2017年10月17日

【山陰の議論】野鳥専門家も絶句、山陰の渡り鳥に異変…突然の大群飛来は何を意味するのか【産経WEST2017年10月17日】

山陰で過去最も早い初飛来を記録したコハクチョウ=5日、松江市
 鳥取県米子市の米子水鳥公園に9月22日、渡り鳥のシマセンニュウなどが近年にない大群で飛来し、鳥類標識調査をしていた公園職員が「想定外の異変」と、大慌てで対応する事態となった。職員はこの日一日で過去最多級の約290羽を捕獲し、標識の足環を装着して放鳥した。渡り鳥の突然の大襲来は、直前の9月17日、鳥取県に台風18号が最接近したため「台風の通過を待って渡り鳥が一斉に移動を開始した」とも推測できるが、果たしてそれだけだろうか。今季はコハクチョウが過去最も早く飛来するなど、ほかにも異変が起きており、謎が深まっている。

ネットを揺らす鳥たち

 「とにかく、その数の多さに驚いた」と、桐原佳介・公園主任指導員は絶句した。

 異変は、9月22日の早朝から起きた。園内のヨシ原を訪れると、仕掛けた野鳥調査用のネットを多数の渡り鳥が揺らしていた。1羽ずつ取り外し、公園内の建物に持ち帰ってサイズなどを記録し、標識の足環を装着。ホッとして再びヨシ原を訪れれば、さらに数十羽の姿が。捕獲した渡り鳥を衰弱させては元も子もない。一連の作業は時間との勝負となり、夕方まで繰り返された。

 この日捕獲したのは、コヨシキリ145羽、シマセンニュウ137羽など計4種285羽。ほかにもヨシ原ではネットを免れた群れが盛んに飛び交っていた。

 同公園では約20年前から、環境省の許可を得て、鳥類標識調査員の有資格者である桐原主任指導員らが、ネットを張って渡り鳥を捕獲している。渡りルートの解明が目的だが、一日に300羽近くが集中した飛来は近年にない“異常事態”という。

 捕獲の大半を占めたコヨシキリとシマセンニュウの2種は北海道などで繁殖し、越冬地の東南アジアなどに向かう夏鳥で、移動中に同公園を通過する。通常、この2種の渡りのピークは時期がずれるのだが、なぜか今季はこの日に集中した。

台風の通過が影響?

 シマセンニュウは、同公園が国内有数の渡りの重要な中継地だ。公園では昨年までの約20年間の調査で、渡り鳥など95種約2万8千羽に新たに足環を装着。このうち、シマセンニュウは3番目に多い約2800羽にのぼる。

 しかし他の地域でシマセンニュウはほとんど確認されず、他地域で足環が付けられたシマセンニュウを同公園で捕獲した例は3羽にすぎない。このため国内での移動データは同公園の調査頼みとなっており、なかなか移動ルートの解明に結びつかないでいる。

 今回の大群飛来について、桐原主任指導員は「台風の通過など気象条件が大きいだろうが、別の要因もあるのでは」とみる。

別の要因も

 確かに秋の渡り時期は台風シーズンと重なるが、その度に異変が起きているわけではない。桐原主任指導員は「各地で設置が進んでいる太陽光発電のソーラーパネルが影響している可能性もありそうだ」と指摘する。どういうことか。

 シマセンニュウは背丈の高い草むらをよりどころに移動している。そもそも、ヨシ原などに潜み、ほとんど姿を見ることのない渡り鳥だ。

 ところが、これまで移動で利用していた沿岸部や平野部に突然ソーラーパネルが出現すれば、ルート変更を強いられることになる。鳥取県内でも、雑草が生い茂っていた小高い丘や耕作放棄地にいつの間にかソーラーパネルが林立。それが移動ルートに変化を及ぼしたとの推測だ。

他にも異変が

 同公園では今季、これ以外にも変化が観測されており、変則的なシーズンとなっている。渡り鳥のシギ・チドリ類で常連のハマシギが少なく、代わってトウネンが目立つのもそう。また9月24日には、渡り鳥ムジセッカとエゾセンニュウ各1羽を調査で初めて確認した。

 調査とは別に、公園近くの日本海沿岸で9月14日、トウネンの群れに交じり、世界生息数500羽以内とされる希少なヘラシギ1羽が飛来しているのも確認された。

 さらに、冬の使者コハクチョウが10月5日、島根県内に今季初飛来したが、これは鳥取、島根両県の山陰地方では過去最も早い飛来だ。初飛来の場所はこれまで同公園だったが、飛び越えて島根県に姿を見せたのも初めて。

 こうした異変は一過性のものなのか、今後も続くのか。同公園は渡り鳥たちの動向を注視している。(山根忠幸)
http://www.sankei.com/west/news/171017/wst1710170001-n1.html
http://www.sankei.com/west/news/171017/wst1710170001-n2.html
http://www.sankei.com/west/news/171017/wst1710170001-n3.html

http://archive.is/rBiqg
http://archive.is/AGwr9
http://archive.is/wc9k1

posted by BNJ at 11:08 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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