2017年07月26日

特集ワイド・ニュースアップ 都会の緑に集う命、見続け 大阪城公園で野鳥観察26年 古希の男性が記録集=社会部・大島秀利【毎日新聞2017年7月26日】

大阪城公園のカモ類の一日最多観察数(冬期間)
 記録集は91年3月〜16年12月末分を3年かけてまとめた。日本で観察される野鳥の約27%にあたる169種が登場する。

 種類が豊富な理由について、元山さんは「公園などの緑が少ない大阪では、鳥にとって大阪城公園は緑の孤島のように見え、集まる密度が高くなり、珍しい鳥に出会える可能性も高くなるのでしょう」と説明する。

 鳥の種別のまとめでは観察できた年・月・旬間(上、中、下旬)をグラフで示した。ある野鳥について近年記録があるか、あるとすれば、どの時期に飛来する可能性が高いのかが一目瞭然だ。

カモの様相、大変化
 特に、カモ類の記録は全国的にみても貴重という。毎回必ず、東西南北の外堀と内堀などで全数をカウント。珍しいカモ類では、過去にアカハシハジロ、アカハジロ、メジロガモ、クビワキンクロを確認した。「大都市の中央なのに大阪城はカモの飛来地では有数の場所。多くのカモの存在を踏まえて、堀の維持管理などを考慮する必要がある」と訴えている。


大阪城公園で激減しているホシハジロ=元山裕康さん撮影
 そのお堀周辺のカモの世界はこの間、大きく様相を変えてきた。かつては潜って餌をとる「潜水採餌カモ」のホシハジロが全カモの80%を占め、一日最多観察数は00年12月6日に4486羽に達した=左のグラフ参照。「当時、計数器を打っていた右手が痛くなり、左手に持ち替えたほどだった」と元山さんは振り返る。

 ところがその後、激減し、最近少し回復したものの、昨年1月の一日最多は259羽にとどまった。同じ潜水採餌カモのキンクロハジロも、減少傾向を示す。ホシハジロの激減について元山さんは「近隣の鶴見緑地でも起きており、原因は分からない」と話す。

 一方、水面に浮くものを食べる水面採餌カモのヒドリガモの一日最多観察数は90年代に数羽〜十数羽だったのが、昨年11月3日に593羽を数えるなど増加傾向が続き、過去3シーズンはカモ類で延べ観察数が最も多い。

「結果生かし、研究に」
 元山さんは「同じ種類の鳥でも長期的にみれば、大きな変化がある。もしかしたら地球温暖化が影響しているかもしれないが、私にできるのは野鳥の観察の結果を記録すること。それを生かして、いろいろな人が研究してほしい」と願う。

 高木昌興・北海道大学教授(鳥類生態学)は「26年間も同じ場所で根気強く記録し、目に触れるようにすることはアマチュアの方の仕事として大変価値がある。こうした記録を他の場所と比較検討することなどを基に研究できる。日本の鳥の変遷や保全のための研究につながる可能性がある」と評価する。

    ◇   ◇

 「こんな都会の真ん中に、たいした野鳥がいるはずがない」−−そんな思い込みを覆されると、誰も追随できない観察記録を積み上げてきた。そんな元山さんの活動は、ジャーナリストが、あるテーマに関心を持ち追究する姿勢に共通している。粘り強い取材が大事だと背中を押された思いがする。

 「大阪城公園の野鳥」(A4判、232ページ)は近畿の主な図書館に計80冊寄贈。希望者には送料込み

3000円で販売する。注文はメール(moto3@na3.fiberbit.net)か電話(06・6963・7119)で。

https://mainichi.jp/articles/20170726/ddf/012/040/003000c

http://archive.is/g0JUq

posted by BNJ at 22:30 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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