2018年05月25日

(ニュースQ3)奄美・沖縄の4島、世界遺産への道は【朝日新聞デジタル2018年5月25日】

「奄美・沖縄」の4島と課題となった米軍北部訓練場返還地

 ユネスコの世界自然遺産への登録を目指す「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」(鹿児島、沖縄両県)に対し、諮問機関の国際自然保護連合(IUCN)が「登録延期」を勧告した。早期登録に向けて、どう対策すべきなのか。

 ■推薦地域が「分断」

 「奄美・沖縄」の推薦地域は、約1200キロに点在する琉球列島にある4島内の計24カ所(計約3万8千ヘクタール)。政府は、いくつかある世界遺産の基準のうち、島々で生き物が独自に進化した「生態系」と絶滅危惧種が多い「生物多様性」の二つを満たすと強調し、登録を目指した。だが、結果は厳しかった。

 何が問題視されたのか。

 「生態系」については、推薦地域が24カ所に分断されていることで「生態学的な持続可能性に重大な懸念がある」などとし、基準を満たさないと判断した。

 一方、「生物多様性」については「基準に合致する可能性がある」と評価。登録の条件としてIUCNが挙げた最も大きいものが、沖縄本島北部にある米軍北部訓練場の返還地の追加だ。2016年12月に返還された約4千ヘクタールの森林は、絶滅危惧種の保護のためにかけがえのない地域を含んでいるなどとして、推薦地域に加えるよう求めた。

 筑波大大学院の吉田正人教授(世界遺産学)も「希少な生物を守るために広めの区域を設定する必要がある。返還地を追加すると東側や南東側の飛び地とつながる」と指摘する。

 ■外来種対策に懸念

 また、IUCNは外来種対策や適切な観光管理などへの懸念も列挙。奄美大島の自然写真家・常田守さん(64)は「登録するための宿題をもらった」と話す。相次ぐ開発やマングースをはじめとする外来種の侵入で自然が破壊される姿も目の当たりにしてきた。野生化した猫が希少動物を襲う問題も指摘されている。「保護のために何をすべきか、根本から見直すきっかけになる」と受け止める。

 最終的な登録の判断は、6月からバーレーンで行われる世界遺産委員会で審議される。IUCNの今回の勧告はそのベースとなる。

 ■進むか引くか2択

 世界遺産委員会に向けた選択肢は二つ。一つは現状のまま世界遺産委員会の審議に進む選択だ。

 「登録延期」の勧告が出たとはいえ、07年に文化遺産登録された石見銀山(島根県)のように一転して「登録」と判断された例もあることはある。登録までいかなくても、判断が一段階上がって「情報照会」となれば、訓練場返還地の情報などを追加で出すことで19年の登録の可能性が出てくる。だが、リスクもある。不完全なまま進んで「不登録」と判断されれば、再推薦ができなくなり登録は不可能になる。

 もう一つの選択肢は、推薦をいったん取り下げることだ。IUCNの勧告に従って、訓練場返還地を候補地域に含めるなど修正した推薦書を19年に出し直し、20年の登録を目指す。だが、19年からは一つの国から1年に自然遺産と文化遺産のどちらかしか推薦できなくなる。国内の文化遺産候補との調整が必要になる。

 今年の対応について中川雅治環境相は「どのような形が登録の近道か、地元自治体の意見を丁寧に聞き判断を固めたい」と話している。

 (外尾誠、川村剛志)
https://www.asahi.com/articles/DA3S13509752.html

http://archive.is/WNRU7

世界遺産に認められなかった「奄美・沖縄」 初の敗北、環境省はどうする?【産経ニュース2018年5月23日】
琉球列島の軍事化と自然保護は両立できない IUCN、奄美・琉球の世界自然遺産「登録延期」を勧告【WEB RONZA2018年5月11日】
鹿児島 奄美群島と沖縄 「世界自然遺産」の登録は見送りへ【NHKニュース2018年5月4日】

posted by BNJ at 23:03 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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