2018年07月12日

(訪ねる)動物園・水族園 よこはま動物園ズーラシア 横浜市旭区【朝日新聞デジタル2018年7月12日】

「アフリカのサバンナ」は日本初の草食動物と肉食動物の混合展示。キリンやエランドがゆったりと草をはむ。

 ■動物のびのび、緑に包まれ

 ここは本当に横浜? 相鉄線の鶴ケ峰駅から車で走ると、青々とした緑が次第に左右から迫ってくる。横浜市旭区のよこはま動物園ズーラシアの正門をくぐると、こんもりした濃い緑に包まれる。見上げるとヤマモモがたわわ。ウグイスの「ホーホケキョ」が合唱のように鳴り響く。

 「森林浴ができる動物園と言われているんですよ」と村田浩一園長(66)。ヤマモモはこの日の朝、メジロがついばみに来ていたそうだ。

 ズーラシアは約100種750個体を擁する、面積45ヘクタール余りの国内最大級の動物園。地域別の飼育・展示ゾーンを全て回れば、さながら「世界一周の動物旅行」ができる。

 北へ進むと、広々とした草原の「アフリカのサバンナ」ゾーンが見えてくる。東アフリカの環境を極力再現して2015年春に全面オープンした。足を踏み入れると、「グググッ」という鳴き声。サバンナに生きる鳥ミナミジサイチョウだ。ライオンの雄たけびも響く。足元には動物の頭骨。一瞬驚いたが、よく見るとウシ科のエランドの死体の骨の模型だ。肝心の生きた動物の姿はなかなか見えない。

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 ズーラシアは「ランドスケープ・イマージョン」をとり入れている。動物との間を高い柵で遮ったりせず、見る側も野生下の環境に浸り、動物の尊厳や生きる権利を感じ取ってもらう、米国で提唱されて久しい考え方だ。だから動物が隠れてくつろげる茂みがいっぱい。常に大勢の人間に見られる状況を減らし、ストレス軽減にもつなげる。

 草原をぐるりと回ると、木々の間からついにキリンが見えた。首を伸ばして葉っぱをもぐもぐ。人が動物を見下ろす形にならないよう、動物の位置が高くなっているだけに、キリンがより伸びやかに見える。グラントシマウマが目の前を横切った。おっと、奥でチーターが牙をむいている。草食動物と肉食動物が同じ敷地内、大丈夫なの?

 「チーターは自分より大きな動物は襲わない。威嚇しているだけですよ」と村田園長。よく見ればチーターは後ずさりし、キリンの方が余裕ある様子だ。肉食と草食を同じ敷地で見せる混合展示は日本初だという。

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 子どもの頃に訪ねた都市型の動物園はコンクリート張りの狭いおりと、こもりがちな臭いが記憶にある。でも、ここでは豊かな緑の中和効果で、そうした臭いは感じない。住民の娯楽施設との感覚が根強かった日本の動物園界にあって、広さを生かして「生命の共生・自然との調和」を掲げる園ならではだ。

 「アフリカの熱帯雨林」ゾーンではカメラを持った少年たちが「かわいい!」。褐色の毛並みに白黒しま模様の脚を持つオカピが50センチほどある長い舌を出して草をはむ。1999年の開園時に日本で初公開された世界3大珍獣のひとつ。別名の「森の貴婦人」さながらのたたずまいだ。

 バードショーがあると聞き、再び「アフリカのサバンナ」へ。飼育係の女性の左腕からハリスホークが飛び立ち、ばっさばっさと私たちの方へ。歓声が上がる。羽根が私の頭をかすめ、別の飼育係の女性の左腕に「着地」。これは楽しい! 「仕事や学校に疲れたら動物園へ」という村田園長の言葉を体感した。

 「アジアの熱帯林」では、オナガザル科のフランソワルトンの赤ちゃんが5月24日に誕生した。大人の黒毛と違い、生まれた時は毛がオレンジ色なのが特徴だ。群れの大人の子守行動を促すための色違いだと考えられている。生後半年ほどで黒くなるそうなので、見たい方はお早めに。(藤えりか)

 ◇ズーラシア(電話045・959・1000)は相鉄線の鶴ケ峰駅や三ツ境駅、JR横浜線・市営地下鉄線の中山駅からバスで約15分。車では圏央道・東名高速の海老名JCTから約35分。開園午前9時半〜午後4時半(入園午後4時まで)。火曜と年末年始は休園。大人800円、高校生300円、小中学生200円。

 ■(おすすめ)絶滅から救う繁殖施設

 ズーラシアの西に併設された横浜市繁殖センターは動物を救うための市直営の施設。環境破壊などで絶滅が危ぶまれる動物の精子や卵子を「冷凍動物園」で保存、またマレーバクや、カンムリシロムク=写真=などの絶滅危惧種の飼育・繁殖に取り組む。市によると、こうした施設の動物園への併設は国内初という。

 カンムリシロムクはインドネシアに固有の鳥。「飼い鳥として持つのがステータスだったため、一時は絶滅しかけたんですよ」と市職員で飼育技師の白石利郎さん(55)。繁殖させたカンムリシロムクをインドネシアに送って野生に戻す事業も進めている。

 通常は非公開だが、日程によって団体見学を受けつけ、夏休みには中学生以上の科学スクールも開いている。

 ■プレゼント

 よこはま動物園ズーラシアの「アクアテラスギフトショップ」で販売中のオカピのぬいぐるみと、ズーラシアの動物たちを写真とともに詳しく紹介したガイドブック「横浜にあつまる世界の動物たち」を、セットで5人にプレゼントします。件名「訪ねる・ズーラシア」で名前、住所、電話番号と記事の感想をメール(yukan-toukou@asahi.comメールする)で。18日(水)必着。当選者にのみ、連絡いたします。
https://www.asahi.com/articles/DA3S13582989.html

http://archive.is/I5IFR

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