2017年07月05日

野鳥とともに/4 天売島(北海道羽幌町) 世界最大のウトウ繁殖地【毎日新聞2017年7月5日】

夕暮れ時に巣に戻ってきたウトウ=「北海道海鳥センター」石郷岡卓哉さん撮影
 天売(てうり)島は、北海道北西部の羽幌(はぼろ)町の沖にある周囲約12キロの島です。豊かな海の恵みを受けたこの島。東側には約320人が暮らす集落がある一方、島の西側から北西側にかけては人が近付けない急峻(きゅうしゅん)な崖とクマイザサなどの自生する草地が広がり、8種類、約100万羽の海鳥が繁殖しています。

 中でもウミスズメの仲間であるウトウは、約40万つがいが生息し、世界最大の繁殖地となっています。3月、繁殖のシーズンを迎えたウトウは、太いオレンジ色のくちばしとその根元に白い突起があり、目とくちばしの後ろには特徴ある白い飾り羽が生えています。斜面の草地に穴を掘り、4月に卵を一つ産みます。5月から7月にかけては、ひなに与える小魚をたくさんくわえて巣に戻ってくる親鳥の様子が観察できます。約80万羽のウトウが一斉に帰巣するさまは圧巻で、観察ツアーも開かれています。

 天売島はウミガラス(オロロン鳥)の国内唯一の繁殖地としても知られています。ウミガラスは1960年代には推定で約8000羽が繁殖していましたが、漁網への混獲、オオセグロカモメやハシブトガラスの捕食などによって急激し、2000年代以降には20羽前後までになりました。01年から環境省がデコイ(模型)の設置や音声による誘引、天敵の駆除などの積極的な保護策を進め、現在、30羽を超えるまでになりました。

 ウトウやウミネコなどの海鳥を捕食する野良ネコも課題の一つです。羽幌町では12年から「天売島ネコ飼養条例」を施行し、飼いネコの登録を義務化し、野良ネコの抑制を行っています。野生化したネコを捕獲して島外へ移動させ、人が飼えるようにならし、新しい飼い主に譲る取り組みが、行政や獣医師会、NPOなどの連携により進められています。かつての海鳥の楽園を取り戻すための地道な活動が今も進行中です。(日本野鳥の会・山本裕)=次回は8月2日掲載

 ※国際的な基準で選定された「重要野鳥生息地(IBA)」を紹介します。国内に167カ所あります。
https://mainichi.jp/articles/20170705/ddm/013/040/033000c

http://archive.is/Cr7vs
「海鳥の楽園」子育ての季節 北海道・天売島【産経フォト2017年7月3日】

posted by BNJ at 11:32 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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