2017年07月16日

社説 オオタカの希少種指定解除 生息地の重要性は不変だ【毎日新聞2017年7月16日】

 猛きん類のオオタカについて、環境省は、種の保存法に基づく「国内希少野生動植物種」(国内希少種)の指定を解除する方針を決めた。個体数が回復したと判断したためで、今秋にも正式決定する。

 オオタカは、水田や畑、森林が混在する里地里山が主な生息地で、食物連鎖のピラミッドの頂点に立つ。里地里山の豊かな生態系が、生息を支えている。

 希少種に指定されると、捕獲や輸出入が禁止され、土地所有者は「保存に留意する」義務を負う。結果的に乱開発の歯止めにもなっていた。

 環境省は法の規定上、指定解除はやむを得ないと言う。だとしても、オオタカの生息地が、貴重な自然の宝庫であることに変わりはない。

 解除後に、そうした場所をいかに守っていくのか。環境省は新たな対策に取り組む必要がある。

 オオタカは開発などの影響で数を減らし、1984年の「日本野鳥の会」の調査では、国内で500羽以下になったと推定された。91年に環境省のレッドリストで絶滅危惧種となり、93年に希少種に指定された。

 2005年開催の愛知万博では、会場候補地の里山「海上(かいしょ)の森」でオオタカの営巣が確認され、会場計画が変更されるなど、オオタカは自然保護の象徴的存在となってきた。

 近年は生息数が回復し、成熟個体は2000羽を超え、都市部での目撃例も増したため、06年に絶滅危惧種から外れた。

 「存続に支障をきたす事情が生じている」という希少種指定の基本要件に、オオタカが合わなくなったことは、確かだろう。

 里地里山保護策として、環境省は一昨年、オオタカなどが生息する重要な500カ所を選定して公表した。だが、里地里山の自然を守る法制度はない。民有地も多いため、「これまで通り管理し続けることを義務づけたわけではない」と、説明している。

 日本自然保護協会は、重要な里地里山を種の保存法に基づく保護区に指定する制度や土地の所有者を税制面で優遇する措置の創設などを政府に提言している。検討に値する考え方ではないか。

 オオタカの指定解除を契機に、こうした議論を深めたい。
https://mainichi.jp/articles/20170716/ddm/005/070/025000c

http://archive.is/FaNxD
オオタカ、希少種の指定解除へ 環境省方針、意見を公募【共同通信2017年7月4日】
オオタカが希少種解除へ 工事反対運動に影響?【日本経済新聞2017年5月30日】
自然環境保護の象徴オオタカ、希少種解除へ 懸念の声も【朝日新聞デジタル2017年5月23日】
オオタカ希少種解除、懸念の声 保護団体「開発への歯止めなくなる」【朝日新聞デジタル2016年3月24日】
オオタカの希少種解除へ 環境省が意見交換会、参加者ら反対が大勢【埼玉新聞2016年3月5日】
オオタカ希少種解除へ 県内団体が反対の声…「トキの二の舞い」危惧【埼玉新聞2016年2月22日】
オオタカ 希少種指定解除への課題検討【NHKニュース2016年1月23日】
オオタカの輸出入禁止継続=「希少種」指定解除でも−環境省【時事ドットコム2016年1月22日】
オオタカ増で「希少種」指定の解除検討 環境省 営巣数飽和の地域も【下野新聞2015年12月28日】
オオタカ「希少種」解除へ…保護で生息数回復【YOMIURI ONLINE2015年9月22日】
希少種の指定解除巡り対立 オオタカ巡り環境省と保護団体【日本経済新聞2014年10月30日】
オオタカの希少種解除検討 環境省、生息数回復で【京都新聞2013年5月15日】

タグ:オオタカ
posted by BNJ at 12:17 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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