2018年01月26日

「坂網猟」の継承 環境守り地域おこしにも【北國新聞2018年1月26日】

 ラムサール条約登録湿地「片野鴨池」(加賀市)で藩政期から続く県有形民俗文化財「坂網猟(さかあみりょう)」の記録映像が、年度内に完成する。地元の保存会が初めてまとめたもので、希少な猟法を後世に伝え、後継者育成にも役立てられる。
 片野鴨池は日本有数の野鳥の越冬地で、坂網猟の猟師らは、鴨池周辺の環境保全にも取り組んでいる。年間200羽前後しか捕れない天然カモの料理は「坂網鴨」として昨年12月に商標登録されており坂網猟の継承は、環境保全と食文化の発信にもつながる。地元と行政が一体となって伝統の技を守り、地域おこしに活用してほしい。
 市民有志や学識経験者らでつくる片野鴨池坂網猟保存会が、猟師や地域住民らに取材を続け、伝統の技や環境保全活動の映像を撮ってきた。坂網の作り方からカモの調理法まで紹介する「伝承版」と、猟師らの聞き取り調査をまとめた「普及版」のDVDを作成し、市内の教育機関や図書館などに配布するとともに、動画投稿サイトで配信する計画である。
 猟師らはカモが飛来しやすい環境を維持するため、片野鴨池で水量調節や草刈りなども行っており、これらの取り組みも収められた。映像を通して、乱獲をせず、鴨池や里山の環境を守ってきた坂網猟への理解が深まり、継承する意義が伝わるだろう。
 課題である猟師の後継者育成については、加賀市や大聖寺捕(ほ)鴨(こう)猟区協同組合が取り組んでおり、近年は30人近くになっている。説明会などで記録映像を活用し、担い手確保につなげてほしい。
 坂網猟で捕れた天然カモの料理は、すでに「古式猟法坂網鴨」として商標登録されていたが、便乗商法を防ぐために、簡略化した「坂網鴨」が新たに登録された。北陸新幹線延伸に向けて、加賀市ならではのカモ料理は誘客の魅力となる。
 昨年は片野鴨池で高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染した野鳥が確認されており、対策として猟師らの靴底や猟具の消毒を徹底している。あらためて野鳥や環境の変化に目を光らせたい。

posted by BNJ at 23:00 | Comment(0) | 鳥類コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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