2018年07月30日

埼玉コレがスゴい 「見沼たんぼ」(さいたま、川口市) 治水の要に「日本一の桜回廊」 高齢者雇用や少年の学びの場 /埼玉【毎日新聞2018年7月29日】

社会問題解決の糸口も
 埼玉には「知る人ぞ知る」素晴らしい場所や人々、イベントなどが目白押しだが、全国的にはまだまだ知られていない。そんな「埼玉のコレがスゴい」に焦点を当てた企画、略して「埼玉コレスゴ」、始まります。

 見沼たんぼ。さいたま市と川口市の一部にまたがり、西の芝川と東の加田屋川に沿ってYの字形に広がる1260ヘクタール、東京ドーム約270個分もの大規模緑地が、東京から電車で30分足らずの政令指定都市に存在する。貴重な自然が都心のすぐ近くで楽しめるばかりでなく、雇用や高齢化対策、子どもの居場所作りなど、あらゆる問題の解決策を導き出すかもしれない場所だ。

 見沼たんぼが残された大きなきっかけは1958(昭和33)年の狩野川台風だった。元々付近は沼や湿地で、江戸時代前期に川を八丁(約870メートル)の堤でせき止め、「見沼溜井(ためい)」と呼ばれる巨大なため池が作られた。江戸中期には新田開発に伴い八丁堤を切り開いて見沼溜井を干拓し、見沼たんぼが形成された。戦後、関東を襲った狩野川台風は主に水害で1200人を超える死者・行方不明者を出す被害をもたらしたが、見沼たんぼの貯水量は1000万トンとされ、下流域の被害を抑える役割を果たした。

 これにより65(昭和40)年、主に治水上の観点から見沼たんぼを保全する「見沼三原則」が制定され、30年後の95(平成7)年には新たに自然との触れ合いの場などとしての利用を図る「見沼田圃(たんぼ)の保全・活用・創造の基本方針」を策定。緑地の生態系を維持する「ビオトープ」が整備されるなど、約200種類の鳥類が観察される県南地域有数の野鳥の宝庫となっている。桜の植樹も進められ、昨春に総延長は20キロを超え「散策できる日本一の桜回廊」となった。

 「その土地を農家がずっと守ってきたってことです」。見沼たんぼで農業体験の受け入れ活動などを行っている「ファーム・インさぎ山」代表の農家、萩原さとみさん(70)は強調する。萩原さんが指摘するのは、ここが貴重な自然を学ぶ場や環境保護の象徴、観光資源になっていることだけではない。70代の高齢者を農業従事者として雇い、学校などで居場所がないと感じる少年たちに農業体験を提供。「雇用や福祉、教育、居場所作り、食の安全安心、癒やし、予防医学まで、日本の社会問題を包み込むだけの力がある」という。

 猛暑が始まる前、記者は自転車で見沼たんぼを目指した。さいたま新都心から東へ向かい、芝川沿いを走り、合流した加田屋川を北にさかのぼって見沼自然公園へ。2時間ほどの道のりに、129万都市に居るとは思えない自然の奥深さを感じた。【松下英志】(日曜日掲載予定)

 ■ことば

見沼たんぼ
 東京から20〜30キロ圏に位置し、南北約14キロ、外周約44キロ。たんぼの他、野菜や花、植木などの畑を中心に、芝川や見沼代用水が一体となった美しい田園風景が広がる。東武大宮公園駅やJRさいたま新都心駅、東浦和駅などからの散策ルートがある。水運のため高低差のある芝川と代用水をつないだ見沼通船堀(つうせんぼり)はパナマ運河と同じ方式だが、同運河の約180年前に実用化した。
https://mainichi.jp/articles/20180729/ddl/k11/040/084000c

http://archive.is/Dneav

posted by BNJ at 10:27 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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