2017年11月14日

(eco活プラス)野生動物のリハビリ、お手伝い 公的施設と連携、現状伝える役目【朝日新聞デジタル2017年11月14日】(野毛山動物園)

ハクビシンの子どもの世話をする東山弓子さん。奥には保護された鳥が飼育されていた=横浜市西区の野毛山動物園
 けがをした野生動物が復帰できるまでリハビリを手助けするボランティアがいる。全国で年1万超の野鳥やタヌキ、カモシカなどが保護されるなか、野生動物とのつきあい方を市民に伝える役目も担っている。

 横浜市西区の野毛山動物園にある動物病院を10月に訪れると、メジロやツグミ、ヒヨドリのにぎやかな鳴き声が聞こえてきた。数日前には海鳥のコシジロウミツバメも運ばれてきた。

 この動物病院で9年間、リハビリの世話の手助けを続けているのが、「野生動物リハビリテーター」の東山弓子さん(60)だ。当初は小鳥を飼った経験しかなく、おそるおそる世話していたというが、今は慣れた手つきでケージを掃除し、餌を与えていく。

 動物園の担当職員、五十嵐真由美さん(41)は「特に春から夏にかけては多くの動物が持ち込まれるので、東山さんに助けられている」と話す。

 野生動物(鳥獣)は、都道府県知事らの許可なく捕まえたり、飼ったりすることが原則許されない。そのため、けがをした場合、治癒するまで動物園や公の施設で保護されることが多い。環境省によると、2014年度には、けがや病気などで1万103もの鳥獣が保護された。

 ただし、親鳥が見守っていて保護の必要がない、巣立ったばかりの幼鳥が誤って持ち込まれる例もあるという。動物園などにも人手や収容スペースに限界があるため、こうした幼鳥を外すなど保護対象の動物を絞っている都道府県もある。

 環境省は、野生動物を大切にしたいという市民の思いをくみつつも、絶滅のおそれのある動物の野生復帰などに重点を置くとともに、各地域でボランティアとの連携を強化することを求めている。

 保護数が全国で最も多く、全体の1割を占める神奈川県内では、NPO法人「野生動物救護獣医師協会」が県と連携しながら、動物の扱い方を学ぶ「野生動物リハビリテーター」を育成している。現在、東山さんを含め約80人が動物園などで活動している。

 事務局を務める獣医師の皆川康雄さんは「リハビリテーターには、多くの市民に野生動物の現状も伝えてもらっている」と話す。東山さんは、釣り糸が絡まった野鳥や交通事故で大けがをした動物に心を痛めてきた。こうした動物たちは、精いっぱい世話してもすべてが野生復帰できるわけではない。そんな経験から、動物園で来園者に対し、どうすれば身近な野生動物と共存できるかを考えてもらうイベントを開いている。

 東山さんは「世界では様々な野生動物が絶滅の危機にたたされているが、そのことを身近な動物からも学べる。今住んでいるまちで動物と一緒に生きるにはどうすればいいか、一人ひとりの目線で考えてみてほしい」と話している。

 (杉本崇)

 <eco活の鍵>

 環境省によると、野生動物の保護やリハビリを手助けするボランティア制度は少なくとも栃木、千葉、神奈川、富山、島根5県や大阪府などにある。ただし、かかわっている団体は別々で、活動内容も違うため、参加する前に確認する必要がある。

 活動には行政との連携が必要な内容も多い。各都道府県の野生動物保護に関する部署に問い合わせれば、リハビリ活動に参加している団体がわかりそうだ。

 神奈川県では野生動物救護獣医師協会の有料の講習と、県の鳥獣捕獲の許可を得た上で「野生動物リハビリテーター」として活動できるという。

     *

 eco活(エコカツ)プラス

 ■けがや病気のため保護された鳥獣の多い都道府県

      保護数 

神奈川県 1143 

千葉県   920 

大阪府   635 

北海道   587 

静岡県   540 

熊本県   494 

沖縄県   489 

新潟県   459 

岡山県   405 

宮城県   380

 (2014年度の環境省の鳥獣統計から)
http://www.asahi.com/articles/DA3S13227803.html

http://archive.is/0XTnK

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