月07日

野鳥とともに/3 仏沼・小川原湖湖沼群(青森県) 地道な保護活動、環境を維持【毎日新聞2017年6月7日】

仏沼でさえずるオオセッカ=「NPO法人おおせっからんど」宮彰男さん撮影

 仏沼(ほとけぬま)・小川原(おがわら)湖湖沼群は、青森県東部の太平洋側にある、仏沼干拓地(約250ヘクタール)と大小の湖沼群からなります。広大な湿地や草原はオオセッカやコジュリン、チュウヒなど希少な草原性の鳥類の繁殖地です。また、春と秋にはマガンやヒシクイなどのガン類やシギ・チドリ類などの渡り鳥が中継地として利用しています。ハクチョウ類やカモ類、オオワシなどの越冬地でもあり、これまでに約230種の野鳥が観察されています。

 干拓地は、かつては沼地でした。1963年以降、干拓が進められ、農地として整備されたものの、その後の減反政策によって作付けがほとんど行われず、現在はヨシを主体とする湿原に変わっています。

 この湿原を代表する野鳥が全長約13センチ、センニュウ科のオオセッカです。環境省レッドリストの「絶滅危惧1B類」に指定されています。仏沼では、73年に生息が確認され、82年以降行われている一斉調査では、現在約1000羽が確認されています。この鳥は、背丈の低い下草が生えるヨシ原を好むため、ヨシと下草のバランスが崩れると生息には適さなくなります。

 仏沼は、長年にわたり農家の方による農地を維持するための排水管理や、年に一度の火入れが行われてきたことで、草丈の低い低層湿原が維持され、オオセッカの貴重な繁殖地となりました。また、市民グループの土地の買い取りなどによるナショナルトラスト運動や仏沼の重要性を紹介するシンポジウムなど地道な保護活動によって、2005年にはラムサール条約の登録湿地になりました。

 初夏の仏沼は「ビジョビジョビジョ……」とさえずりながら飛んだり、ヨシにとまって鳴いたりする数多くのオオセッカに加えて、コヨシキリやホオアカなどの小鳥のコーラスに包まれています。農家や多くのボランティアの方が支えている仏沼の風景を次の世代にも残していきたいものです。(日本野鳥の会・山本裕)=次回は7月5日掲載

 ※国際的な基準で選定された「重要野鳥生息地(IBA)」を紹介します。国内に167カ所あります。

主にみられる鳥
オオセッカ

コジュリン

チュウヒ

ウズラ

カンムリカイツブリ
https://mainichi.jp/articles/20170607/ddm/013/040/036000c

http://archive.is/vDCa5
野鳥とともに/2 三宅島(東京都三宅村) 固有種がすむ火山の島【毎日新聞2017年5月10日】
野鳥とともに/1 藤前干潟(名古屋市) 都市近郊に貴重な中継地【毎日新聞2017年4月12日】

posted by BNJ at 21:30 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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