2017年12月08日

野生ライチョウ 腸内細菌が解毒 中部大研究【信濃毎日新聞2017年12月8日】(既報関連ソースあり)

盲腸糞を取り囲んでついばむニホンライチョウのひな=2013年7月、北アルプス乗鞍岳(中村浩志さん撮影)
 国特別天然記念物のニホンライチョウについて、野生の個体の方が人工飼育の個体よりも、高山植物に含まれる毒素を分解する腸内細菌を多く保有していることが7日までに、中部大(愛知県春日井市)などの研究で明らかになった。野生の個体はひなの時期、母鳥の盲腸で作られる盲腸糞(ふん)を摂取することで腸内細菌を得ているとみられる。2015年度に国内で始まったライチョウの人工飼育では、人工ふ化したひなの4割近くが2週間以内で死んでおり、専門家は保護対策を考える手掛かりになると注目している。

 研究は中部大の牛田一成教授(動物生理学)らのグループが14年度に開始した。北アルプス、南アルプス、乗鞍岳、御嶽山で、野生の個体の盲腸糞を採取して細菌を分析。大町市立大町山岳博物館、上野動物園(東京)、富山市ファミリーパークで人工ふ化し、盲腸糞を食べていない人工飼育下の個体の盲腸糞の細菌と比較した。

 その結果、野生個体の細菌はいずれも、高山植物に含まれる毒素のロドデンドリンとロドデノールを効率よく分解した。一方、人工飼育の個体の細菌はロドデノールの分解能力が著しく低かった。野生の盲腸糞には、タデ科の植物にある毒素のシュウ酸や、渋味の成分タンニンを分解する菌も存在した。

 牛田教授は「野生の個体は腸内細菌が高山植物の毒素を解毒している」と説明。人工飼育の個体については、「ヒトに近い腸内細菌の構造になっている」とみている。

 鳥類生態学が専門で研究グループに加わる中村浩志国際鳥類研究所(長野市)の小林篤理事らと、ひなが母鳥の盲腸糞を食べる行動や、ひなの腸内細菌の変化を分析。その結果から、牛田教授は「コアラなどで見られる食糞によって親から子に腸内細菌を伝える仕組みが、ライチョウでも科学的に証明されつつある」とする。

 北海道大大学院の園山慶准教授(食品機能科学)は研究結果について、「ライチョウの採食において腸内細菌が重要な役割を果たしている点を証明している。将来の保護対策を考える上で大変参考になる」としている。

 今回の研究成果は、都内で8日開く環境省のライチョウ保護に関する検討会で報告する。
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20171208/KT171207FTI090003000.php

野生ライチョウ 腸に毒素分解の特有細菌 飼育種はなし【毎日新聞2017年12月8日】
野生のニホンライチョウ=富山県の立山連峰で2015年5月撮影(牛田一成・中部大教授提供)
 国の特別天然記念物で絶滅の危機にある野生のニホンライチョウの腸内に、餌の高山植物の毒素を分解する特有の細菌が存在することを中部大などのグループが見つけ、8日の環境省の検討会で報告した。環境省などは2015年からライチョウの人工飼育に取り組んでいるが、人工飼育のライチョウは腸内細菌の種類が異なり、野生に戻す際の支障になる可能性がある。

 人工飼育のライチョウは、野生種が食べるタデなどの高山植物を与えると下痢を起こす。グループは生息地の南アルプス・北岳などで採取した野生ライチョウのフンと人工飼育のライチョウのフンに含まれる細菌を比較した。人工飼育の場合はヒトなど哺乳類の腸内に近い細菌が多かったが、野生種からは新種を含む固有の細菌群が見つかった。

 中には高山植物に含まれる毒素のタンニンやシュウ酸などを分解できる細菌もあり、高山植物を食べて生き延びるために必要な細菌の可能性がある。野生のライチョウは母鳥のフンをひなが食べることから、ふ化直後に母鳥の腸内細菌を受け継ぐと考えられる。

 研究代表者の牛田一成・中部大教授(動物生理学)は「毒素を含むユーカリの葉を食べられるよう、母親のフンから腸内細菌を受け継ぐコアラの生態に似ている。人工飼育のライチョウにも野生の腸内細菌が定着するか研究を進めたい」と話す。【五十嵐和大】
https://mainichi.jp/articles/20171209/k00/00m/040/108000c

http://archive.is/wPCmw
http://archive.is/8m8Hh
ライチョウ、野生に耐える腸内再現へ 人工飼育、環境省が細菌研究【朝日新聞デジタル2016年2月29日】

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