2018年09月22日

山梨)特別天然記念物ライチョウの「ケージ保護」とは?【朝日新聞デジタル2018年9月22日】

【動画】南ア北岳周辺のライチョウ ケージ保護で生息数回復=河合博司撮影

稜線でヒナを見守る雌親(中央下)とライチョウサポーター=2018年7月31日、山梨県南アルプス市芦安芦倉の北岳周辺

 今夏、南アルプスの北岳(3193メートル)周辺で、国の特別天然記念物ライチョウを絶滅の危機から救う「ケージ保護」が展開された。ヒナが死ぬ確率が高い生後1カ月まで、子育て中のライチョウ家族を昼は放し飼いにし、夜は小屋に収容する取り組みだ。

 環境省のライチョウ保護増殖事業で、信州大の中村浩志名誉教授(71)が北岳では2015年から始めた。日中はライチョウを稜線(りょうせん)に放ち、夜は約3メートル四方の小屋で保護する。生後1カ月までのヒナは凍死や天敵に襲われて死ぬ確率が高く、その期間を人がつきっきりで守るのだ。人なつこいライチョウだからこそできる保護策とされる。

 北岳周辺の小太郎山から農鳥岳に続く約10キロの稜線を中村名誉教授が継続して調べたところ、1981年には63つがいを確認できた。しかし、36年後の17年に確認できたのはたった16つがい。「かつては稜線のいたるところにライチョウがいたのに」と中村名誉教授は嘆く。

 減った原因は、00年ごろから、里山にいるはずのテンやキツネ、サル、カラスが標高2千メートル以上の高山帯に進出し、ライチョウを襲うようになったからだ。中村名誉教授は、狩猟者の減少や登山者の増加など、人の行動変化が呼び寄せたと説明する。

 ケージ保護では7〜8月上旬、3家族を見守る。16年は15羽、17年は16羽、今夏は8月3日に15羽のヒナを野生に返した。 ケージ保護を手伝うのは山梨、長野両県などが認定するライチョウサポーターや学生の助っ人たち。サポーターは事前に、ライチョウの生態を詳しく学ぶ。

 8月1日、北岳山荘に宿泊した6人の助っ人は日中の7時間、稜線の急斜面でライチョウの家族に付き添った。1家族をふたりが担当し、まるで羊の群れを見守る「牧羊犬」のよう。ヒナは餌の高山植物をついばみながら、勝手気ままにあちこち動く。5羽以上の家族を見通すのは大変だ。いつ上空から天敵のチョウゲンボウが、岩場からオコジョがヒナに襲いかかるかわからない。即座に飛び出せるよう中腰で見守った。

 長野県白馬村の山岳ガイド伊藤嘉一さん(50)と横浜市の高校生山内輝子さん(17)は、「生態をもっと詳しく知りたい」。日本大生物資源科学部の大沢隼也さん(22)は、天敵に驚いて岩の隙間に隠れ、動けなくなったヒナを助けた。「野生だったら死んじゃっていたかも」と心配した。(河合博司)
https://www.asahi.com/articles/ASL9L2S0DL9LUZOB002.html

http://archive.is/z41L1

posted by BNJ at 10:51 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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