2017年12月08日

毎日フォーラム・ファイル 感染症 海外から持ち込まれるケースが増加【毎日新聞2017年12月8日】(鳥インフルエンザ)

デング熱対策のため公園内で蚊の調査をする作業員ら=東京都渋谷区の代々木公園で2015年4月20日
頻発するアウトブレーク パンデミックも懸念
 「まず膝が腫れだし、次に足の甲の部分、ふくらはぎまで」「感染症、痛風の疑い……。結局、何なのか」−−。シーズン中の9月初旬に書かれた大リーガー、上原浩治投手のブログだ。「原因不明の感染症」と報じられたが、薬が効き回復し、5日ほどで軽い運動を再開したとしている。ブログからは、診察した医師が「感染症」と判断したのかは定かでないが、「原因不明」の症状に「感染症では」という指摘を度々耳にする。海外から持ち込まれる感染症は後を絶たず、一つ間違えれば生命に危険を及ぼすこともある。

 最も一般的な感染症と言えば風邪だろう。風邪は病名ではなく、感冒や急性上気道炎のことで広く風邪症候群と呼ばれる。大半はウイルス感染が原因だが、そのウイルスは200種を超えるという。

 風邪を甘く見てはいけないが、更に重篤な症状を引き起こす感染症が山ほどある。1998年制定の感染症法は症状の重さや病原体すなわちウイルスの感染力などから感染症を5分類し、加えて「新型インフルエンザ等感染症」「指定感染症」「新感染症」の3分類がある。

 5分類をそれぞれ見てみよう。

 まず1類は「危険性が極めて高い感染症」で、アフリカ各地で毎年発生している。5月にはコンゴでエボラ出血熱が発生し5人が死亡。マダガスカルでは9月以降、ペストが流行し2000人近くが感染。100人を超える死者が出た。ウガンダでは10月にエボラ出血熱に類似した熱性疾患のマールブルグ病で3人が死んでいる。どれも1類だが、遠いアフリカのこととも言えない。厚生労働省は発生の度に関係機関に渡航に際し気をつけるよう注意喚起している。

 2類は危険性が1類より低いが、鳥インフルエンザや重症急性呼吸器症候群(SARS)、ポリオ、ジフテリア、結核など、かつて世界的に流行した病名が並ぶ。中でも最近懸念されるのが肺炎を発症する中東呼吸器症候群(MERS)だ。ここ数年、中東各国で発症者が増え死者も増加している。国立感染症研究所(NIID)の大石和徳・感染症疫学センター長は「ヒトコブラクダとの接触で感染し、15年5月には韓国での症例もあった。人から人に感染しやすく、患者の渡航先を聞かずに診断した医師にうつった例もある。日本にも入ってくるのではないか」と指摘する。

 一方、結核は20年までに世界保健機関(WHO)が定める10万人当たりの患者数10人以下の「低まん延国」入りを目指している。日本は先進国の中では罹患率が高く現在14人。4人減らすのは見た目ほど簡単ではなく、同省結核感染症課の繁本憲文課長補佐は「発症予防のための治療の徹底など対策に力を入れている」という。

 コレラや赤痢が含まれる3類は「食品製造など特定業務への就業で集団発生を起こしうる感染症」。今年もO157(腸管出血性大腸菌)が発生し、8月には都内の3歳女児が死亡。同省は11月中旬になって、O157による感染が7〜8月に15都県で91人に上ったとの調査結果を発表した。

 人から人への感染はないが、動物などから人に感染するのが4類だ。蚊が媒介する日本脳炎、デング熱、ジカ熱などがあり、国内では50年代に撲滅された狂犬病も含まれる。「我々が今、一番恐れているのは狂犬病ですよ」。外来生物の研究者である国立環境研究所の五箇公一氏の言葉には驚かされた。五箇氏は「日本に持ち込まれたアライグマなどから発症者が出ることだってある」というのだ。確かに狂犬病の撲滅国は数カ国しかなく、インドや中国では年間数千人が死亡している。

 NIID獣医科学部第二室の井上智室長は「世界で6万人とも言われるが、病院などで亡くなった患者のみの統計で本当の数はわからない」と述べ、もっと多いと見る。06年には日本人男性2人がフィリピンで犬にかまれ、帰国後に死亡した例もある。潜伏期間は1〜3カ月で、この間にワクチンを6回接種する必要があるが、井上室長は「狭間に落ち込んだ病気と言え、認知されておらず、06年の時もアルコール中毒や薬物中毒と疑われた。発症したら治療法はなく、10日ほどで確実に死亡するので事前にワクチン接種すべきだろう」と述べる。

 撲滅したと言われた台湾では13年に200頭を超える狂犬病のイタチアナグマが見つかった。野良犬へのワクチン接種など行政当局の対応が素早く、その後の拡大を食い止めた。犬への予防注射で狂犬病は防げるが、日本の接種率は7割。接種を怠れば、発症の可能性は高まる。犬のほかにはアライグマやキツネ、コウモリ、スカンクなどが媒介動物とされる。海外旅行が増え、輸入動物も増える現在、決して侮れないのが狂犬病と言えそうだ。

 「昨年から今年にかけて麻しん(はしか)、風しんがアウトブレーク(集団発生)した」(大石氏)。これら5類の感染症は国が発生動向調査をし、必要な情報を公開し拡大を防止するよう求められている。

 麻しんは15年にWHOが日本では排除状態にあると認定したが、今年3月以降、山形県で計60人が発症した。発信源は合宿自動車教習所だった。横浜市から新幹線で山形を訪れ、教習所に入った男性が発症。この男性は2月末にインドネシアのバリ島に滞在し、帰国してまもなくだった。教習所内で感染が広がり、感染者が教習所外でうつしていったということになる。

 同県は直ちに男性が乗った新幹線を特定し、同乗者への情報提供のほか、医療機関との連携や報道機関への広報に努め、拡大防止を図った。そして、およそ3カ月後の5月17日、「麻しん患者との最終の接触者発生から4週間新たな麻しん患者が発生しなかった」とするNIIDのガイドラインに基づき終息を宣言した。同省の繁本氏は「麻しんは海外から持ち込まれるケースが増えている」とし、渡航前に母子手帳などで確認し、予防接種を2回受けてもらうよう啓発しているという。

 多くの感染症は接触やせきなどで飛び散る飛まつが引き金になる。知らずに触れた動物から感染することもある。訪日客の増加など国内外の人の往来が活発化する現代。感染症のリスクは高まっており、いつパンデミック(世界的大流行)が起きるとも限らない。
https://mainichi.jp/articles/20171206/org/00m/010/032000c

http://archive.is/YPeow

posted by BNJ at 11:24 | Comment(0) | 鳥類一般ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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