2017年07月26日

カラス撃退策に「新兵器」を導入した日向のメガソーラー 大林組が採石地跡に開発、2タイプの置き基礎を使い分け【日経テクノロジーオンライン2017年7月25日】

 宮崎県の北東部、日向市と東臼杵郡門川町にまたがる丘陵に、出力約24.5MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)「日向日知屋(ひゅうがひちや)太陽光発電所」がある(図1)。



図1●採石場跡に立地し、北は五十鈴川、東は日向灘が目前に
出力約24.5MWの「日向日知屋太陽光発電所」(出所:上は大林組、下は日経BP)

 元々、採石場だった場所で、北は五十鈴川、東は日向灘に近い。宮崎県は日照時間、快晴日数ともに全国でトップクラスにあり、日向市は年間日照時間が2000時間を超える。太陽光発電に最も向く地域の一つとなっている。

 開発したのは総合建設会社(ゼネコン)大手の大林組で、発電事業者は特定目的会社(SPC)のOCE日向メガソーラー(日向市梶木町)となる。

 2017年5月に売電を開始し、大林組にとって、28カ所・40発電所目となる太陽光発電所の稼働となった。稼働済みの太陽光発電所の合計出力は、約128.88MWに達している。

 大林組は、主に二つの目的で、再生可能エネルギー発電事業を手掛けている。一つは、建設とは異なる分野やモデルによる事業を拡大する一環として、もう一つは、「ZEC(net Zero Energy Construction:ゼロエネルギー施工)」と同社が呼ぶ、建設で使うエネルギーを、2020年までに差し引きゼロにする目標を実現するためである。

 ZECは、建設現場と、現場以外の事業所も含めて、エネルギー使用量をネットゼロにする取り組みを指す。節電や施工法そのものの省エネのほか、再エネ発電によって、グループ全体でエネルギー使用量を差し引きゼロにすることを目指している。

稼働済み案件が28カ所・合計出力約129MWに

 大林組では、再エネ発電所の開発・運営する子会社、大林クリーンエナジー(東京都港区)を2012年に設立し、再エネ発電事業を拡大してきた。

 最初に稼働したのは、京都府久御山町にあるグループ会社が運営している倉庫の屋根上を活用した出力約1MWのメガソーラーで、2012年7月に売電を開始した。

 この後、民間所有の遊休地、自治体の所有地などを活用し、地上設置型の太陽光発電所の開発を続けてきた。熊本県芦北町にある約21.5MWの案件など、特別高圧送電線に連系する大規模なプロジェクトも開発してきた(関連ニュース1)。

 建設の事業で全国に拠点を展開していることが、用地の選定のほか、発電設備の適切な設置などに強みとして生きているという。EPC(設計・調達・施工)サービスは、これらの各地域の拠点が担当してきた。

 EPCサービスや土木工事は、自社グループの発電事業だけでなく、他社が開発する太陽光発電所向けにも提供している。例えば、淡路島の約10.5MW、岡山市の約37MW、浜松市の約43.4MW、北九州市の1.3MWなどの案件がある。

 自社開発した発電事業で蓄積した設計や施工の技術、経験は、他社向けのサービスにも応用できる利点もあるという。

 「日向日知屋太陽光発電所」は、大林組が開発を進めてきたプロジェクトのうち、最後の案件の一つという。

 今後の開発案件として残っているのは、自社の工場内に新設する建物の屋根上を活用する2件で、埼玉県川越市と大阪府枚方市にある機械工場の新設棟に設置する。

 これによって、太陽光発電所の開発は一区切りとなる。今後は、風力発電やバイオマス発電の開発に取り組む予定という。

釧路では蓄電池付きメガソーラーを開発

 事業性に課題のある案件に挑んだ例もある。日向日知屋の前に、2017年4月に稼働した北海道釧路町の蓄電池併設型のメガソーラーである(図2、関連ニュース2)。


図2●蓄電池を併設した釧路町の出力約18MW
メガソーラーからの短期的な出力変動を蓄電システムで平滑化する(出所:大林組)

 北海道電力の要請で、太陽光パネル出力17.9MW、連系出力14.5MWのメガソーラーに、容量6.75MWhのLiイオン蓄電池を併設した。蓄電システムは、メガソーラーからの短期的な出力変動を平滑化するために活用する。

 釧路のメガソーラーでは、北海道電力との連系協議の途中から、蓄電システムの併設による出力変動の抑制の依頼が加わってきたという。

 発電事業者にとっては、当初の計画から大幅にコストが膨らみ、事業性が悪化することになる。大林組では、プロジェクトファイナンスの組成も進んでいたことから、事業性を満たしながらの計画の変更に苦労したとしている。

 蓄電池の設置という連系条件となっても、あえて事業化に取り組んだのは、「蓄電池併設型の太陽光発電は、今後、国内の広い地域で活用されることが予想されるため、いち早く取り組みたい」と考えたからという。

 今後、太陽光や風力発電をさらに大量導入していくためには、蓄電池を使って出力変動を緩和していく必要があると予想されている。

 そこで、発電事業としても、EPCやO&M(運用・保守)の面でも、早期に技術や知見を蓄積できる好機になると考えた。

 同社では、技術研究所内でも太陽光発電と蓄電システムの連係制御に取り組んでいるほか(関連ニュース3)、関西電力による太陽光発電や蓄電池を活用したバーチャルパワープラント(VPP)関連の実証事業にも参画している(関連ニュース4)。

釧路では蓄電池付きメガソーラーを開発

 事業性に課題のある案件に挑んだ例もある。日向日知屋の前に、2017年4月に稼働した北海道釧路町の蓄電池併設型のメガソーラーである(図2、関連ニュース2)。


図2●蓄電池を併設した釧路町の出力約18MW
メガソーラーからの短期的な出力変動を蓄電システムで平滑化する(出所:大林組)

 北海道電力の要請で、太陽光パネル出力17.9MW、連系出力14.5MWのメガソーラーに、容量6.75MWhのLiイオン蓄電池を併設した。蓄電システムは、メガソーラーからの短期的な出力変動を平滑化するために活用する。

 釧路のメガソーラーでは、北海道電力との連系協議の途中から、蓄電システムの併設による出力変動の抑制の依頼が加わってきたという。

 発電事業者にとっては、当初の計画から大幅にコストが膨らみ、事業性が悪化することになる。大林組では、プロジェクトファイナンスの組成も進んでいたことから、事業性を満たしながらの計画の変更に苦労したとしている。

 蓄電池の設置という連系条件となっても、あえて事業化に取り組んだのは、「蓄電池併設型の太陽光発電は、今後、国内の広い地域で活用されることが予想されるため、いち早く取り組みたい」と考えたからという。

 今後、太陽光や風力発電をさらに大量導入していくためには、蓄電池を使って出力変動を緩和していく必要があると予想されている。

 そこで、発電事業としても、EPCやO&M(運用・保守)の面でも、早期に技術や知見を蓄積できる好機になると考えた。

 同社では、技術研究所内でも太陽光発電と蓄電システムの連係制御に取り組んでいるほか(関連ニュース3)、関西電力による太陽光発電や蓄電池を活用したバーチャルパワープラント(VPP)関連の実証事業にも参画している(関連ニュース4)。

排水を考慮した傾斜、安全運用を意識した設備も多数

 3段のパネル設置区域は、それぞれ西から東に向かって約5度の傾斜で下って行くように造成した(図7)。それぞれの段の外周には、堤を築いている。いずれも、雨水を排水路に確実に集め、適切に敷地外に流すための工夫の一つという。


[画像のクリックで拡大表示]

図7●西から東に約5度の傾斜で下るように造成
接続箱は傾かずに水平になるように設置(出所:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]
 地面は、砕石を敷きつめている。それでも、雨水が流れる際に、地面を削り取ってしまう恐れがありそうな場所では、別途、コンクリート基礎による誘導構造を設け、侵食を防いでいる(図8)。


図8●コンクリート基礎による誘導構造
雨水による土の浸食を防ぐ(出所:日経BP)
 パワーコンディショナー(PCS)は、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した。大林組は、EPCサービスを手がけていることもあり、それぞれの案件でさまざまなメーカーのPCSを使い分けている。

 今回は、TMEIC製の出力500kW・直流入力電圧600V機を導入し、PCSが出力した交流の最大210Vを、PCSの隣に設置した中間の昇圧変圧器で6000Vに昇圧後、連系点への送電時に6万Vに昇圧している。

 PCSの隣で昇圧するのは、連系用の昇圧変圧器までの間の送電ロスを減らす狙いがある。

 敷地内には、排水への配慮だけでなく、安全な運用を実現するための設備が多く目につく。高速道路などで見られるような頑強な法面の保護、広くしっかり整備された通路、至る所に設置された安全確認用のポールなどである(図9)。

図9●安全を重視した設備の例
画像のような安全確認用のポールなどは随所に(出所:日経BP)

カラス対策にテグスとLEDフラッシュライト

 日向のメガソーラーの施工時には、カラスがフェンスにとまることが多かった。中には、石をくわえて飛び、太陽光パネルの上に落とすことがあり、パネルのカバーガラスが割れる被害が相次いだ。

 そこで、二つのカラス対策を加えた。一つは、外周を囲むフェンスの上に、テグス(釣り糸)を張った(図10)。フェンスの上に、わずかに隙間を空けて張った。


図10●フェンス上に張ったテグス
カラスが止まったときに、足に絡まることを嫌がる(出所:日経BP)

 カラスがフェンスの上にとまるときに、足にテグスが絡まることを嫌がる効果を狙った。現在では、テグスを張ったフェンスの上には、カラスがとまることは、見られなくなったという。

 もう一つは、アレイの上に向けて、カラスが嫌いな波長帯の光を発する機器を取り付けた(図11)。


図11●アレイ上に向けてカラスが嫌いな波長帯の光を発する
2種類を設置(出所:日経BP)

 アレイの高部に、この光を発するLEDライトを設置している。この機器は、太陽光パネルを備えており、専用の電源は要らない。

 日中、定期的にさまざまなパターンで、カラスが嫌がる波長帯の光をアレイの上空に向けて発する。導入したのは、東神電気(大阪市淀川区)製のカラス撃退機器「ビービーフラッシュ」で、2種類を10カ所に設置した。

 また、大林組では、全国28カ所で太陽光発電所を稼働している経験を生かす一環として、それぞれの発電所を担当する電気主任技術者などを集めた会議を定期的に開催し、運営の状況のほか、トラブル事例や対処法を、すべての発電所で共有している。

 こうしたカラス対策や、雑草対策などが多く取り上げられているという。また、不具合が生じた場合には、すぐにそれぞれの発電所に通知される。同じ不具合が別の発電所で起きた場合に、迅速かつ適切に対処することで、安全に対処するとともに、発電量の損失も最小限に抑えられるようにしているという。

 同じ遠隔監視システムをすべての太陽光発電所で導入していることも、情報共有などに寄与しているという。建設関連のIT(情報技術)システムを手がけているグループ会社、オーク情報システム(東京都墨田区)のシステムを採用している。
●発電所の概要
発電所名 日向日知屋太陽光発電所
所在地 宮崎県日向市・東臼杵郡門川町
敷地面積 30.920ha
発電事業者 OCE日向メガソーラー(宮崎県日向市:大林組による特定目的会社)
太陽光パネル出力 24.526MW
パワーコンディショナー(PCS)出力 18MW
EPC(設計・調達・施工)
サービス 大林組
太陽光パネル 台湾モテック製(出力255W/枚、9万6180枚)
PCS 東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製
売電価格 36円/kWh(税抜き)
売電先 九州電力
稼働開始 2017年5月2日
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/15/302960/072400098/?P=1
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/15/302960/072400098/?P=2
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http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/15/302960/072400098/?P=6

http://archive.is/BpYW8
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