2017年07月21日

支局長からの手紙 新事実に学び視野も幅広く /栃木【毎日新聞2017年7月21日】(那須どうぶつ王国/ライチョウ)

 宇都宮市内のベテラン小児科医から「最近の小児医療では、抗生物質を極力使わないようになっている」という話を聞いた。抗生物質はかぜの原因になっている「悪玉菌」を退治するだけでなく、身体に有用なさまざまな細菌も死なせてしまうことがある。

 医師の話を補強するようなエピソードが、昨年出版された「あなたの体は9割が細菌(アランナ・コリン著)」に書いてあった。腸内細菌のバランスの乱れが肥満、さまざまな病気、アレルギーの原因になっている可能性を指摘している。また、出生前に無菌状態の胎児は出生時、母親との接触が少ないと、必要な腸内細菌を母親から引き継げない。その対応策も紹介されていて、私には驚きの内容だった。

 これは動物でも変わらないのでは、と思い、那須どうぶつ王国の佐藤哲也園長に聞いてみると、その通りだという。同園が取り組んでいる、国の特別天然記念物で絶滅危惧種の「ニホンライチョウ」を育成する事業では、北アルプスのライチョウのふんから採取した腸内細菌を整える製剤を、ひなに与えていたそうだ。

 腸内細菌や腸内環境という言葉が日常的に使われるようになってからまだ日は浅い。新事実に驚くことも多い。ただ、新発見にふれると、あたかもそれがすべての解決策のように思えてしまう時があり、私は時々反省する。

 最初に登場した小児科医は「抗生物質は悪じゃない。必要があれば使うよ。使いすぎないということが大切なんだ」と、私に念を押した。ニホンライチョウのヒナ3羽が残念ながら死んでしまった那須どうぶつ王国の佐藤園長も「腸内環境は重要だが、今回の原因は別にある。研究しなければいけないことはたくさんある」と話した。

 新事実に目を向けながら、幅広い視野を維持しないと真実を見誤る。こう思うのはもう何度目だろう。【古田信二】
https://mainichi.jp/articles/20170721/ddl/k09/070/154000c

http://archive.is/wUqXy
新たにライチョウ受精卵 どうぶつ王国1個を受け入れ 栃木【産経ニュース2017年7月19日】

posted by BNJ at 23:13 | Comment(0) | 鳥類コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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