2018年10月20日

千葉)アホウドリ研究に「尖閣」の壁 上陸調査できず【朝日新聞デジタル2018年10月20日】

尖閣諸島系のアホウドリ(左)はくちばしの先端部分がやや細め。鳥島系は尖閣諸島系に比べて大柄で、くちばしの先端部分が太い=2015年2月撮影、佐藤文男さん提供

 国の特別天然記念物アホウドリの研究が足踏みしている。繁殖地の伊豆諸島・鳥島と沖縄県・尖閣諸島のアホウドリは異なる種と考えられているが、日本政府が上陸を禁止している尖閣諸島での調査ができないためだ。山階鳥類研究所(千葉県我孫子市)の研究者らは別の調査方法を手探りしている。

 アホウドリはかつて数百万羽がいたとされるが、羽毛採取のため乱獲され、絶滅危惧種となった。環境省などの推計では、現在は鳥島に5千羽以上、尖閣諸島の南小島と北小島に計300羽以上が生息。小笠原諸島では新たな繁殖地をつくる試みが続いている。

 アホウドリは、クロアシアホウドリなど20種以上いるアホウドリ科の一つの種と考えられてきた。ところが2003年、当時は東京大大学院生だった江田真毅(まさき)・北海道大学総合博物館講師らが、羽毛や北海道・礼文島の遺跡から出土した骨のDNAを調べたところ、遺伝的に大きな違いがある二つの集団に分かれていることが判明したと発表。一つの集団が尖閣諸島に生息し、鳥島には別の集団と尖閣諸島から移ってきた個体が生息しているとされた。

 その後、山階鳥類研究所の佐藤文男研究員らの調査で、二つの集団は生態なども異なることがわかった。鳥島系の集団は体重5キロ以上になるが、尖閣諸島系は約4キロと小柄で体全体が細め。つがいも、それぞれの集団内でつくられることが多いという。5〜10月の非繁殖期は、鳥島系はアリューシャン列島やベーリング海で、尖閣諸島系は主にオホーツク海で過ごすとみられ、佐藤さんは「別々の種と考えていい」と話す。

 尖閣諸島系の集団の主な調査対象は鳥島に移ってきたとみられる個体だ。南小島と北小島などは02年に国が民間所有者から賃借し、政府に無断で第三者が上陸できなくなった。政府は12年に尖閣諸島を国有化。02年までたびたび行われていた上陸調査ができず、「別々の種」という観点からの調査は不十分だという。

 外交問題も絡む大きな壁が研究の前に立ちはだかっている形だが、佐藤さんは「別々の種かどうかは貴重な鳥の保全に関わること。できることは何でもやって、粘り強く研究を進めたい」と言う。

 尖閣諸島からオホーツク海に向かうアホウドリの行動を把握するため、佐藤さんらは今年6月、青森県の下北半島沖でアホウドリにGPS(全地球測位システム)の発信器をつけようと計画。洋上で2羽を見つけたが、取り付けることはできなかった。来年も再チャレンジする予定だという。(三国治)
https://www.asahi.com/articles/ASLB464NMLB4UDCB01M.html

http://archive.is/Mgh9i

posted by BNJ at 11:26 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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