2018年07月30日

’18記者リポート コウノトリ学習 息づく豊かな生態系 /福井【毎日新聞2018年7月30日】

 県が国特別天然記念物コウノトリのペアを飼育する越前市白山地区で、地元の中学生が水田や川にすむ生物を調査している。餌となるドジョウなどの数量を調べ、生態系の上位にいるコウノトリがすみやすい環境とは何かを考える試み。今春にはペアからひなが誕生する朗報もあり、生徒たちは「コウノトリが舞う里を実現したい」と意気込んでいる。【大森治幸】

 ■コウノトリとの縁

 JR武生駅の西約10キロ。緑もまぶしい田園風景が広がる白山地区は、1971年に国内の野生種が絶滅したコウノトリとのゆかりが深い。70年に飛来した雌の1羽は「コウちゃん」と名付けられ、野生種の生息地としては最後の一つとなった。

 コウノトリがすむ環境は、豊かな自然が育む田園の生態系が息づく証左でもある。このため県は2011年、兵庫県豊岡市の県立コウノトリの郷公園から借り受けたペアの飼育を始めた。越前市武生第五中学校の生徒たちによる環境調査が始まったのはこれに先立つ09年度で、地域への高い関心がうかがえる。

 ■餌から地域を考える

 「『全力採取』で正確なデータを取ろう」

 6月25日、3年生の東出来輝(らいき)さん(15)がそう呼びかけると、網やバケツを手にした長靴姿の生徒たちが田園に散っていった。全校生徒36人を6班に分けた野外学習で、水田脇の沼地に入り、水草の間や泥中に網を走らせる。網ですくった獲物を見ては「カエルだ」「ドジョウもいる」との歓声も上がる。

 捕らえた生物はバケツに移し、数や重量を調べる。足の生えかけたオタマジャクシが逃げだそうとする一幕もあったが、1年生の加藤真紗良さん(12)は「できるだけ正確なデータを取りたい」と真剣な表情。加藤さんの班は大小のカエル60匹、ドジョウ17匹、タニシ7匹を捕まえた。

 採取した生き物の数から、地区全体に潜むコウノトリの餌を推定する。ある班が30平方メートルの水田から捕らえた生き物の重量は52グラムだった。地区内にある水田の全面積36万平方メートルに換算すると、626キロの餌があると推測できる。コウノトリは1日500グラム程度の餌を食べる。すると、地区内には1羽あたり1252日分の餌があると言える。自ら見つけた餌から、コウノトリが生息できる自然環境があると実感できる。

 ■生徒から地域へ

 武生第五中でこれらの調査結果を取りまとめた7月19日、3年生の中井花実さん(14)は気付いた。「水田でカエルの数が昨年より多かったのは、6月の気温が高かったため産卵や変態に影響したからではないか」。単に生き物を採取するだけでなく、確かな洞察力や分析力を育んでいることが伝わってくる。

 生徒たちが作成した調査報告の資料は、地区の全戸に配られる予定だ。コウノトリをきっかけに地域を巻き込んで自然環境を考える試みで、武生第五中の川崎正人校長は「秋にはひなの放鳥も予定されており、生徒の関心は高い。地域に根ざした学習を続け、コウノトリを見守っていきたい」と話している。
https://mainichi.jp/articles/20180730/ddl/k18/040/120000c

http://archive.is/y0hjH

posted by BNJ at 21:44 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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