2018年03月21日

京の人今日の人 宇治川の鵜匠 澤木万理子さん 「放ち鵜飼」「自然繁殖」目指す 客を楽しませる目配りも /京都【毎日新聞2018年3月21日】

澤木万理子さん(44)=宇治市
 宇治市宇治の宇治川塔の島にある鵜(う)小屋。一帯では河川改修工事が行われ、18羽のウミウは隣接する橘島の仮設小屋に移っているが、今月末には戻り、間もなく繁殖シーズンを迎える。

 「宇治川の鵜飼」を主催する市観光協会は2014年、前例のなかったウミウの人工ふ化に成功、生まれた1羽のひなを「ウッティー」と名付けた。翌年以降のひなも同じ名で呼ぶことにし、鵜匠の澤木万理子さん(44)らが親代わりになって昨年までに全部で9羽のウッティーを育て上げた。

 日本の鵜飼いでは野生のウミウを飼い慣らして使うが、観光協会は人なつっこいウッティーたちに綱を着けず漁をする「放ち鵜飼」の実現を目指している。トレーニングを積み、今年の秋口にも試験実施する予定という。

 今年の目標はもう一つある。ウミウの「自然繁殖」だ。「親鳥による抱卵から自然ふ化、育雛(いくすう)が本来の姿だから」。「飼育された鵜は産卵しない」という常識を打ち破り、産ませる技術は安定した水準に。しかし、ひなを育てる技術については未解明の部分があり、今年の取り組みがうまくいけば大きなヒントが得られるという面もある。

 この道に入った直接のきっかけは、観光協会のホームページで宇治川に鵜飼いがあることを知ったから。幼いころから、空が飛べ水にも潜り、感性豊かな鳥が好き。「嵐山の鵜飼」を見て鵜匠に憧れていたこともある。結婚後に派遣社員として働いていたが、「鳥と一体になってできる理想の仕事」と2001年秋、宇治の鵜匠に弟子入りした。

 翌年6月に見習いとしてデビュー。「習うより慣れろ。実戦で覚えていった感じ」で04年に独り立ちした。6羽の鵜が操れるようになり、腕に覚えができた。そのころ後輩鵜匠の江崎洋子さん(39)が入門してきた。教える立場になって、自分には先輩鵜匠のような「客を楽しませる目配り」が足りないことに気付いた。

 以来、鵜飼いを始める前に口上を述べたり、鵜に魚を吐かせる際は膝に乗せて客に見えやすいよう角度を考えたりするなど、宇治川の鵜飼にはなかった工夫を加えてきた。創意工夫を重ねることは、偶然だったウミウの産卵を必然のものにし、育雛技術を高めることにも生かされた。

 今年、鵜匠17年目。すっかり宇治川の鵜飼の顔となったが、「もう、そんなに。でも、何十年ものキャリアの人が普通の世界。まだまだです」と話す。クールな表情に伝統漁法を守りながら新境地を開く情熱を秘め、ウッティー誕生以来の念願「放ち」と「自然繁殖」の実現へと歩みを進める。【富永浩三】

 ■人物略歴

 1974年、京都市生まれ。嵯峨美術短期大学卒業。建築土木会社勤務などを経て2002年6月、「宇治川の鵜飼」初(日本では3人目)の女性鵜匠に。04年4月から宇治市観光協会職員。14年6月、ウミウの人工ふ化に成功。ウッティー(1号)が誕生し、翌年鵜飼いデビュー。先輩鵜匠の松坂善勝さん(79)、後輩の江崎さんと伝統漁法の灯を守っている。滋賀県草津市に夫、ヨウム(大型インコの一種)と暮らす。
https://mainichi.jp/articles/20180321/ddl/k26/070/417000c

http://archive.is/iSzku
ウミウ 自然ふ化に挑戦 「宇治川の鵜飼」複数ペアに巣材提供へ 抱卵、育雛、訓練目指す /京都【毎日新聞2018年3月20日】

posted by BNJ at 21:22 | Comment(0) | 鳥獣狩猟ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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