2017年06月30日

新種インコを発見、声はタカ似、残り100羽ほどか きわめて珍しい野生からの発見、新種とするには慎重な意見も【ナショナルジオグラフィック日本版ニュース2017年6月30日】

オウム目の新種と発表されたボウシインコ属のAmazona gomezgarzai(メス、メキシコで撮影)。同じ地域にいる近縁種に比べて鳴き声がうるさく、活発に動き回る。(PHOTOGRAPH BY TONY SILVA (CC BY), CREATIVE COMMONS)

 この数十年、希少な種を見つけようとしてユカタン半島を歩き回った鳥好きは数え切れないほどいる。それでも、探索の目を逃れてきた種がいたらしいことがわかった。しかも、その鳥は派手な色と大きな声を持っていた。(参考記事:「世界を驚かせたアマゾンの新種:ハゲインコ」)

 6月27日付けの学術誌「PeerJ」に発表された新種は、色とりどりの体とタカのような鳴き声を持つオウム目ボウシインコ属のAmazona gomezgarzaiだ。英語で「ブルー・ウイングド・アマゾン」と名付けられたこの鳥は、数年前まで科学者たちに全く知られていなかった。(参考記事:「動物大図鑑 オウム」)

 そのため、発見までの過程も変わっている。近年命名されたオウムの新種は、亜種とされてきたものが後に独立の種に格上げされるパターンが多かった。たいていはDNA分析の結果だ。

「今回の発見は、まぎれもなく鳥類学がまだ発見の時代にある証です」。メキシコ、ヌエボレオン州立大学のミゲル・ゴメス・ガルサ氏は話す。ガルサ氏はメキシコの公的機関が没収した野生生物の世話を担当する獣医で、2014年に新種のオウムを初めて目にした人物だ。「今後も注意深く観察していく必要があります」(参考記事:「インドネシアで新種の鳥を発見」)

 だがその一方で、ブルーウイングを新種とすることに慎重な専門家もいる。

ブルーウイングの鳴き声
「タカを捕まえたのかい?」

 ガルサ氏が珍しい鳴き声を耳にしたのは、ユカタン半島の森を調査しているときだった。声を発していたのはインコの一群だった。街にいるハトくらいの大きさで、翼を広げると目立つ鮮やかな青い風切羽と、燃えるように赤い額が、ほかの既知の種とは違っていた。(参考記事:「フォトギャラリー:ゴージャスな羽を誇る美鳥14選」)

 メキシコ当局の助力で、ガルサ氏はこの鳥のオスとメスを1羽ずつ捕獲し、自宅にある広い飼育場に放した。次いで、米フロリダ州にいる在野の鳥類専門家で、後に論文の共著者となるトニー・シルバ氏に電話した。

「電話越しに初めて鳴き声を聞いて、『タカを捕まえたのかい?』と尋ねました」と、シルバ氏は振り返る。ほかのインコと違い、この“ブルーウイング”は猛禽類のように鋭い音を繰り返す鳴き声をしていたのだ。(参考記事:「ハヤブサがタカよりインコに近かったことが示すもの」)

 うるさいほどの声は、彼らの活発な性質によく合っているように見える。ガルサ氏が見つけた鳥について、シルバ氏は「高い所に登り、物をかみ砕き、羽をつくろい、互いに引っ張りっこもします」と話す。「実に活動的なのです」(参考記事:「ヘンなくちばしをもつ鳥、写真12点」)

 同じ地域にはキバナボウシインコ(Amazona xantholora)という別のボウシインコがいるが、ブルーウイングに比べると声は小さく、行動も落ち着いている。

コンゴウインコ
 捕獲した2羽の特徴的な行動、外見、そしてDNAから、研究チームはこれを新種と発表。ガルサ氏に敬意を表して、学名をAmazona gomezgarzaiと付けた。

 DNA分析から、新種のインコが進化したのはわずか12万年前であることも示された。おそらく、気候変動によって新しい生息地ができた結果ではないかと研究チームは話している。

次ページ:新種の認定には疑問の声も

早急な保護を

 鳥類の専門家たちがこのインコを長く見過ごしてきた経緯は明らかではないが、個体数が極めて少ないため、目に留まることなく生きてきたのかもしれない。

 野生のブルーウイングは100羽ほどしかいないと研究チームは推定しており、森林の減少や違法なペット取引が目当ての捕獲から守るための、早急な対策が必要だと訴える(シルバ氏自身、インコの密輸により1990年代に服役している)。(参考記事:「野生の生息数が150羽に満たないアカハラワカバインコ」)


インコ科の新種(写真はオス)が報告されたが、専門家からは慎重な意見も出ている。(PHOTOGRAPH BY TONY SILVA (CC BY), CREATIVE COMMONS)

 米ニューヨーク市、アメリカ自然史博物館のオウム目の専門家であるカミラ・リバス氏は、ブルーウイングが新種の可能性はあると考えているものの、論文に記載された2羽以外の遺伝子を調べた結果も見たいと話した。

 米シカゴにあるフィールド自然史博物館の准学芸員、ジョン・ベイツ氏も同意見だ。今回の研究で検査された遺伝子は、この種の分析においては「とても弱い」部分だと指摘する。

「何であれ結論を出す前に、遺伝子の分析結果をもっと見たいと個人的に思っています」

 例えば、この研究で示されたブルーウィングの分析結果は、コボウシインコ(Amazona albifrons)にかなり近いとベイツ氏は話した。(参考記事:「ダーウィンフィンチのゲノム解読が広げる種の概念」)


ブルー・ウイングド・アマゾン(写真はオス)の個体数は100羽前後と推定され、きわめて希少と考えられる。(PHOTOGRAPH BY TONY SILVA (CC BY), CREATIVE COMMONS)

「我々の遺伝学的研究は完璧」

 同じく疑いをもつ研究者は他にもいる。米テキサスA&M大学獣医学部でオウム目の保全生物学を研究するドナルド・ブライトスミス氏は、この研究を「よいスタートだ」と評価する一方、ブルーウイングの行動に関する記述があいまいだと指摘している。

 これに対しシルバ氏ら著者は、研究のために希少な種をさらに捕獲するのは非倫理的だろうという。著者の1人でポーランド、ヴロツワフ大学の遺伝学者、パベル・マッキービッチ氏も、今回はインコに関する他の研究でも使われる遺伝子を分析しており、新種がほかの種と遺伝的に近いことはありえると強調した。(参考記事:「賢いインコ「ヨウム」、アフリカで激減」)

「論文を読んだ他の専門家は、遺伝子の比較的小さな違いが過大評価されるべきではないと言いながらも、異論を唱えた人はいませんでしたし、新種であることにもほとんど疑問をもたれませんでした」

 シルバ氏も付け加える。「我々の遺伝学的研究は完璧です。この種が科学界の厳しい批判にも耐えるという自信があります」

文=Traci Watson/訳=高野夏美

http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/062900247/
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/062900247/?P=2

http://archive.is/OGEdm
http://archive.is/QLYeK

タグ:メキシコ
posted by BNJ at 23:03 | Comment(0) | 海外の鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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