2018年01月09日

野生生物の餌付け 本能奪い自然破壊にも【上毛新聞ニュース2018年1月9日】

 冬真っ盛りの、ここ多々良沼などには、冬の使者と言われるハクチョウやカモの仲間が、越冬のため多数飛来している。

 例年10月下旬には、ハクチョウ飛来の情報が飛び交うが、今シーズンは、11月中旬になってもその気配はなかった。が、11月16日にオオハクチョウの親子5羽を多々良沼で確認した。12月10日時点で、約30羽と例年より少ない。

 日本各地にあるハクチョウの越冬地のほとんどでは、人の都合による餌付けが行われている。しかし、餌付けをしなくても自然の中で採餌をする光景を見られる所もある。野生のハクチョウなどに餌付けをすることは、本来持っている野生の本能を奪うことになり、自然環境破壊につながる可能性がある。給餌によるパンくずや古米などの食べ残しに加え、ハクチョウや数千羽のカモのふん尿で河川や沼の汚染につながっている。

 本来、ハクチョウたちは、湖沼や河川の水辺に自生している植物の根や茎、葉を主食とする。また、越冬地の周辺にある水田には残された落ち穂があり、餌場となる。湖沼をねぐらにしているハクチョウは、日の出とともに周辺の水田へ飛び去って行き、夕暮れになるとねぐらの湖沼に戻るのである。

 しかし、多くの越冬地では、人の手による給餌が行われている。最近では観光目的に穀類やパンくずなどが大量にまかれている。多々良沼も例外ではない。その餌を求めて千羽を超すカモの群れなどが押し寄せる。その餌を横取りしようとするカラスの群れ、カモを狙うオオタカ(これは自然界の食物連鎖で当たり前のこと)、オオタカを撮影しようとする多くのカメラマンが集まる。それもこれもすべてが人の都合でやっている給餌のためだ。

 最近は、陸上に多く集まるオナガガモに直接、餌を与える光景が見られるが、時々何かの拍子に数百羽のカモが飛び上がり、ふん混じりの砂ぼこりが舞い上がる。鳥インフルエンザの感染が心配されている中、直接人への感染はないとされているとはいえ、不衛生なことこの上ない。

 餌付けのための給餌をやめ、水辺の環境を整えることが大切だ。水辺に生えるイネ科の植物マコモは、ハクチョウの貴重な食料となっている。このマコモを植栽し水辺の環境を復活させることが必要だ。田植えの要領でマコモの苗を植えることになり、地域の住民などの協力が求められる。現に、宮城県の伊豆沼周辺では28年前から住民などが毎年、マコモを植栽して自然環境を守っている。

 マコモは、ハクチョウの食料になるとともに水質の浄化にも役立っている。人の手による人の食べ物をハクチョウなどに与えることがなくなれば、自然の中で水草をついばむハクチョウたちの姿を見ることができるだろう。

前日本野鳥の会群馬館林分会長 太田進 館林市松原

 【略歴】民間企業を退職後、日本野鳥の会群馬館林分会に入会。1996年から2017年5月まで同分会長。多々良沼自然公園を愛する会の世話人。館林市出身。

https://www.jomo-news.co.jp/feature/shiten/26118

http://archive.is/yjb4j

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posted by BNJ at 21:16 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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