2018年06月11日

アホウドリ小笠原に定着 「移住」プロジェクト10年【日本経済新聞2018年6月9日】

 絶滅の危機を脱したアホウドリを、安定繁殖のため伊豆諸島の鳥島から約350キロ離れた小笠原諸島の聟(むこ)島に移住させる取り組みが始まって10年がたった。移住先の聟島でつがいやヒナが確認されるなど、山階鳥類研究所(千葉県我孫子市)の繁殖チームの活動は軌道に乗り始めている。今後は地元住民にアホウドリの成長を見守ってもらうことを目指す。

2018年2月に聟島で生息が確認された6羽のアホウドリ=山階鳥類研究所提供

 アホウドリは、日本最大級の海鳥で国の特別天然記念物に指定されている。かつて伊豆諸島や小笠原諸島、尖閣諸島などに少なくとも数百万羽が生息していたとされるが、海外の羽毛需要の高まりを受けて乱獲され、1949年に米国の研究者が絶滅を宣言した。

 ところが、51年に中央気象台(現気象庁)の職員が伊豆諸島の鳥島で約10羽を発見。気象台職員や山階研の研究者らが捕食するネコを駆除したり、営巣地を整備したりして生息数は現在の約5000羽まで増加した。

 ただ鳥島は活火山で、大規模噴火が起こればアホウドリが巻き込まれて再び絶滅の恐れが生じる。そこで、生まれたばかりのヒナを別の島に移住させるプロジェクトが2008年に始まった。

 移住先に選んだのは小笠原諸島の聟島。東京都小笠原村役場のある父島から漁船で約3時間半の無人島で、1930年ごろまでアホウドリが繁殖していたという。

 アホウドリのヒナは4〜5カ月間、親に育てられた後はしばらく海を放浪し、3〜5年後に生まれた場所に戻ってくる。この習性を利用し、鳥島から聟島にヘリコプターでヒナを移送。人間が親に代わってヒナを育てる作戦だった。

 繁殖チームのリーダーを務めた山階研の出口智広・保全研究室長は「人間がアホウドリのヒナを育てる前例はなかった。試行錯誤の連続で大変苦労した」と振り返る。

 通常、アホウドリは親が胃の中で消化した魚を吐き戻し、ヒナに口移しで餌を与える。繁殖チームは聟島に餌となる魚を冷凍して持ち込み、1日1回の食事の時間のたびに魚を解凍。すりつぶしてミンチ状にした餌をヒナに与えたという。

 12年までの5年間で計70羽のヒナを移送した。16年には聟島で生まれたオスが野生のメスとつがいになり、聟島で初めてヒナが生まれた。それ以降、計3羽のヒナが生まれている。また、今年2月には2組目のつがいも確認され、繁殖活動は軌道に乗り始めた。

 山階研の調査は次第に縮小し、今後は父島の地元住民にアホウドリを見守ってもらう方針という。出口室長は「父島ではアホウドリのモニタリング調査を担うNPO団体が発足する動きもある。アホウドリに限らず、生物の絶滅を防ぐためには一般市民が生き物に関心を持ち理解を示すことが重要だ」と話す。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3157716009062018CC0000/

http://archive.is/oAlxI

タグ:アホウドリ
posted by BNJ at 10:11 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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