2018年01月14日

【アート 美】「国宝 雪松図と花鳥」展 応挙も模写した鳥類真写図巻【産経ニュース2018年1月14日】

「雪松図屏風」(国宝) 6曲1双 円山応挙筆(左隻) 江戸時代・18世紀 北三井家旧蔵

 新年には松や鶴などのおめでたい絵を見て、晴れ晴れとしたい。縁起のよい美術品を集めた「国宝 雪松図と花鳥」展が東京の三井記念美術館で開かれている。

 目を引くのが国宝「雪松(ゆきまつ)図屏風」だ。対象を正確に描く写生を重視し、江戸中期に活躍した絵師、円山応挙の作。主役は長寿や吉祥を象徴する松だ。どっしりと構えた太い幹は、風雪に耐え忍んだ長い年月を感じさせ、堂々と安定感がある。墨の濃淡によるゴツゴツとした荒々しい質感に対し、松に積もった雪は柔らか。白は和紙の地肌をそのままに生かした。

 江戸時代に京都や大阪などで呉服商や両替店を営んだ豪商、三井家は応挙のパトロン的存在だった。同作は、三井家の依頼により制作されたものと考えられている。

 多くの名作を残している応挙だが、国宝はこの1点のみ。同館では毎年新年に公開するのが恒例で、これを目当てに訪れる人が多い。

 風格ある国宝に対し、リアルな写生と長大さに驚かされるのが応挙と同時代に生きた絵師、渡辺始興の「鳥類真写図巻」だ。全長約17メートルの全図には、縁起が良いとされるウズラのほか、スズメ、ヒバリなど60種以上が登場。多くは現代も国内に生息する野鳥だ。全身の姿に加え、羽や脚といった部分を拡大して丁寧に描出。さまざまな角度から対象を捉えた鋭い観察眼が光る。同館の清水実学芸部長は「写生の祖といわれる応挙が、模写するほど優れた作品。近世の写生図を考える上で重要な位置を占める」と解説する。

 「鳥類真写図巻」が制作された江戸時代は、大名から庶民まで小鳥を飼うブームがしばしば起こっていた。図鑑のような写実的な描写は、そんな社会の一断面を示しているようでもある。

 サブタイトルは「美術館でバードウォッチング」。茶道具や工芸品などの中にも、鳥のモチーフが多くある。中でも、江戸時代前期の陶工、野々村仁清の「色絵鶏香合」は秀逸。表面には鮮やかな朱や緑などの流麗な色彩が施され、上品で愛らしい。小さなトサカやくちばしといった細部の造形にも確かな技巧が宿る。中国・清代の画家で日本の花鳥画に大きな影響を与えた沈南蘋(しんなんびん)の貴重な作品も披露されている。

 同館所蔵品による展示。三井家は鳥との関係が深く、鳥を題材にした美術品が自然とコレクションされたようだ。伊勢・松阪出身の三井家は、18世紀前半までに、本家の北三井家など計11家に分かれ、現代に至っている。明治維新後、北三井家8代の三井高福(たかよし)は「海辺群鶴図屏風」といった優れた絵を残し、9代高朗(たかあき)は400羽以上の鳥を飼い、京都での博覧会にも出品した。前述の「鳥類真写図巻」を所蔵していたのは新町三井家の三井高遂(たかなる)。大正時代、東京帝国大(現・東京大)で動物学(遺伝学)を研究し、後に共著で『家禽図鑑』を著している。

 美術館で、鳥たちのさまざまな表情を見ていると自然に心がなごみ、豊かな気分になる。流麗に羽ばたく鳥を観察し、おおらかに過ごすのもいい。(渋沢和彦)

■ツルの卵に蒔絵

 小さいながらも存在感を発揮しているのが江戸末期から明治中期にかけて活躍した蒔絵(まきえ)師、柴田是真(ぜしん)の「稲菊蒔絵鶴卵盃」だ。蒔絵とは、塗られた漆が乾かないうちに金や銀などの金属粉を定着させる漆工芸の技法の一つ。稲と菊の図柄がそれぞれの表面に蒔絵で施されている。細やかで気品があり洗練されている。

 器の素材はツルの卵。長さ10センチの卵を縦半分に切って加工。ツルやダチョウの卵に蒔絵を施した工芸品は、明治期から欧州に輸出されて珍重されたという。

 明治初期、ウィーン万国博覧会に出品し、「ZESHIN」の名を一躍世界にとどろかせた。確かな技巧と、粋な作風が欧米人に好まれ、多くの作品が海外に渡った。また、紙に漆で絵を描く「漆絵」を手がけ、絵画や工芸の枠を超えた活動も展開。近年、美術館での回顧展が開催されるなど再評価が進み、今後ますます注目を浴びそうだ。

                   


 【ガイド】「国宝 雪松図と花鳥」展は東京都中央区日本橋室町2の1の1、三井記念美術館。2月4日まで。月曜休。一般1000円、大学・高校生500円、中学生以下無料。問い合わせはハローダイヤル(電)03・5777・8600。
http://www.sankei.com/life/news/180114/lif1801140028-n1.html
http://www.sankei.com/life/news/180114/lif1801140028-n2.html
http://www.sankei.com/life/news/180114/lif1801140028-n3.html

http://archive.is/O1W7R
http://archive.is/DfWVS
http://archive.is/fHWxU

posted by BNJ at 21:29 | Comment(0) | 鳥類一般ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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