2018年02月26日

ウミウ 「ウッティー」学術論文に 人工繁殖・飼育技術、民博准教授と鵜匠が共同研究 宇治 /京都【毎日新聞2018年2月26日】(既報1ソース)

 「ウッティー」が学術論文になった−−。宇治川の鵜(う)飼いを主催する宇治市観光協会は、ウミウの人工繁殖・飼育技術についての研究論文が日本民俗学会の学会誌に掲載されたと発表した。

 卯田宗平・国立民族学博物館准教授(環境民俗学)と鵜匠の澤木万理子さん、松坂善勝さん、江崎洋子さんによる共同研究。「日本民俗学」292号に掲載された。ウミウの産卵から飼育、鵜飼い訓練に至る一連のプロセスを捉えた初めての研究で、卯田准教授が長年研究している中国のカワウ繁殖・飼育技術とも比較し、特徴を明らかにした。

 市観光協では14年、偶然の産卵から前例のない人工ふ化に成功、第1号のウッティーが翌年鵜飼いデビューを果たした。これまで4年連続でウッティーが誕生、計9羽が育ち、野生から飼い慣らした10羽と拮抗(きっこう)する数に達した。今年は人なつっこいウッティーに綱を着けず魚を取らせる「放ち鵜飼い」を試験実施する予定だ。

 論文では、繁殖期前に巣箱と巣材を与えて確実に産卵させ、ひなは羽毛が生えるまで体温を管理する技術が重要と強調。また、ウッティーは他の鵜や鵜舟、かがり火などを恐れるため訓練を繰り返し徐々に慣れさせる必要があったとし、鵜飼い用に育成する難しさを指摘している。

 卵の数は、産卵期間中に巣から卵がなくなると産み足す習性を利用して、中国では卵をすぐに取り出し数十個産ませ、抱卵は鶏にさせる。一方、宇治では卵をふ卵器に移し、巣には擬卵を入れて数個の産卵にコントロールしている。多数の鵜を使い漁獲量を増やす生業としての鵜飼いと、観光として見せる鵜飼いの特徴がそれぞれ表れているという。

 澤木鵜匠らは「記録を取り続けることでデータが蓄積でき、飼育技術の向上に役立てられた」などと話した。

 論文の抜き刷り(A5判28ページ)は宇治市宇治の市観光センターなどで閲覧、貸し出しができる。【富永浩三】
https://mainichi.jp/articles/20180226/ddl/k26/040/298000c

「宇治川の鵜飼」学術論文に 民博准教授ら産卵や訓練分析【京都新聞2018年2月20日】
「宇治川の鵜飼」の論文をまとめた卯田准教授(左から2人目)と共同執筆者の鵜匠3人。抱いているのが人工ふ化で誕生したウミウ=宇治市宇治の府立宇治公園
 「宇治川の鵜飼」を主催する宇治市観光協会が日本で唯一成功しているウミウの人工繁殖について、国立民族学博物館(大阪府吹田市)の卯田宗平准教授(環境民俗学)が、鵜匠たちと共同で学術論文をまとめた。ウミウの産卵から飼育、鵜飼いに向けた訓練まで一連の過程を分析した初の研究という。漁業に使う中国のカワウ繁殖の手法とも比較し、宇治川では産卵数を抑制させる傾向があることも分かった。

 卯田准教授によると、日本の鵜飼いのウミウは捕獲された野生を飼いならしたウミウで、産卵させたり、ふ化させたりした記録は見つかっていない。だが、宇治川では2014年5月、飼育中のウミウが偶然産卵し、鵜匠の世話で人工ふ化にも成功。これまでに4年連続で産卵し、計9羽が順調に育っている。

 論文は、巣の材料の稲わらや巣箱を繁殖期前に与えるなど産卵につながる工夫や、ひなの体温を管理して育てる技術が重要と指摘。人工ふ化で誕生したウミウは鵜匠に慣れているが、ほかのウミウや鵜飼い用の舟などを強く恐れる傾向があり、訓練を繰り返し徐々に慣れさせているとした。

 ウ類を含む水鳥は、産卵後に卵がなくなると産み足す習性がある。観光業である宇治川の鵜飼いでは必要数以上のウミウを飼育しないため、親鳥が産卵すると巣から卵を取り出して人工ふ化に回し、親鳥には偽の卵を抱かせて産卵数を抑える。一方、中国ではカワウの数が多いほど漁獲量が増えるので、卵を産むとすぐに取り出して鶏に抱かせ、ふ化させるとともに、ウにも次の産卵を促す。卯田准教授は「見せる鵜飼いと生業の鵜飼いとの違いが明確になった」と言う。

 共著の鵜匠3人の1人、澤木万理子さん(43)は「記録を取ってデータにすることで、飼育技術の向上に役立てられた」と話す。

 論文は昨年11月、学会誌の「日本民俗学」に掲載された。宇治市観光センターや市内の観光案内所で20日から閲覧や貸し出しをする。
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20180220000061

鵜飼い 日中の違い論文に・・・宇治川の鵜匠と民博准教授【読売新聞2018年3月6日】
宇治川の鵜飼いをテーマに論文をまとめた卯田准教授(左)と沢木さん(左から2人目)ら3人の鵜匠(宇治市で)

 ◇日本 観光に特化飼育手厚く

 ◇中国 漁師の生業経済性重視

 宇治市観光協会に所属する宇治川の鵜匠うしょうと国立民族学博物館(大阪府吹田市)の研究者が、宇治と中国での鵜飼いのスタイルの違いなどについて比較研究した論文をまとめ、民俗学の学会誌で発表した。宇治市観光センターで小冊子に編集した論文を閲覧できる。(橋間督)

 鳥のウ科を活用する鵜飼いは、中国や日本でアユなどの川魚を取る漁として継承されてきた。起源やどう普及したかについては不明な点が多いが、早いものでは平安時代の書物で宇治川で貴族が観賞したという記述が残されている。

 中国では現在も漁業者が生計を立てる漁法として残っているが、日本では観光事業に特化し、宇治川や長良川(岐阜県)などで伝統的な光景が維持されている。

 論文を執筆したのは同館の卯田宗平准教授(42)と、沢木万理子さん(44)を始めとする3人の鵜匠。中国の鵜飼いについて現地滞在し、5年余り研究した経験があった卯田准教授は、2014年に宇治市観光協会がウミウの人工孵化ふかに成功したニュースを知り、以後の繁殖について共同研究を提案。産み落とされた卵の状態やヒナへの餌のやり方、成長状況をつぶさに記録、分析した。同協会では14年以降、人工孵化させたうち合計9羽の飼育に成功している。

 論文では、宇治ではヒナに対し、人の手で注射筒から餌をやるなどきめ細かな手順がとられるほか、鵜舟に順応しやすいよう舟の移動速度に合わせて川で泳がせる練習や、かがり火におびえないよう段階的な訓練を取り入れていることを説明。

 これに対し、飼育数が圧倒的に多い中国では人工繁殖が特別なものとみなされず、日本ほど「過保護」でない実情を指摘した。繁殖・飼育法の明確な違いとして、親鳥の産卵数の調整のため宇治では偽卵(人工物)を使う一方、中国では使われないこと、また、鵜飼いの訓練開始時期が、中国は生まれたその年から始めるのに対し、宇治では1年余りの準備時間を設けていることなどを挙げた。

 論文は日本民俗学会が刊行する学会誌「日本民俗学」の17年11月号に収録された。卯田准教授は「漁師の生業なりわいとして経済性を重視するのが中国のスタイル。これに対し、限られた羽数を安定的に観光事業に生かすため、ウにできるだけストレスを与えないよう配慮している宇治の特性を示すことができた」と振り返る。鵜匠の沢木さんは「宇治川での飼育技術を後世に残す貴重な学術記録となるのでうれしい」と話している。
http://www.yomiuri.co.jp/local/kyoto/news/20180305-OYTNT50361.html

http://archive.is/FVBv7
http://archive.is/x8LXQ
http://archive.is/3WFQu

posted by BNJ at 22:06 | Comment(0) | 鳥獣狩猟ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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