2017年10月11日

野鳥とともに/7 出水・高尾野(鹿児島県) ツル越冬、地分散の試み【毎日新聞2017年10月11日】

出水平野の上空を舞うマナヅル=鹿児島県出水市で、フリーカメラマンの尾上和久さん撮影
 出水(いずみ)・高尾野は、鹿児島県北西部の出水平野を流れる三つの河川の河口域にある干拓地です。毎年秋になると、ロシア東部や中国東北部の湿地で繁殖するナベヅルやマナヅルがこの地を訪れ、翌年の春まで過ごします。その数は、ナベヅルが世界中の生息数の約9割にあたる1万3000羽、マナヅルはおよそ半分の3000羽にもなります。また、日本ではあまり見られないカナダヅルやクロヅルも飛来することから、毎年約15万人もの愛好家が訪れています。

 この地域のツルの保護には、長い歴史があります。江戸時代には幕府の権威の象徴として禁猟とされていました。明治に入ると一転、乱獲され、全く渡来しなかった時期もあります。そのため、1916年に禁猟区を設置。以降、21年には一帯が天然記念物に地域指定され、27年には440羽、39年には約3900羽と飛来する数を増やしていきました。第二次世界大戦中は給餌が中止されたことから、300羽以下にまで減りました。戦後の52年になると「鹿児島県のツルおよびその渡来地」として特別天然記念物に指定。給餌も再開されました。その後は、農地の購入や借り上げ、ねぐらの整備や保護区の拡大による農業被害の解消などの保護策で、92年には初めて1万羽を超えるまでになりました。

 一方で、懸念されているのが伝染病の問題です。密集しているねぐらや給餌場で伝染病が発生すると、一気にまん延し、個体群に大きな影響を及ぼすのです。実際、2016年には高病原性鳥インフルエンザウイルスが、ナベヅル23羽とマナヅル1羽から検出されました。そのため、ツルの越冬地を出水・高尾野以外に分散する試みが始まっています。愛媛県西予市や佐賀県伊万里市などでは、地域の住民や自治体、当会などが連携し、越冬地づくりが進められています。ツルを将来にわたって地域で見守っていく新たな仕組みづくりが広がりつつあります。(日本野鳥の会・山本裕)=次回は11月8日掲載

 ※国際的な基準で選定された「重要野鳥生息地(IBA)」を紹介します。国内に167カ所あります。

主に見られる鳥
ナベヅル

マナヅル

ハマシギ

ツクシガモ

ミヤマガラス
https://mainichi.jp/articles/20171011/ddm/013/040/015000c

http://archive.is/GjHhY

posted by BNJ at 11:09 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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