2017年09月04日

第3部・大学発<4>地場産業に活力を【読売新聞2017年9月3日】(鳥インフルエンザ)

佐藤教授が開発した「生体センサー」。自動運転システムへの応用が期待されている(北九州市若松区で)=上村広道撮影
 九州・山口の経済を支える自動車関連産業。特に北部九州には、トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)、日産自動車九州(同県苅田町)、ダイハツ九州(大分県中津市)などが集まり、関連企業が集積する。この業界から注目を集めているのが、九州工業大(北九州市戸畑区)発のベンチャー企業「ひびきの電子」だ。

 「睡眠が確認されました。安全な路肩で停止します」

 ドライバーの居眠りや体調変化を検知する「生体センサー」。自動運転システムに応用可能な技術だ。開発した佐藤寧やすし・同大教授(57)は「5センチ四方の大きさだが、FMラジオと同じ周波数帯の電波を利用し、人の脈拍や呼吸の状況を、体に触れずに測定できる」と胸を張る。

◆地域の再興に

 同大がある北九州市はかつて製鉄業を中心に工業地帯として発展した。しかし、1979年にピークの約106万人に達した人口は現在、96万人余りまで減少した。高齢化率は全国の政令市で最も高い29・3%(1月現在)に上る。

 米国で軍事用のレーザー装置の開発などに携わってきた佐藤教授が生体センサーを思いついたのも、「独居高齢者の健康を遠隔から管理できないか」という発想が出発点だった。

 2013年に開発を始めた。当初は、電波から心拍音のみを抽出する解析技術の確立に苦労したが、15年に完成にこぎつけた。同年10月には、東京のセンサー機器メーカーから約2億円の資金提供も受け、ひびきの電子を昨年3月に設立した。

 大手電機メーカーから「自動運転システムへ応用できないか」と打診があり、来年1月の製品化に向け更なる研究を進める。佐藤教授は「実用化し、自動車関連産業の多い北九州に活力を取り戻すきっかけにしたい」と意欲を燃やす。

◆短時間でウイルス検出

 国内有数の畜産県である鹿児島県では、鹿児島大発の医療ベンチャー「スディックスバイオテック」が、家畜伝染病のウイルスを短時間で検出する検査技術の確立に一役買っている。

 農林水産省によると、同県は鶏の飼育羽数が全国1位(16年)。しかし、同県出水市がツルの越冬地のため、鳥インフルエンザの感染リスクを抱える。

 同社を06年に設立した隅田すだ泰生・鹿児島大教授(61)は、約2時間半かかる従来の検査時間を約20分に短縮できる技術を開発した。15年からは、出水市ツル保護センターで導入された。

 従来は、野鳥から採取した粘膜入りの溶液を大型の遠心分離機にかけてウイルスを検出していた。一方、隅田教授の技術は、微細な金属粒子でウイルスを捕らえ、磁石で集めて遺伝子を抽出するので、B5サイズほどの解析装置で済む。隅田教授は「この技術だと、野鳥の発見現場で検査を始められ、早期の対策につなげられる」と述べる。

◆先駆けに

 政府は16年度から、国立大学の目指す姿を「世界水準」「特定分野」「地域貢献」の三つの類型から選ばせ、その達成度に応じて運営費交付金の額を決める方式を導入した。特色を明確にし、大学間競争による活性化を促すのが狙いだ。

 鹿児島大は地域貢献型を選択。同大が調べたところ、同じ類型の55大学のうち、ベンチャー企業数は18で最も多かった。これを武器にしようと、昨年、大学発ベンチャー認定制度を導入した。学内の審査をパスすれば、拠点施設の提供や特許使用料の減免などの支援が得られるようにした。

 同大産学官連携推進センターの石原田秀一・特任講師は「地域の特色を生かした技術を基に起業し、その利益を地域に還元する。鹿児島大は『地域密着型』ベンチャーの先駆けを目指したい」と語った。
http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20170904-OYS1T50006.html

http://archive.is/0eWOG
鳥インフルエンザ:20分で判定 鹿児島大の研究班開発 携帯型装置使い、現場検査も /鹿児島【毎日新聞2015年11月4日】

posted by BNJ at 21:33 | Comment(0) | 鳥類一般ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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