2018年01月10日

野鳥とともに/10 釧路湿原(北海道) 「神」との共存に向けて【毎日新聞2018年1月10日】(既報関連ソースまとめあり)

厳しい冬を共に過ごすタンチョウの親子=北海道鶴居村で、アルパインツアーサービス・石田光史さん撮影

 釧路湿原は、釧路市北部から鶴居村、標茶(しべちゃ)町にかけて広がる国内最大の湿原(約1万8000ヘクタール)です。主にヨシやスゲ類の低層湿原と周辺のハンノキ林からなり、丘陵地にはミズナラなどが自生しています。釧路湿原国立公園に指定され、ラムサール条約湿地には1980年、日本で最初に登録されました。

 湿原を訪れると、エゾシカやキタキツネ、白と黒の羽色が遠くからでも目立つタンチョウ、空を舞うオジロワシなど多くの魅力ある野生動物に出合えます。初夏にはコヨシキリやシマセンニュウがさえずり、今では絶滅が危惧されているホオジロの仲間・シマアオジの姿もありました。これまでに哺乳類26種、野鳥175種ほどが観察され、湿原の中を流れる川には日本最大の淡水魚イトウも生息しています。

 釧路湿原のシンボルは何と言ってもタンチョウです。アイヌ語ではサルルンカムイ(湿原の神)と呼ばれ、羽を広げると2・4メートル、背の高さは1・5メートルにもなる日本最大の鳥です。明治時代の乱獲と湿原の開発により一時絶滅したと考えられていましたが、約90年前に湿原の最奥部で十数羽が再発見されました。それ以降、タンチョウの餌が少ない冬季に地元の方による地道な給餌が行われた結果、冬場に死ぬ割合が下がり、個体数が回復。行政による給餌事業や当会などによるナショナル・トラスト活動もあり、現在約1800羽になっています。一方、数の増加とともに、農作物の食害や電線、車との衝突などの問題が起きています。給餌場への集中は伝染病がまん延するリスクもあります。そのため給餌量を減らして自然に近い状態で冬を過ごせるような採食地の整備が進められています。

 地域の人々が見守り、個体数が回復したタンチョウ。集中を減らし、自然な状態での安定した生存や分散を目指して、人との共存に向けた新たな地域の取り組みが行われています。(日本野鳥の会・山本裕)=次回は2月7日掲載

 ※国際的な基準で選定された「重要野鳥生息地(IBA)」を紹介します。国内に167カ所あります。

主に見られる鳥
タンチョウ

オジロワシ

オオワシ

オオジシギ

コヨシキリ
https://mainichi.jp/articles/20180110/ddm/013/040/010000c

http://archive.is/eniEm

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posted by BNJ at 11:06 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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