2017年09月23日

オーストラリア原産の大型鳥「エミュー」 耕作放棄地の再生に光【佐賀新聞LiVE2017年9月23日】

移動編集局・基山町・エミュー
移動編集局基山編・エミューで地域活性化

 基山町のシンボルである基山(きざん)の麓に広がる里山の風景。豊かで清らかな水にはぐくまれた棚田は実りの秋を迎え、黄金色の稲穂がこうべを垂れている。より山手へ向かって進むと、草が生い茂ったままの場所が増えてきた。かと思うと一転、草がほとんどない一角が突然現れる。目に飛び込んで来たのは棚田の高低差をものともせず、軽やかに駆け回る大型の鳥。オーストラリア原産のエミューだ。

 基山町にも高齢化や後継者不足から耕作放棄地増加の波が押し寄せている。2015年の農水省「農林業センサス」によると、町内の農地のうち、約43ヘクタールが耕作放棄地だ。

 そこに差し込んだ一筋の光がエミューだった。町内で初めてエミューの飼育を始めた農家の吉田猛さん(64)は「生い茂った草をはみ、土を踏み固めてくれる。半年もせずに耕作ができるようになった。それに人なつっこくてかわいい」と魅力を語る。

 エミューの産業化を進めている日本エコシステム(筑紫野市)から吉田さんが14年に飼育を請け負ったのをきっかけに、15年には県のチャレンジ交付金を活用して飼育数を増やした。同年には吉田さんらが農業法人「きやまファーム」を立ち上げ、運営を組織化。16年に初めての産卵があり、数羽をかえすことに成功した。日本エコシステムのものと合わせ、現在は町内に300羽を超すエミューが飼育されている。

 同社の〓〓浩司さん(54)は「平均して約8割のふ化に成功している。きやまファームでも今年は80羽程度のふ化ができるのでは。産卵、ふ化、飼育、加工のサイクルができつつある」とエミューの産業化が次のステップに入ったと語る。

 町もエミューの活用に積極的だ。今や町の代名詞と言っても過言ではなく、昨年福岡都市圏向けに制作したPR動画やポスターにも起用された。基山町内の飲食店もエミューを使った料理の開発、提供に取り組んでおり、現在は6店舗で味わうことができる。

 「捨てる部分がない」と言われるエミューをフル活用しようと、商品開発も進んでいる。保湿性などに優れた脂は利用価値が高く、7月末に町内で開かれたシンポジウムでは、美容家の佐伯チズさんが監修する化粧品が近く発売されることが報告された。深い緑色が特徴の卵の殻を装飾したエッグアートや、羽根を使った縁結びのストラップも来場者の目を引いていた。

 エミューの放牧によって耕作可能となった棚田には、今年からキクイモやジネンジョを植えた。キクイモは現在黄色い花を咲かせており、11月には収穫期を迎える。1000平方メートルで、約2トンがとれる見込みだ。町の健康プロジェクトと組み、血糖値を抑える効能などを科学的に検証するという。

 本年度中には町がエミューとイノシシを解体処理する施設を整備予定で、流通体制構築のための環境が整いつつある。きやまファームの鳥飼善治社長(59)は「何事も軌道に乗せるのには時間がかかる。最低でも10年は頑張って、地域を代表する産業の一つに成長させられれば」。地方創生の旗手として、全国に名をとどろかせるつもりだ。
http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10105/465748

松田一也町長に聞く 定住策で人口減に歯止め 暮らしやすさ全国モデルに【佐賀新聞LiVE2017年9月23日】
移動編集局・基山町〓町長インタビュー
移動編集局・基山町〓町長インタビュー
移動編集局・基山町〓町長インタビュー
 県東端に位置し、福岡都心に近いベッドタウンとして発展を遂げてきた基山町。人口減の波が押し寄せていたが、近年は定住促進施策が奏功し、歯止めがかかりつつある。オーストラリア原産の大型鳥・エミューを生かした町おこしも全国的な注目を集めている。松田一也町長(60)に展望を聞いた。(聞き手=澤野善文編集局長)

 ■副町長を経て、町長就任2年目。これまでを振り返ってどうか。

 副町長として着任した当初は、県内ワースト2位の「消滅可能性都市」として位置づけられ、人口減が続いた。しかし最近は昨年3月時点の人口を底辺に、その数字を割っていない。歯止めがかかりつつある。町のいろんな場所で躍動や活力を感じることができ、ワクワク感が増している。

 ■中山間地の耕作放棄地でエミューを飼育する取り組みが注目を集めている。狙いと今後の展望は。

 エミューは肉、脂、羽根、卵など全ての部位が利用できる産業鳥。7月末のシンポジウムも関心度が高く、大成功だった。今後はまず、肉と脂について活用を進める。肉は交配、産卵、ふ化、飼育、食肉処理、市場化の流れをつくることが重要。食肉処理に関しては、本年度町営の施設建設を予定している。あとは町が誇る居酒屋群と連携し、名物料理開発や通販、ふるさと納税返礼品としての活用など、出口を確保していきたい。脂についても化粧品への活用が進んでおり、市場化の中心になることが期待されている。

 ■交通の要衝として町内には多くの企業や工場がある。今後の雇用確保や経済振興をどう考えるか。

 都市計画上の線引きの話が見直されれば、まだまだ大型の企業誘致ができると思っている。むしろ心配なのは雇用で、人手不足が身近なところで顕在化している。ミスマッチが一番の課題なので、役場が求人・求職の機能を持ち、情報の一元化、雇用のマッチングを推進していきたい。近い将来には役場の中にハローワークを設置したい。

 ■ベッドタウンとしての町の発展を象徴する町内の住宅団地に高齢化の波が迫っている。行政の対応は。

 子どもが巣立ち、夫婦だけの世帯が増えれば、いずれ1人暮らし高齢者世帯の発生、空き家発生とつながる。高齢者の豊かな経験を生かす機会や場所をつくることで健康寿命を延ばすSGK(スーパーシニア・メイクス・グレート・基山)事業を2年前に始め、戸建て住宅貸し出しを仲介する国の制度にもいち早く手を挙げた。このほか町内では、1人親世帯、外国人世帯が急増している。子どもたちの放課後の居場所づくりでは、モール商店街内のまちなか公民館や、ダンススクール開設など官民で進めている。昨年初めて草スキー国際大会を開き、外国人との交流の場を設けた。これらの事象に対する取り組みがうまくいけば、高齢者でも、1人親でも、外国人でも暮らしやすい町として、全国のモデルとなるはずだ。

 ■隣接する鳥栖市は人口増が続く一方、基山町は近年人口減が続いてきた。対応策は。

 もっと住宅を確保していくことが重要。そのために旧町役場跡地にPFI方式での子育て世代向け住宅を造るよう検討している。空き家をリノベーションした移住体験住宅や、住宅取得補助金にも取り組み、好評だ。住宅施策のベースになる都市計画上の市街化区域と調整区域の線引きについても見直しが必要で、関係部署との協議を始めている。町内には福岡で働いている人がたくさんいて、そのパイプは強固だ。その特性を生かし、佐賀と福岡をつなぐ、先兵的な役割を果たしたい。国指定特別史跡「基肄(きい)城」や町内の寺院など歴史や文化を感じられるパワースポット、今後完成予定の観光農園のほか、広くて無料の駐車場付きの体育施設が充実していることも生かしたい。現代は「モノよりコト」。人生の節目で訪れる場所としてリピーターを獲得できれば、その延長線上に移住、定住があると思う。
http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10105/465752

http://archive.is/XeQbz
http://archive.is/I4MTQ
エミュー商業的魅力探る 基山町でシンポジウム 飼育者ら実践報告 [佐賀県]【佐賀新聞LiVE2017年8月5日】
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佐賀・エミュー料理【九州に鶏料理あり(3)】【大分合同新聞プレミアムオンライン2017年1月10日】(既報関連ソースあり)
基山の農家でエミュー初の産卵 耕作放棄地対策、新名産へ【佐賀新聞LiVE2016年12月2日】(既報関連ソースまとめあり)
佐賀)エミュー肉でキーマカレー 基山で町おこし【朝日新聞デジタル2016年1月18日】
オーストラリア原産の鳥・エミュー 放牧で農地再生 佐賀県基山町【日本農業新聞e農ネット2015年11月15日】
ピープル:きやまファーム取締役の農家、吉田猛さん /佐賀【毎日新聞2015年10月20日】
大型の鳥「エミュー」で地方創生を 佐賀【NHKニュース2015年8月29日】
休耕田の救世主になるか エミュー飼育に熱視線 基山町 [佐賀県]【西日本新聞2015年6月9日】

タグ:エミュー
posted by BNJ at 10:55 | Comment(0) | 養鶏畜産ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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