2017年08月11日

地域とともに、農業再生に挑む 毎日農業記録賞に寄せて/下 青森県三沢市「フラップあぐり北三沢」 荒廃水田を再生 /北海道【毎日新聞2017年8月11日】(オオセッカ)

フラップあぐり北三沢の常駐スタッフ(後列左が千葉準一代表理事)。大型農機具もスタンバイし、秋の飼料米収穫に向けて日々の作業が続いている=青森県三沢市で
飼料米作りで「耕畜連携」次の世代へ
 青森県三沢市の三沢空港から車で県道を15分ほど北上する。六ケ所村が近づくころ、道がやや下り坂になり、低地に水田が広がっていた。ラムサール条約の指定湿地「仏沼」の西側に位置し、規模は約120ヘクタールと広大だ。

 水田は約1ヘクタールごとに整然と区画され、農事組合法人「フラップあぐり北三沢」が管理している。食用のコメではなく、飼料用米を栽培する水田だ。収穫したもみは乳酸発酵され、家畜の餌になる。

 耳を澄ますと鳥のさえずりも聞こえてきた。「あの鳴き声は(絶滅危惧種の鳥)オオセッカ」。同法人の代表理事、千葉準一さん(61)は言う。自然は豊かだが、農業には不向きな土地だ。

 「西側の小川原湖の湖面から1メートルほどの低湿地。稲作にも畑作にも適さない」。冷気を含んだ風「ヤマセ」も常襲し、夏が短く日照も十分でない。しかし、稲作以外に考えられる作物もなく、飼料米の作付けは国も推進していた。

 千葉さんは酪農家の2代目で、酪農学園大(江別市)を卒業後、家業を継いだ。現在は乳牛など140頭を有する中核農家だ。法人が水田で生産する加工飼料の一部は、千葉さんを含む地域の酪農家が消費する。そんな「耕畜連携」を見据えた取り組みが進む。

    ◇

 水田は数年前まで2メートル以上の背丈のヨシが生い茂り、「ただであげるといっても、もらう人がいない」(千葉さん)という、耕作放棄地だった。

 周辺は戦後の開拓地だ。昭和40年代にコメの減反政策が直撃する。転作しようにも地下水位が高い低湿地は、青森名産のゴボウや長イモなど畑作にも適さない。耕作放棄地は増える一方だった。

 「農地が荒れ放題でいいのか」。北三沢土地改良区(沼田勝美理事長)が集約化による農地再生に動く。だが170地権者の同意が絡んだ。「過去にも頓挫し、だめで元々だった。休耕者は除外しろなどの反発もあり、雪の中呼び出されても進展がないこともあった」(沼田理事長)。4〜5年もの模索の末、2011年4月、事業主体の法人設立にこぎつけた。

 担い手として手をあげたのが、千葉さんら中核農家だ。現在14人の組合員が運営を担う。農地は地権者から20年間無償で借り、県の経営体育成基盤整備事業として11億4000万円かけ整備した。かんがい施設も整え、飼料米に加え、キャベツなどの野菜にも再チャレンジする。

 「フラップ」という法人名は、鳥が再び飛び立つことをイメージした。千葉さんらには共通の願いがある。

 「荒廃していく農地を再生し、子孫に残してあげたい」【前田剛夫】

 ■ことば

耕作放棄地
 かつてコメや野菜などを作っていたが、過去1年以上作物を作付けせず、今後数年作付けする見通しのない農耕地。一般的には休耕地とも言う。全国の推定面積は42万3000ヘクタール(2015年)で、富山県の面積に相当する。1990年の21万7000ヘクタールから倍増した。背景には農家の高齢化、労働力不足、農作物の価格低迷、土地条件の悪さなどがある。北日本の寒冷地などではコメ減反で転作が進まず、耕作放棄が広がったとも言われる。

毎日農業記録賞 作品募集中
 農や食、農に関わる環境への思い、体験、提言をA4判用紙に4000字程度にまとめ、お寄せください。締め切りは9月5日(消印有効)。募集要項や応募方法はサイト(http://www.mainichi.co.jp/event/mainou/)で確認を。問い合わせは事務局(03・3212・0190。平日午前10時〜午後5時)へ。

 主催 毎日新聞社

 後援 農林水産省、文部科学省、各都道府県・教育委員会、全国農業高等学校長協会

 協賛 JA全中、JA全農、JA共済連、農林中金、東京農大
https://mainichi.jp/articles/20170811/ddl/k01/040/042000c

http://archive.is/SqHxz

posted by BNJ at 21:58 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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