2018年11月06日

松梅群鶏図屏風(部分)」躍動感、若冲の墨の技 国宝、日本の美をめぐる 東京国立博物館名品展【大分合同新聞2018年11月6日】

伊藤若冲「松梅群鶏図屏風」(部分)江戸時代(18世紀) 東京国立博物館所蔵 Image:TNM Image Archives

 奇抜な表現が注目を集める江戸時代の奇想の絵師・伊藤若冲(じゃくちゅう)。京都の錦小路にあった青物問屋「枡屋」の長男として生まれた。40歳で隠居して以後、本格的に絵画制作に取り組んでいる。
 若冲の家は裕福であったため、かなりの財産や土地を持ち、家賃や地代の収入が十分にあったようである。それは若冲を売画の苦労から放免した。高価な絵具や墨を、自分の好きなように入手することができたのである。
 俗事から解放された若冲にとって、自分の理想の絵画世界に近づくことこそが念願とされたであろう。好きなおもちゃで無心に遊ぶ子供のように、脇目も振らず、作画に没頭する若冲が思い浮かぶ。
 「鶏の画家」としても知られるほど、若冲は鶏を描いている。若冲のよき理解者であった、相国寺の当代随一の学僧・大典顕常の証言によると、若冲は自宅の庭に鶏を数十羽も飼い、その形状をよく観察し、写生したそうだ。
 この水墨屏風(びょうぶ)には、様々な姿態の雌雄の鶏が生き生きと描かれている。まるで若冲の墨絵の即興的なパフォーマンスを見ているような躍動感が素晴らしい。濃厚な色彩の世界とは異なるが、若冲の墨の技を直に堪能できるまたとない屏風である。
(大分県立美術館学芸員 宗像晋作)
 ▽県立美術館企画展「国宝、日本の美をめぐる―東京国立博物館名品展」は25日まで。
http://www.oita-press.co.jp/1010000000/2018/11/06/131407098

タグ:鳥類美術
posted by BNJ at 21:51 | Comment(0) | 鳥類一般ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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