2017年09月05日

高田守先生の生き物語り 文化を持つ【毎日新聞2017年9月5日】

 人間以外の多くの生き物も文化を持つと言ったら、驚かれる方がいるかもしれない。文化とは、遺伝によって伝わるわけではないのに、ある集団で維持されている行動様式のことを指す。人間で言えば、箸を使ってご飯を食べるのも、外に出る時に靴を履くのも文化だ。文化は周囲の個体から継承されるので、例えば生粋の日本人の子どもが生後間もない頃から英国人家庭で育ったなら、英国人の文化を継承することだろう。

 では、生き物にはどんな文化があるのだろう? 代表的な例が、鳥のさえずりだ。カナリアなどのオスはメスに求愛する際、特別な鳴き声で歌う。この愛の歌は、若い鳥たちが、親鳥や歌のうまい別の個体の鳴き声をまねることによって、継承されている。そのため、人の手で育てられると、鳴き声が変わってしまう。また、地域によって鳴き声が違う種もいる。こうした「方言」が存在するのも、文化ならではの現象だ。

 熊本市の水前寺公園周辺に生息するサギの仲間は、木の枝などを池の水面に落とし、餌だと思って近づいてきた魚を捕まえることで有名だ。これも、文化として伝わった狩りの方法である。しかもこの方法は、人間が魚の餌を池に投げ入れる様子を見て編み出された可能性があり、種を超えて文化が伝播(でんぱ)した例かもしれない。

 宮崎県串間市の幸島(こうじま)のサルには、ここ60年余りの間に新しい文化が生まれた。サルには研究のためイモが与えられていたが、ある日、1頭の若いサルがイモについた泥を洗うと食べやすいことを発見。その後、「イモ洗い」の文化が他のサルにも広がった。このように、文化を持つ生き物は、互いに影響を与え合いながら生きている。(動物行動学者)=次回は10月3日掲載
https://mainichi.jp/articles/20170905/ddm/013/070/006000c

http://archive.is/NB0hC

posted by BNJ at 11:19 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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