2018年06月10日

鹿児島)徳之島の山クビリ線 貴重な生き物の宝庫【朝日新聞デジタル2018年6月10日】

【動画】夜の動植物観察の名所となっている徳之島の「林道山クビリ線」=外尾誠撮影

徳之島固有種のオビトカゲモドキ。種の保存法や条例で捕獲や取引が禁じられている=5月14日、いずれも徳之島町

 夜の森でトクノシマトゲネズミが跳ね、オビトカゲモドキがじっと息を潜めている。ともに徳之島だけにすむ固有種だ。国の特別天然記念物アマミノクロウサギや希少種のアマミヤマシギも次々と現れた。島北部を走る林道山クビリ線は「世界的に貴重な生き物が間近で見られる、すごい場所」。そう胸をはる県希少野生動植物保護推進員の池村茂さん(62)=徳之島町=の夜間パトロールに3〜5月、数回同行した。

 山クビリ線は天城岳(533メートル)や三方通(さそんつじ)岳(496メートル)の中腹を走り、全長約15キロの大半が、島が目指す世界自然遺産登録の候補地。ユネスコ諮問機関の国際自然保護連合(IUCN)の専門家も昨秋、現地調査で訪れた。

 車で入ると、まず出迎えたのがアマミノクロウサギ。以前は姿を見るのが難しかったが、クロウサギを襲う野生化した猫の捕獲が始まった2014年末以降、徐々に確認しやすくなり、今では20匹以上が現れる夜も。それでも猫による捕食被害は続いており、捕獲の継続が重要だという。

 「チー」という鳴き声をたどると、アマミヤマシギのヒナがよちよち歩きをしていた。種の保存法に基づく「国内希少野生動植物種」で、琉球列島の固有種。そばにいた親鳥が威嚇の声をあげ始めたところで、その場を離れた。「ストレスをできる限り与えないように、そーっと見守らないとね」と池村さん。

 ピョンと跳ねながら道路を横切ったのが、国の天然記念物トクノシマトゲネズミ。かつては奄美大島や沖縄本島にいるトゲネズミと同種とされたが、研究が進んで06年に徳之島の固有種に。体長15センチ前後でトゲ状の毛が生えているのが特徴で、天敵のハブから逃げる際などに数十センチの大ジャンプも披露する。ほとんどの哺乳類でオスになるのを決定づける「Y染色体」を持たないのにオスとメスがちゃんと存在するため、「謎のネズミ」とも呼ばれる。

 茂みにいたオビトカゲモドキも島固有種。トカゲに似ているがヤモリの仲間で、胴の長さ6〜8センチ。桃色の帯模様と猫のような目が特徴。生きた化石と呼ばれるイボイモリとともにペットとして人気があり、乱獲や森林開発で激減し、環境省レッドリストで絶滅危惧種になっている。池村さんは3月、生息地の壁に「オビトカゲ」の文字が刻まれたのを発見。すぐに消したが、その後、周辺で見つけにくくなったという。

 路上には県天然記念物のアマミハナサキガエルや琉球列島に生息するリュウキュウカジカガエルも多いが、車にひかれた個体も目に付く。クロウサギの輪禍も毎年のように発生しており、地元ガイドらは「10キロ以下でゆっくりと運転を」と呼びかけている。

 純白が美しいトカラアジサイや子育てのために渡ってきた夏鳥リュウキュウアカショウビンも楽しめ、やがて夏のランの季節を迎える。山クビリ線を走れば「刻々と変わる自然の表情を味わえる。本当に恵まれている分、守る責任がある」と池村さん。先月、遺産登録の「延期」を勧告したIUCNからは、観光客増加で自然が劣化する恐れが指摘された。入山にガイド同行を義務付けたり、観察マナーの向上に力を入れたり。国や県、地元が一体となった対策が求められているという。(外尾誠)
https://www.asahi.com/articles/ASL693JL3L69TLTB001.html

http://archive.is/FcbH7

posted by BNJ at 10:37 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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