2018年03月08日

一点張り・論説室から カジノは万博のレガシーか=二木一夫【毎日新聞2018年3月8日】

 来年の主要20カ国・地域(G20)首脳会議の大阪開催が決まった。2025年国際博覧会(万博)の誘致に取り組む大阪府・市は国際的知名度が高まると大歓迎だ。

 11月の投票で決まる万博の誘致レースでも最大のライバルとされたフランスが撤退した。だからといって大阪に支持が集まると考えるのは早計だろう。

 万博では、その理念を後世に残すレガシー(遺産)が大事である。開催の成否の鍵を握るといってもいい。

 大阪人の輝かしい思い出として記憶される1970年大阪万博で言えば、シンボルは今もそびえる太陽の塔だ。大阪府の松井一郎知事は世界文化遺産登録を目指す方針を示している。

 しかし、本当のレガシーは、パビリオンを壊して埋め立てた人工地盤に広大な森を造ったことだと思う。「環境の時代」という未来社会を見据えた貴重な市民財産だ。

 跡地活用の基本理念として、国際性を持った国民的財産をつくることと、失われた自然を再生して自然保護の思想を広げることの二つが示された。それを形にしたのが万博記念公園で、オオタカの繁殖も確認されるようになった。

 今回、誘致を目指す万博の会場となるのは大阪湾にある人工島の夢洲(ゆめしま)だ。ここは、大阪市が誘致に失敗した08年夏季五輪の選手村予定地だった。その後も活用策がないまま、開発行政の「負の遺産」として空き地が広がる。

 府と市は夢洲を国際観光拠点とする方針で、カジノを含む統合型リゾート(IR)を併設する計画も進めている。会場跡地にはエンターテインメント施設や商業・飲食施設を整備し、経済振興の交流拠点とする構想が示されている。だが、これでは万博のレガシーがカジノということになってしまう。

 地元経済界は、万博とIRの相乗効果を期待する。低迷する関西経済を活性化したいという気持ちは分かる。しかし住民のカジノへの拒否感情は根強い。「健康な生き方」という万博のサブテーマ案にもギャンブルはそぐわない。

 博覧会国際事務局(BIE)調査団が今週、夢洲などを視察する。松井知事らの考える理念とレガシーは理解を得られるだろうか。

 「一点張り」は論説委員が交代で執筆します。
https://mainichi.jp/articles/20180306/ddm/004/070/031000c

http://archive.is/3uEfw

posted by BNJ at 11:19 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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