2018年01月23日

男の気持ち ムクドリのねぐら 山口県周防大島町・中村次男(76歳)【毎日新聞2018年1月23日】

 夜半、窓の外に物の動く気配を感じる。それもおびただしい数のようである。気のせいか鳴き声もする。一瞬の恐怖心と共に見ると、生い茂っている街路樹の葉が、風もないのに揺れ動いている。どの樹木も同じ状態で、よく見ると、落葉樹の枯れ枝に小鳥が鈴なりになって、ねぐらを奪い合っている。

 ここは股関節手術で入院している街中の病院。4階の窓から見ていると、建物の間を走る市道沿いの街路樹10本ばかりに、まるで葉が生い茂ったかのごとく、ムクドリの大群が鈴なりになっている。数羽が動くと連鎖反応でバタバタ、ピーピーと深夜でも一斉に動くのである。

 このムクドリ、暗くなると必ずどこからともなく飛来し、夜が明けると一斉に飛び立ち、うそのように姿を消す。毎日正確にこれを繰り返している。けなげさと異様さを半々に感じる。

 果たしてこれは人間が何か悪事を働いている証しではなかろうか。熊やイノシシや鹿までが人間の世界に出没している現象と同じではあるまいか。

 環境の変化に苦しみ、怒り泣いて、それでも生き抜くためには背に腹はかえられぬ、いたいけな姿が見えてくる。

 今朝も夜が明けると、二、三度旋回した後、矢のように飛び去っていった。何だか不吉なものさえ感じさせながら。

投稿規定
 本文約600字。住所・氏名・年齢・職業・電話番号を記し、〒810−8551 毎日新聞「女(男)の気持ち」係へ。ホームページの投稿フォームからも投稿できます。
https://mainichi.jp/articles/20180123/ddp/013/070/007000c

http://archive.is/dZtrc

タグ:ムクドリ
posted by BNJ at 21:08 | Comment(0) | 鳥類コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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