2017年08月26日

女の気持ち 鳥の受難 山口県下松市・清木美津子(68歳)【毎日新聞2017年8月26日】

 我が家の庭にキンモクセイの木がある。その木に今年、ヒヨドリが巣をかけた。毎日せっせと餌を運び、その用心深さには驚かされる。

 餌をくわえて帰ると直接巣には行かないで必ず近くの木に止まり、キョロキョロ見回してから安全を確認し、巣に行くことを繰り返していた。こちらも無事に育つまではと刺激しないよう見守っていた。

 そんなある日、外で異常にギャアギャア鳴く声がする。何事かと見れば、親鳥が飛び立って巣に行こうとするが、どうしても近寄れずに引き返し、また飛び立つことを繰り返しており、明らかに様子がいつもと違う。

 不思議に思いながら見ていると、そのうち木の上からおなかを膨らませた蛇が下りてきた。あの騒ぎはこれだったのかとあぜんとした。気づいてやれなかった口惜しさと悲しさと申し訳なさでしばらく動けなかった。

 その後の親鳥は巣のそばの枝に止まり、あまりの現実に長いことぼうぜんとしているように見えた。しばらく時間がたち、今度はつがいの親鳥がけたたましく叫び声をあげ、巣の上を飛び回っている。その姿は突然子供を失って半狂乱になり捜し回っているように見えた。

 きっと親鳥はショックで打ちのめされたのだろう。それを救うことができなかった自分を責めた。鳥も人間も感情は一緒なのだ。人間社会では嫌なニュースが毎日流れているが、我々も改めて自身を見つめ直し、謙虚に生きていかなければと思い知らされた一日だった。
https://mainichi.jp/articles/20170826/ddp/013/070/005000c

http://archive.is/rO7JV

タグ:ヒヨドリ
posted by BNJ at 21:40 | Comment(0) | 鳥類コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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