2018年02月01日

コクガン 気仙沼で捕獲作戦 渡りルート、繁殖地解明向け国際調査 成果ゼロ、79歳再挑戦誓う /宮城【毎日新聞2018年2月1日】(既報関連ソースあり)

捕獲用に用意された無双網に近づくコクガンの群れ

コクガン捕獲用に河口の波打ち際に用意した無双網を撤去する内田聖さん=気仙沼市の大谷海岸で
 20年以上にわたり研究用に鳥などを捕らえている里山自然史研究会(神奈川県逗子市)の内田聖さん(79)=千葉県我孫子市=らが27日までの4日間、気仙沼市の大谷海岸で、国の天然記念物のコクガンの捕獲に挑んだ。日本や中国など4カ国の研究者による共同調査の一環で、アジア太平洋地域での渡りルートや繁殖地の解明が目的だが、捕獲ゼロに終わった。内田さんは「失敗があるからまたみんなで考えられる」と再挑戦を誓った。【山田研】

 うっすらと雪に覆われた大谷海岸。海に流れ込む小川の上に、内田さんが作った無双網(長さ20メートル、幅6メートル)を張り巡らした。竹の棒やテグス製の網などを使った手作りの仕掛けで、近くに飛来したコクガンを網で絡めて捕獲する仕組みとなっている。

 参加したのは、内田さんや県伊豆沼・内沼環境保全財団(栗原市)のメンバー7人。内田さんらは、離れた場所に止めた車内などから双眼鏡を手に夜明けごろからひたすら待つ。捕獲後、コクガンの背中にGPS(全地球測位システム)送信機を取り付ける手はずになっていた。

 周辺の海をねぐらとして海草類を食べるコクガンは午前中、川の真水を飲みに来る習性がある。しかし、23日は海が荒れて姿を見せず、24、25日は観察されたものの網に近づくことはなかった。

 最終日。午前8時ごろ、22羽が無双網から少し離れた海面に着水する。ゆっくりだが、少しずつ波打ち際へと近づく。約1時間が経過した時だった。近くを走る車がクラクションを鳴らすと、群れは一瞬にして飛び去った。内田さんは「自然相手だからいろんな失敗はある」と苦笑い。さらに2時間ほど待ったが、警戒心の強いコクガンが再び現れることはなく、内田さんらの挑戦は終了した。

 内田さんは埼玉県の農村部に生まれ、子どものころはスズメを網で取って遊んだという。趣味で続けた猟はやめたが、研究者から腕を見込まれて野鳥類の捕獲を再開。捕らえた希少な鳥類・猛禽(もうきん)類は、コクガンなど10種を超える。伊豆沼で捕らえたカモ類の行動調査で得たデータは、鳥インフルエンザ感染ルート解明の基礎資料としても採用されたこともある。そうした実績を買われ、共同調査に参加することになった。今回は成果を残すことができなかったが、内田さんは「今度はテグスが目立たないようもっと細いものに替えてみたい」と前向きに語った。

生態謎多く GPSで追跡目指す
 極東ロシアから東シベリアにかけた地域で繁殖するコクガンの調査は、これまで足輪装着による識別が中心だった。このため、渡りルートなどその生態に未解明な部分が多い。

 共同研究に参加する「雁(がん)の里親友の会」(大崎市)事務局長の池内俊雄さんによると、これまでの足輪による調査で日本とロシアの2国間を渡ったコクガンが確認されたのは2例だけ。池内さんは1月、米国・アラスカで足輪を付けられ、渡りの際に群れからはぐれたとみられるコクガン1羽が、南三陸町に飛来したのを確認したという。

 一方、「道東コクガンネットワーク」(北海道別海町)がまとめた昨季の観察記録によると、飛来期の一昨年11月、北海道・野付湾の4345羽を最高に道東全域(国後島を含む)で5500羽以上が観察された。しかし、越冬期の昨年1月に確認されたコクガンは、気仙沼市や南三陸町の433羽を含めても全国(同)で2500羽に満たなかった。大半は道東を中継地にして中国に渡った可能性が高いとみられる。

 今回の共同調査には、同ネットワーク、米地質調査所、中国科学院、ロシア科学アカデミーなどの研究者も参加している。昨年11月後半には、野付湾で4羽を捕獲、GPSを取り付けて放鳥した。2月には北海道函館市の渡島半島東部でコクガンを捕獲してGPSを取り付ける予定。また北帰行期の4月にも再度、野付湾で実施する。
https://mainichi.jp/articles/20180201/ddl/k04/040/093000c

http://archive.is/LNIJY
コクガン 渡り確認、衛星で追跡 国後島−野付半島 絶滅危惧2類 /北海道【毎日新聞2018年1月30日】
コクガンにGPS装着、渡りルートの解明へ【読売新聞2017年11月28日】

posted by BNJ at 21:22 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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